ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第七十三話 覇龍と・・・
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主よ。お願いを聞いてくださいますか?
どうか、イッセーさんをずっとお守りください
そして・・・
どうか、これからもずっとイッセーさんと一緒に楽しく暮らせますように・・・
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一瞬何が起こったのか、全員は理解出来ずに心此処に在らずの状態だった。そして第三者の声によってそれが打ち消される。
「ロンギヌスで創られしもの、ロンギヌスの攻撃で散る・・・か。霧使いめ、手を抜いていたな?計画の再構築が必要だ」
声の方を向くと軽鎧(ライト・アーマー)を身に付け、マントを羽織っていたが冷たいオーラを纏っていた。リアスがその男性に尋ねる。
「誰?」
「お初にお目にかかる。忌々しき偽りの魔王の娘よ。私の名はシャルバ・ベルゼブブ。旧偉大なる真の魔王ベルゼブブの血を引く正統なる後継者だ。先程の偽りの血族とは違う。ディオドラ・アスタロト。この私が力を貸したと言うのにこの様とは。先日のアガレスとの試合でも無断でオーフィスの蛇を使い、計画を敵に予見させた。貴公はあまりに愚行が過ぎる」
「シャルバ!助けておくれ!キミと一緒なら赤龍帝を殺せるよ!旧魔王と現魔王が力を合わせれば・・・」
ディオドラが言い切る前にシャルバが手から光線のようなものを飛ばし、ディオドラを貫いた。そして『光』は悪魔にとって猛毒。貫かれたディオドラは無様に霧散してしまった。
「哀れな。あの娘のセイクリッド・ギアの力まで教えてやったのに、モノに出来ずじまい。たかが知れていると言うもの」
シャルバは嘲笑うかのように、それだけを吐き捨てた。
「さて・・・サーゼクスの妹君。貴公には死んでいただく。理由は当然。現魔王の血筋をすべて滅ぼすた・・・」
「黙れ・・・」
シャルバの声を遮り、闇慈が今まで出した事の無いドス黒いオーラを纏っていた。
「貴公は確か・・・カテレアを倒した黒衣の死神か?これは好都合。我々の妨げになる者は排除しなくてはならないからな」
「シャルバ・・・と言ったな?現魔王に恨みがあるなら何故直接決闘を申し込まない?」
「簡単なことだ。唯殺すのでは面白みが無い。まずは血筋と親族から殺し、絶望を与える事にしたのだよ」
シャルバの言葉にリアスがとうとう堪忍袋の緒が切れたのか怒声を張り上げる。
「外道!!アーシアを殺した罪!!絶対に許さないわ!!」
他の部員達が戦闘態勢に入っているが一誠は・・・
「アーシア?アーシア?」
フラフラと歩きながらアーシアを呼んでいた。
「アーシア?何処に行ったんだよ?ほら、帰るぞ?家に帰るんだ。父さんも母さんも待ってる。か、隠れていたら帰れないじゃないか。ハハハ、アーシアはお茶目さんだなぁ」
その光景は見ていられるような光景ではなかった。
「アーシア?帰ろう。もう誰もアーシアをいじめる奴はいないんだ。いたって、俺がぶん殴るさ!ほら、帰ろう。体育祭で一緒に二人三脚するんだから・・・」
小猫とギャスパーは嗚咽を漏らし、朱乃も顔を背けて涙を頬に伝わせていた。リアスは一誠を優しく抱き、何度も頬を撫でる。
「許さない・・・許さない!!斬る!!斬り殺してやる!!」
ゼノヴィアは叫び声を上げながらデュランダルとアスカロンでシャルバに斬りかかるが・・・
「無駄だ」
シャルバは魔法障壁を張り、斬撃を防ぐと魔力弾でゼノヴィアを吹き飛ばす。
「・・・私の・・・友達なんだ!!優しい友達なんだ・・・。そして誰よりも優しかったんだ!!どうして!!」
「下劣なる転生悪魔と汚物同然のドラゴン。全く持ってグレモリーの姫君は趣味が悪い。そこの赤い汚物。あの娘は次元の彼方に消えていった。すでにその身も消失している。・・・死んだと言う事だ」
「もう喋るな・・・貴様の言葉は聞き飽きた」
闇慈はゆっくりとデスサイズ・ヘルを構える。
「ほう・・・貴公は冷静のようだな?だがここまでだ」
「冷静?違うな・・・俺の心は、貴様を八つ裂きにしたいと言う殺意で一杯なんだぁぁぁ!!!シーャルバーーー!!!」
闇慈の叫びが神殿に響くと闇慈の魔力が渦巻き、周りの装飾品を吹き飛ばし始めた。それに伴い・・・
『リアス・グレモリー、今すぐこの場を離れろ。死にたくなければすぐに退去した方が良い』
赤龍帝・・・ドライグの声も響いた。そして一誠も異様なオーラを纏っていた。
『そこの悪魔よ。シャルバと言ったか?お前は・・・選択を間違えた』
ドライグが言い切った瞬間、神殿が大きく揺れ、一誠が血の様に赤いオーラを発し行った。それは最大級に危険なオーラだった。そして一誠の口から老若男女、複数入り交じった呪詛のごとき呪文が発せられる。
『我、目覚めるは・・・』
〈始まったよ〉〈始まったね〉
『覇の理を奪いし二天龍なり・・・』
〈いつだって、そうでした〉〈そうじゃな、いつだってそうだった〉
『無限を嗤(わら)い、夢幻を憂(うれ)う・・・』
〈世界が求めるのは〉〈世界が否定するのは〉
『我、赤き龍の覇王と成りて――――』
〈いつだって、力でした〉〈いつだって、愛だった〉
(何度でもお前達は滅びを選択するのだな!!)
一誠の鎧が鋭角なフォルムを増していき、巨大な翼まで生え、両手両足から爪が伸び、兜からは角がいくつも形作られていく。その姿はドラゴンそのものだった。
「「「「「「「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう」」」」」」」
『Juggernaut Drive!!!』
一誠の変身に伴い、今度は闇慈が呪文を唱え始める。
『我、新に刻むは全てを破壊せし心・・・』
『万物の生を糧に生きる、魂を喰らう者・・・』
『希望を絶望に、幸福を不幸に・・・』
『我、死の恐怖を身に纏い・・・』
「【彼の者に・・・混沌なる終焉を与えん!!】」
闇慈とデスの声が一緒に発すると、闇慈の頭に大きめのフードがかかると、鼻より上の部分が影で完全に見えなくなったが、真紅の魔眼が暗闇に光っていた。そして明鏡止水とは全く違う殺意に満ちたオーラを纏い、そして翼も4枚から6枚へと変わっていた。
「【Skeith of death】『スケイス・オブ・デス』!!!」
一誠と闇慈の周辺の装飾品、床、壁、柱、天井が赤と黒のオーラによって破壊されて行った。
「ぐぎゅああああああ!!!アーシアァァァァァァァァァ!!!」
「破壊・・・する。俺は・・・全てを破壊せし者。貴様の死を・・・絶望を見せてみろーーー!!!」
獣の叫びに似た声を発する一誠は四つん這いになって飛び出す。闇慈もデスサイズ・ヘルを掲げ、光速に近いスピードで斬りかかった。
「ぬうっ!!」
シャルバは一誠と闇慈に向かって魔力弾を撃ち込むが、一誠はそれを難なく避け、闇慈はAMCマントで弾く。そして一誠は右肩に喰らい付き、闇慈は魔力を篭めたデスサイズ・ヘルで左腕を肩から斬り落とした。
「ぐわっ!!!」
シャルバが斬り落とされた激痛に悶えている間に一誠は宝玉の一部から鋭い刃を作り出すと右腕を斬り落した。
「ば、化け物共め!これが【覇龍】『ジャガーノート・ドライブ』だと言うのか!?」
シャルバの言葉を闇慈は否定する。
「違うな・・・この力の名は・・・【死輝】。死の輝きを照らし出し・・・相手に死相を刻み込む力だ!!!」
「冗談ではない!!私の力はオーフィスによって前魔王にまで引き上げられていると言うだぞ!?データ上のブーステッド・ギアやデスサイズ・ヘルのスペックを逸脱しているではないか!!!」
シャルバが一人で解析をしていたが一誠と闇慈はそんなことも目も暮れずに一誠は魔導砲のようなものを胸部に展開し、闇慈は何かを放つように両手を前にかざし、オーラと魔力を溜め始めた。
「私はこんな所で死ぬわけには・・・っ!?」
シャルバが逃げようとしたが足が金縛りのように動かなくなっており、さらに上半身には地面から影が伸び、動きを完全に封じ込められていた。
「まさか・・・私の足を・・・時を止めたのか!?」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
「彼の者に絶望を・・・苦痛を・・・恐怖を・・・そして、死を!!!」
【longinus・smasher『ロンギヌス・スマッシャー』!!!!】
【chaotic・despair『カオティック・デスピア』!!!!】
二人のオーラが一斉に発射されると祐斗はその膨大な威力に危機感を抱き・・・
「部長!!一時撤退しましょう!!この神殿から出るべきです!!」
「でも・・・イッセーが・・・」
「すみません!!」
祐斗がリアスが抱きかかえ、その場から出ようとするが小猫も闇慈が心配なのかその場を動こうとしなかった。
「小猫さんも急いで!!」
「・・・闇慈先輩」
小猫は祐斗に促されたのかその場を名残惜しそうに脱出した。
「バカな・・・神なる魔王の血筋である私が!?ヴァーリにも一泡吹かせたことが無いのだぞ!?べルゼブブはルシファーよりも偉大なのだ!!おのれ!!ドラゴンと死神如きがぁぁぁぁぁぁ!!!!」
シャルバは二人から発射された極太の赤と黒の二色の閃光に包まれ、神殿とともに光の中に消え去った。
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