| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

number-20 gospel

 
前書き



福音。


 

 


臨海学校二日目。


この日はISの訓練が中心となる。
生徒の中の専用機持ちと箒が集められ、入り江に集まっていた。


「織斑先生。どうして篠ノ之さんもいるんですか?」


シャルロットが千冬に質問した。
その質問は、鈴やセシリアが同じような疑問を持っていたが千冬が怖いらしく言い出せなかった。
だが、千冬は答えることはなかった。
そのかわりに声が聞こえてきた。――――後ろから。


「ち―――――――ちゃぁぁぁぁん!!!!」


誰だろうか、織斑千冬をちーちゃんをあだ名で呼ぶ猛者は。
それは、篠ノ之束である。


なかなかに騒がしい空気の中麗矢は、海に突き出た岩に座って黄昏ていた。
何を考えているだろうか、誰にもわからない。
ただ、麗矢の海を見る目は鋭いものだった。
まるで何か起ころうとしているかのように。


――ドパァン!


空気を切るような音とともに宙へ飛ぶ一つの赤い機体。
それに麗矢の視線は移った。


あれが《赤椿》である。
束が言うには、一夏の白式に実験として載せていた展開装甲の十分なデータが取れたから、あの赤い機体に実装として乗っけたようだ。
二本の日本刀にも似た剣を使って、ミサイルを落としていく。


あの二本の剣は刀身にエネルギーを纏わせることで、扇形にエネルギー放射できるようだ。
あれはまだ、各国が実験段階に過ぎない代物ではないか。
流石と言うべきなのか、それともやり過ぎだと諌めるべきなのか。
まあいいかと立ち上がる。


どうせもう何か起こっているのだから。


      ◯


「これより、ブリーフィングを始める。」


旅館にの一室を作戦会議室に作り替え、中心に置いているテーブルを囲むようにして座る専用機持ち。
その眼は真剣そのものだが、唯一一夏だけが置いていかれている。
まだ状況を理解していないようだ。


「先ほど連絡が入った。
イスラエル・アメリカ共同開発機《シルバリオ・ゴスペル》が暴走し、こちらに音速で向かっているようだ。専用機持ちはこれを撃破しろ。というのが今回の任務だ。」


麗矢は話を聞かない。
麗矢のISが衛星をハッキングして、衛星から映像を送ってもらっている。
すると、突然メールが届いた。
メールを読んだ麗矢は、束の乱入と同時に麗矢は作戦会議室から出ていく。


「おいっ! 夜神鳥、どこへ行く!?」
「大丈夫だよちーちゃん、れーくんなら。それよりもこれを見てよっ!」


出ていく麗矢を止めようとした千冬を束が止めた。
大丈夫だと。私が頼んだからいいんだと。


束は千冬に《赤椿》の詳細データを見せた。
千冬は決める。
篠ノ之箒と織斑一夏の二名で、任務にあたることを。


その他の専用機持ちは部屋で待機している。
今回の任務は一見一殺《ワンアプローチ・ワンダウン》である。
短期決戦。


箒は背中に一夏を載せ、カタパルトから射出されていった。
音速近くのスピードを出して、目標へと向かっていく二人。


麗矢はそんな二人の様子を陰で見ていた。
そして思う。
あのままではどちらかが落とされて終わってしまうと。
ため息をつきながら、束から送られてきたプレゼントをインストールし終える。
麗矢は海中から《シルバリオ・ゴスペル》――――以降、福音――――に接近していく。


そんな三人の様子をモニターでマーカーを通して確認する作戦司令室の面々。


「夜神鳥麗矢、音速を超えマッハ3で福音に接近。」
「織斑一夏、篠ノ之箒の両名。間もなく福音と接触。」


逐一報告される。
それを聞きのがすことが無い様にしながら、モニターから目を離さない千冬。


幼馴染である千冬にも何を考えているかが分からない束だが、あそこまで麗矢を信頼しているとは思わなかった。
一体、夜神鳥麗矢とは何者なのか。
その影すらつかむことが出来ない。
実は一度調べてみたのだが、夜神鳥麗矢という名前はある。
しかし、その人はもうすでに亡き人になっていたから、話を聞こうと思ったが無理であった。
となるとあの名前は偽名となってしまう。
本名さえも不明。
更識楯無は知っているようだが、決して口を開こうとはしなかった。
曰く、本人の問題である。と。


「夜神鳥麗矢、戦闘区域に突入します。」


千冬には何もできなかった。
今はただ祈る事しかない。――――自らの生徒の安全を。


      ◯


麗矢は海中を進んでいた。
音速を超えるとはいえ、水が邪魔になってそんなにスピードは出ないのだ。
まだ、着かない。


ただ無心で進んでいるとISが知らせた。
止まると水を切る低い音が無くなり、爆音が時折聞こえてくる。
そして、一瞬爆音が止んだ頃を見計らって、一気に海上へ飛び出す。
そこで麗矢が見たものは、落ちていく一夏とそれを信じられないような目で見ている箒だった。


「ちっ……篠ノ之、速くあいつを拾って戻れ。」


箒は一夏を広い。フラフラと戦闘区域から脱出していく。
麗矢はそれを見届ける前に福音と向き合う。


軍用IS《シルバリオ・ゴスペル》
アメリカとイスラエルの合同制作機。
全身装甲で、翼に設けられたあのいくつもの砲門がなかなか厄介なものだ。
それに加えて高機動。
競技での使用目的でないため、制限がいくつかないのだ。
テストパイロット、ナターシャ・ファイルスだが、無人機との情報だ。


一通り情報をまとめ終えた麗矢は《スラッシャー》を両手に展開した。
翼も広げ、推進力をさらに得ようとする。
だが、超電磁砲のエネルギー収束はしなかった。


その場でくるりと回転して、全方位に弾をばらまく。
麗矢はその弾幕をするりするりとさけていき、福音に接近する。
《スラッシャー》を福音に向かって突き出すが後ろに逃げられる。しかも、それと同時に何発か撃ってきた。
体力の消費を極力抑えたいため、最低限の動きだけで避ける。
そして一気に瞬時加速を使い、翼のスラスターで曲げながら急接近していく。
福音は翼を広げ弾幕を張ろうとするが、その前に自分の翼を福音の翼にぶつける。
体勢を崩した福音の頭部装甲を切りつけた。


体勢を崩した福音は斬りつけられながらも、麗矢を蹴り飛ばした。
しかし、麗矢の攻撃は確実に通っていた。


――ピキッピキッ、パリン


ひびが入り、顔に当たるフェイスが高い音を立てて割れる。
その中には金髪の女性がいた。
意識を失い、軽く血も出ている。


いきなり無人機から有人機になったというより、意識を失っている操縦者に変わり何かが動かしている、何かに変わった。
驚きで動きが止まった麗矢の隙を目敏くついてきた福音は、麗矢を翼で包み込み弾を放つ。
苦し紛れに翼を切り取りにかかる。


――ドガアアン!!!


一段と響いた爆音と共に麗矢が海に落ちていく。
それに続いて翼を失った福音も海に向かって落ちていったが、強い光を放って海に突っこむことなく空中に舞い戻ってきた福音。
機体が強制的に第二次移行したのだ。


麗矢は海に沈んでいく……。



 
 

 
後書き


どうだっただろうか。


暇つぶしになったかな?
なればいいなあ……。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧