赤髪の刀使い
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依頼
「ひとまず…俺のこの服装ってどうにかならないか?」
俺達はクライン達と別れ《始まりの街》の裏道を歩きながら俺はリズに聞いてみる。
「可愛いからいいじゃん。
変えなくても」
リズは俺をにやにやと笑いながら昨日からのドロップ品を売って出来たコルを眺めている。
「それに服を買うコルなんて今のところないし」
今から俺達は新しい武器を手に入れるために武器屋に向かっているところだ。
アルゴの情報が正しければこの裏道を行った先に《はじまりの街》で一番武器が安く売っている店があるはずだ。
ちなみにドロップ品も周りのNPCの中でも一番高く買い取ってくれるNPCのところで売り払った。
まぁ高くっていっても一品あたり2、3コルってところだけど…
多分もっと元が高価なアイテムを売れば差が出きるはずだ。
「そうは言っても…ずっと同じ服っていうのも嫌じゃないか?」
「んーもうちょいコルに余裕が出来てからね」
さすがにリズの方がMMORPG歴が長いだけあって、初期の資金のやりくりが分かっているのだろうか?
「とりあえずこのコルは武器と今日の宿代を残して回復ポーションにするわよ」
まぁ…それでもいいか…
*
「いらっしゃい」
アルゴの本に書いてあった武器が安い武器屋に入ると無愛想なNPCが向かえてくれた。
NPCは一言しゃべったあとはなにもいわなくなった。
自由に見ろということだろうか。
「んーいい武器ないかなぁ…」
リズは早速武器を陳列されている武器を見ている。
俺はちょっと気になったのでNPCに話しかけてみることにする。
「刀ってありますか?」
アルゴは2層目にあるって言ってたが、βと違っているかもしれないから聞いてみるのだ。
「…ないよ」
NPCは相変わらず無愛想に答えてくれる。
「じゃぁ曲刀ください」
刀スキルを出しておくのも悪くはないだろう。
「うん!これにする!」
リズが飾ってあった武器から小柄なメイスを持ってくる。
そして購入。
俺とリズは購入した武器を見せ合うがどちらも初心者が持つようなちゃっちい武器に見える。
「まぁ…仕方ないか」
「だね」
俺達はフィールドに向かいだした。
*
「うっしー今日はこれくらいにして引き上げるかぁー」
俺は耐久値が半分ぐらいになった曲刀を見ながら言う。
うーん…耐久値の減りとこの曲刀の値段…使ったポーションの値段…モンスターからのドロップ品の売却にドロップしたコル…ちょっと黒字って所か…
スキル値はあまり溜まってないだろうな…俺は基本スキル使わないし…
やっぱりこのソードスキルってのは使いにくい。
フェイントというフェイントは使えないし、硬直も邪魔。
「ねぇ…あたし、鍛冶屋のスキル取る」
うん?急にどうしたリズ?
「武器を自分で作りたくなっちゃった」
リズはテへっと舌を出す。
(そういやこいつ前のMMOで武器製作ばっかりしてたなぁ…)
武器製作で出来た武器を売ってお金にしてそれを元手にまた武器を作って売るってことが好きだったしな。
俺はその製作した武器のおこぼれを貰っていたが。
「俺は索敵でも取るか…」
どうにも俺の現実での気配察知能力はこっちでは役にたたないみたいだし。
索敵の下に隠蔽(ハイディング)ってあったが、隠れるより見つけた方が効率がいいんじゃないかってことで取らない。
*
俺たちはドロップ品をNPCに売って昨日と同じ宿の部屋をとった。
3人部屋だからかちょっと割高だが、まだまだ今日の狩りは黒字だ。
「アルゴは帰ってくるのかな…?」
「来るんじゃないか?」
「たっだいまァ~」
ほら帰ってきた。
「よかったよぉぉぉ瑠衣ー」
リズが帰ってきたアルゴに抱き着く。
(眼福眼福)
「リ、リズ…だからここでは本名は控えたほうが…」
アルゴもキャラ崩れてるがな。
「いいじゃん!
ここで数少ないリアルの知り合いなんだから!」
あれ…
「思ったんだが男の俺が、一緒の部屋で大丈夫なのか?」
昨日は仕方ないとしても、今日はどうなんだ…?やっぱり別の部屋を取ったほうが…
「私は何とも思わないわね」
まぁリズは幼馴染だし、最近も一緒の部屋で昼寝とかしてたし気にはしないだろう。
「私も気にしないわね。
だってユウって男友達っていうより女友達なんだもの」
うわぁ…聞きたくなかった事実だぁ…
「だから…ほらっ!
スキンシップだって余裕」
アルゴは俺に抱き着いてくる。
普通の男なら焦るんだろうが…俺は耐性ができてる。
アルゴは抱き着いたついでに俺の顔を近くで見る。
「うん。なんで男に生まれちゃったのよ。
どっから見ても女の子じゃん」
そんなの親に言ってくれ。
そこからアルゴが買ってきたパンにクエストで手に入れたというクリームをつけて食べ、3人でベッドに横になる。
「ねぇ私達どうなっちゃうのかな…」
リズが今にも泣き出しそうな声で聞いてくる。
昼間の元気そうな感じは無理をしているように感じてたが、実際無理をしていたのだろう。
「大丈夫。きっと助けはやってくるから…」
「あぁ」
俺はアルゴの言葉に頷くが、実は外部からの助けはまずないと思っている。
このSAOにすら興味を持たなかった俺でも知っていたナーヴギアを作った物理量子学者、茅場晶彦。様々な雑誌で特集の話題を持っていったナーヴギア。
このナーヴギアを作った様々な雑誌では茅場を【天才】という。
この【天才】が起こした事件だ。
付け入る穴という穴はすべて封じているだろう。
世界中のハッカー達だって下手に突いて内部の人を殺すわけにはいけないから手を出せないし、警察だってそうだ。
【天才】茅場晶彦が起こしたこの【天災】。
このゲームの中では茅場はただ一人ゲームを操れる人間だ。
神といってもいいだろう。
だが…今はこの2人がSAOという檻に閉じ込められ狂わないように見ておかなくてはならない。
2人には意識されてないが俺だって男なんだから2人を守らなくてはいけないのだ。
*
「クエスト?」
俺は昨日食べたパンをクリームなしで食べる。
なんかフランスパンよりも固くて味がないっていうのがこのパンの特徴だろうか。
「あァ。
迷宮区の手前にあるクエストで、第一層にも関わらずエクストラスキルを手に入れれるクエストダ。
β時代にはなかったクエストみたいなんだけど…受けるのに条件があル」
アルゴが近寄れと手招きするから俺とリズはアルゴに顔を近づける。
「そのエクストラスキルを受ける条件は…鏡を渡される前のアバターの性別と今の性別が逆という人というのが条件ダ」
「てーっと…元ネカマ達が受けれるクエストってことで?」
「あァ。だからオレっちもどんなエクストラスキルが手に入るかわからなイ」
「ほらっ!ユウの出番だよ!出番!」
リズは俺の背中をバンバンと叩いてくる。
「ユウなら戦闘力的にも第一層では死ぬことはないダろうからちょっとやってみて欲しイ。
オレっちからも報酬は出ス」
アルゴが言ってくる。
「クエストを受けるのはいい。
アルゴからの報酬はいらない」
友達から報酬を取るのは俺の主義じゃない。
「そうカ。やってくれるカ」
アルゴがうれしそうな顔になる。
「んーアルゴはその口調似合わないよ」
リズがアルゴに言うが。
「今は外だからナ」
どうやら宿の中では普通に戻すらしい。
「じゃぁそのクエスト受けにいきますか」
俺は座っていたベンチから立ち上がり、スカートの裾をはらう。
ゲーム内だとホコリやゴミはつかないのだが…癖だろうな。
「あーユウってそういや服変えてなかったナ」
アルゴが今更のように言ってくる。
「そういうアルゴは変わってるのかよ」
見た感じフードをかぶったままで変わってない気がするんだが。
「中は変わってるよーだ」
ニシシと笑いながら俺達の先頭をアルゴは歩き出した。
「やっぱ私も着替えかったほうがいいのかな」
リズも初期の服に胸当てをつけただけの装備をみながら言う。
「まぁ帰ってから考えればいいだろ」
後書き
なんか違和感を感じたけど気にせずに突き進みます。
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