ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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アルンと一枚のカード
あの後、キリトの家からキリトと一緒にダイブした。ミユは頭の怪我によりダイブできなくなった(無理に来ようとしたので、医者と一緒に説得した)
「よう、リーファ」
「こんにちは、リン君、キリト君」
「じゃあ、行くか」
俺たちは拳を合わせアルンの外周部を歩く。現在ユイは俺の頭の上をふわふわと浮かんでいる。……悪霊か?おのれは
「とりあえず、根元まで行ってみたいな」
「ん。りょーかい」
俺たちはアルン中央。世界樹の根元へと向かった
「ママ……ママがいます」
そうユイがつぶやいたのはアルン中央へ向かうゲートの前だった。その言葉にキリトは周りも気にせず叫んだ
「本当か!?」
「間違いありません!このプレイヤーIDは、ママのものです……座標はまっすぐこの上空です!」
それを聞いたキリトの行動は早かった。視線を空に向け歯を食い縛ると、背中の翅を広げ上空に弾丸のように飛び出した
「あのバカが!!」
俺もキリトの後を追って地面を蹴る。キリトとの差約0.1秒。所持している物の重量。この世界には筋力、敏捷といった数値はないので速さは俺の方に軍配が上がる。それでも執念とでもいうべきか。何とか俺がキリトを止めることができたのは高度限界の障壁スレスレの所だった
「何で、止めるんだよ!」
「やかましい!もっと冷静になれ。それでは助けられるものも助けられなくなるぞ」
「それでも、行かなきゃ……行かなきゃいけないんだ!!」
俺はキリトをおもいっきり殴る。パァンと乾いた音が周りに響き渡る
「あいつを助けだしたとき、おまえがボロボロだったらあいつは喜ぶのか!?おまえもあいつも皆が全員笑顔で終われるような、そんなハッピーエンドを望んでいるんじゃないのか!?おまえはなりふり構わず行き過ぎだ!そんなんじゃ、あいつは喜ばないだろ!」
「……」
「……キリト君……」
「ハッピーエンドにするために、俺もいるし、リーファも、ユイだっている。だから今は冷静になれ」
「……すまなかったな」
罰の悪そうな顔でキリトが謝ってきたので、俺はニヤッと笑う
「それでいい。それに、キリトを殴れたので満足だ」
「それが目的かよ!?俺の感動を返せ!そして一発殴らせろ!」
キリトが俺を殴ろうとしてくるので、軽くいなしながらユイに言う
「ユイ、管理者権限で入れないか?」
ユイは一つうなずくと上へ上がって行くがそれも障壁に阻まれる。だがユイは諦めず
「警告モード音声なら届くかもしれません……!ママ!!わたしです!!ママー!!」
するとユイの言葉に反応してか上空からキラキラと一枚のカードが落ちてきた
「……カード……?」
リーファが小さな長方形のカードを見ながら呟く
「リン、リーファ、これ、何だかわかる……?」
「何か意味を持っているのか……何にせよ、確実にこの世界にいるということだけはわかった」
「これ……これは、システム管理用のアクセス・コードです!!」
「……じゃあ、これがあればGM権限が行使できるのか?」
「いえ……ゲーム内からシステムにアクセスするには、対応するコンソールが必要です。わたしでもシステムメニューは呼び出せないんです……」
「そうか……。でも、そんなものが理由もなく落ちてくるわけがないよな。これは、多分……」
「はい。ママが私達に気づいて落としたんだと思います」
キリトはそのカードを黙ってじっと見た
「目的地は決まった。だったら後はそこまで突き進むだけだ。そうだよな?」
「ああ……。リーファ、教えてくれ。世界樹の中に通じてるっていうゲートはどこにあるんだ?」
「え……あれは、樹の根元にあるドームの中だけど……。で、でも無理だよ。あそこはガーディアンに守られてて、今までどんな大軍団でも突破できなかったんだよ」
「それでも、行かなきゃいけないんだ」
キリトはカードを胸ポケットに収め、そう言い切る。リーファは俺を見てくるが、俺は首を左右に振る。そして、言った
「ここまで、ありがとな。旅は楽しかったよ。でも、俺たちのゴールはすぐそこだ。……俺たちはもう行くよ」
俺はキリトの腕をつつくと落下していく。キリトもあとに続く
「……リン君……」
俺は振り返らない。涙交じりのその声を背に俺たちは最後の関門へと向かった
「さて行くか」
アルンの中央。世界樹の根元には石造りの扉がある。俺たちはその扉の前に並んで立つ
「ああ、これで最後だ。助けだしたら、エギルの店で祝杯だな」
「おう!」
俺たちが一歩進むと、扉の両側にあった妖精の像がしゃべりはじめた
『未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ致らんと欲するか』
同時に俺たちの目の前にイエスとノーのボタンが現れる
「まあ、姫様を助けに行くだけだけどな。ついでに王様を殴りに。な、王子様?」
俺はボタンを押す。もちろんイエスの方を
「俺は王子様じゃねぇ」
キリトは否定しながらもイエスのボタンを押す
「虐げられているお姫様を助けに行く王子様……どこの童話だよ。ま、俺はさしずめ白馬ってとこかな。かならずお前を送り届けてやるよ、姫様の元にな!」
『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』
扉の中央が割れ、ゆっくりと左右に開く
「行くぞ、ユイ。しっかり頭引っ込めてろよ」
「パパ、にぃ……、頑張って」
俺たちはお互いを見てうなずきあうと剣を抜いて扉の中へ飛び出した。扉の中は真っ暗だったが、突然光が現れその内部の全貌がはっきりとわかるようになった。ドーム状で一番上に円形の扉がある。そこを目指すのだろう
「キリト!まずは様子見で……」
「行けっ!!」
そう言うと剣を構えて突撃して行った
「聞いてないよ、あの野郎……」
俺はため息を一つついてキリトの後を追って飛び上がった
目を上に向けると全身に白銀の鎧をまとった騎士がいた。顔は見えない。得物は巨大な大剣。数は三。一番近いものはキリトの目の前
「そこをどけぇぇぇぇっ!!」
キリトの前にいた騎士と絶叫したキリトの剣がぶつかりあいお互いに弾かれる。騎士は剣を上に振りかぶるが、キリトはそれが振り下ろされるより早く懐に潜りこみ首もとをつかんで
「ラアッ!!」
気合いを込めて剣で貫いた
「ゴガアアアアア!!」
という絶叫とともに騎士は消滅する
「一体一体は弱い……だがこれは何の冗談だ?」
最初に出現した騎士は三だったが、今や天井全てが白い騎士で多いつくされようとしていた
「ユイ……あの騎士の現在のポップ率は?」
俺は懐にいるユイに話しかけた
「秒間二十……二十五……パパが天蓋に近づくたびに増えています!これでは……」
「殲滅でのクリアは不可能……か。なら一瞬の突貫力にかけるしかないな」
「さて……俺も少し戦ってみるか」
俺はキリトの後ろにいた騎士に向かって投げナイフを投げるするとそれに反応したのか、騎士たちがこちらに向かってくる。数は五
「セイッ!!」
気合い一閃。俺は剣を先頭の一匹にぶつける。先頭のやつは吹き飛ばされ後続の騎士の剣に貫かれ消える
「……バカだろ」
今度は、二匹同時に斬りかかって来た。まず左から来たやつの斬撃を交わし、その腕を掴む。それを右から来た騎士に投げつける。そして二匹が抱き合ったところで、剣で貫く。これで三匹。一匹と交戦する。相手はブンブンと大剣を振り回すが、俺は<<フルンティング>>でそれを全て反らす。ここ一番の大振りをした騎士はそれをいなされバランスを崩す。俺はその隙に懐に潜りこみ、剣を突きこもうとしたが、俺の耳が耳障りな雑音を捉えた。俺は見えないもう一匹の騎士がそれを出していると判断。突きこむのを中断。おもいっきり体当たりをかます。もろに食らった騎士は吹き飛んでいき、後ろから来た光る矢に貫かれた。その後ろを見ると案の定、もう一匹の騎士が魔法を放った後のモーションをとっていた
「騎士の動きが止まったところを見るとディレイ効果が強そうだな」
「ッ!!にぃ!!パパが……」
「キリトが!?」
俺は二匹の騎士の向こうに目を向けるとうんざりするほど多くの騎士とその中にポツンと佇む紫色の炎だった
「チッ……行くぞ、ユイ。援護を頼む」
「わかりました!」
そういう会話をした次の瞬間扉が開き、緑色の何かが飛び出してきた
「リン君!」
「リーファ。キリトの回収が目的。制限時間は三十秒程度。じゃあ、背中は任せた」
「わかったわ!」
俺はまず、目の前の騎士二匹をほふる。俺は剣を振る。そのたびに騎士が崩壊していく。まだ、この高度なら騎士の密度はそう高くない。だんだん増していく騎士の密度に顔をしかめながら俺は上へ上へと上がっていく。そして、とうとうキリトのリメインライトに手が届いた。だがその瞬間、俺は複数の光る矢に貫かれる。一瞬の硬直。そして数本の剣に貫かれた
「リン君!!」
「キリトを持っていけ!後、剣を貸してくれ!後は……後ろを振りかえるな!!」
「でも!」
「行け!!」
俺は貫かれたまま、キリトのリメインライトを放り投げる。返す刃で、飛んできたリーファの刀を掴むと絶叫しながら回転をする。刺さっていた剣が抜け、周囲にいた騎士が全滅する
俺は構える。キリトとリーファを逃がすために。飛行速度はあまり変わらないが、あの光の矢にやられたはまた捕まってしまう。だから先に行かせた。数秒だが俺は騎士たちと斬りあう。後ろに気を配り、退路をたたれないように。キリトとリーファが充分距離をとったのを確認すると、俺は急降下に入った。後ろから光の矢の詠唱が聞こえる。俺は蛇行し、それをかわして蛇行したことによるタイムラグで近づいてきた騎士を剣でほふる。そうやって、俺が外に転がり出た時には俺は精神も体力も限界だった。俺は出た後、そこに座り込んだ。すると、復活していたキリトがこっちに寄ってきたので、一発殴る……ことは体力的にできなかったので
「後で覚えておけよ」
と言った。俺は続けて
「で、何か言うことは?」
「すまなかった。あの時、頭に血が登って……」
「当たり前だ。まずは様子見って言ったのに……」
「そうだよな。これじゃあ、アスナに顔向けできないよな……」
「アスナって……え?だってあの人は……」
後書き
蕾姫「今日で一年が終わりますね〜締めくくりといえば、除夜の鐘でしょうか」
リン「おまえの場合、108回ついても消えないんじゃないか?煩悩」
蕾姫「俺の煩悩は108以上あるというのか!?」
ミユ「あると思う……」
蕾姫「ひど……」
ミユ「大丈夫……来年は必ずくるから」
蕾姫「大丈夫なのか?それ」
今回は長くなりそうだったので二つに分けました。そのためかなり中途半端なことになってます。感想その他よろしくお願いします!
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