スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
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第三十一話 アクシズの攻防
第三十一話 アクシズの攻防
アクシズに到着したロンド=ベル。だがまだ敵はいなかった。
「少し時間があるみたいだな」
「そうですね」
マシュマーの言葉にゴットンが頷いていた。
「これからどうします?何か懐かしい感じですけれど」
「そうだな」
今度はマシュマーがゴットンの言葉に頷いた。
「久し振りだ。懐かしい我が家といったところか」
「そういえばここにはずっと戻ってきていませんでしたしね」
「うむ。しかし中は随分変わったようだな」
アクシズの中を見回して言う。
「内部もそうなのかな」
「中の居住区とかは変わりないそうよ」
ロザミアが二人に教える。
「働いている人もそのままだって」
「えっ、それじゃあ」
「あの店もあるんだな」
ゴットンもマシュマーもそれを聞いて思わず声をあげた。
「あの店って?」
「うむ、実は美味いパフェの店があるのだ」
「女の子に人気の」
「あっ、あそこね」
「そうか、まだあったのか」
プルとプルツーがパフェと聞いて出て来た。
「じゃあ早速行こうよ」
「それでいいな、マシュマー」
「ああ、それはいいが」
しかしマシュマーには言いたいことがあった。
「皆で行くのか」
「当然でしょ」
「細かいことは言いいっこなしよ」
ルーとエルがマシュマーに答える。
「それに人生の先輩として」
「ここは気前よく」
「後輩に御馳走なんてどうです?」
ビーチャ、モンド、イーノがそれに続く。
「そういうことだよ。じゃあ行こうぜ」
「私達二人だけならともかく」
マシュマーはジュドーの言葉を聞きながら渋い顔になっていた。
「これだけの数となると私の財布が」
「あの、マシュマー様」
ここでゴットンも言う。
「私はこの前お情けで少尉になったばかりですので」
「連邦軍ではパイロットは将校だからな」
「はい。お金はありませんので」
「嘘をつけ」
すぐにゴットンの言葉に言い返す。
「パイロット手当ても貰っているだろうが」
「それでもです。何理路貧乏暇なしで」
「じゃあマシュマーさんが俺達の全部か」
何時の間にかディアッカも来ていた。
「いやあ、すいません」
「御馳走になるぞ」
ニコルとイザークもいる。
「私はチョコパフェです」
「私はヨーグルトを」
「俺はチョコレートサンデーを」
「ケーキはあるかな」
「チーズケーキがいいな」
「・・・・・・あのな」
フィリス、エルフィ、ジャック、ミゲル、ハイネと次々に出て来たところで流石にマシュマーの顔が曇った。
「諸君等は何処から沸いて出て来た。そもそも私はまだ何も」
「あれ、そうじゃないんですか?」
「折角それで来たのに」
「ステラ、嘘を言う人は好きじゃない」
「別に嘘は言っていない」
スティング、アウル、ステラにも言葉を返す。
「ただ数がだ。このままでは私の財布が」
「借金すればいいじゃない」
「食べ物なら安いがな」
「そうですよね」
「それで私達の好感情がゲットできるなら」
「安いですよ」
今度はルナマリア、レイ、アサギ、ジュリ、マユラまで来ていた。
「しかもまた増えていますね」
「何処から来るんだ」
「おお、ここだぜ」
「早く来いよ」
「マシュマーさんが御馳走してくれるぞ」
見ればドラグナーの三人が携帯を入れていた。それで人を呼んでいるのであった。
「こら貴様等特にライト」
マシュマーはその三人、特にライトに食ってかかった。
「貴様と私の仲でそれなのか」
「その仲からなんですよ」
ライトはしれっとしてマシュマーに答える。
「マシュマーさんの皆への人気をアップさせようと思いまして」
「これだけの数を私一人で面倒見ろと言うのか。しかも大食漢ばかりではないか」
それはマシュマーも知っていた。
「このままでは綿私が破産するではないか」
「破産がどうしたっているんだよ」
「その通りだ」
デュオとウーヒェイも来ていた。
「金などまた手に入れればいい」
「それだけだな」
ヒイロとトロワもいる。当然彼等もパフェに呼ばれて来たのだ。
「マグアナック隊もいますので」
「急に四十人も増やすな!」
カトルの言葉には流石に切れそうになるマシュマーであった。
「まずい、まずいぞこのままでは」
マシュマーは何時になく焦っていた。
「このままでは」
「マシュマーさん有り難う」
フレイも来た。
「あの三人も来ては終わりだ」
「来ましたよ」
「くっ・・・・・・」
「今日の御馳走はここかよ」
「よおし、ガンガン食べるよ僕」
「食わせろ」
そのオルガ、クロト、シャニも遂に来た。
「誰だ、あの三人を呼んだのは!ライト、貴様か!」
「あっ、俺じゃないですよ」
「じゃあ誰だ」
「何か美味そうな匂いがしたからよ」
「来たんだけれど」
「正解だな」
「くっ、異常能力者共め」
これにはマシュマーも絶句した。
「とにかくだ。これ以上増えてはならない」
もうダメージは諦めた。傷口を少しでも小さくすることにしたのだった。
「行くぞ、ゴットン」
「そうですね。このままだとどんどん増えていきますし」
ゴットンもそれに賛成する。
「行っちゃいましょう、早いところ」
「厄日だ」
マシュマーは店に行きながら忌々しげに呟いた。
「アクシズに帰った途端にこうなるとはな」
「さて、何食べようかな」
それに対して皆は気楽なものであった。そうしてその気楽さでマシュマーを本当に破産させてしまうのであった。
マシュマーが破産している頃ミネバはアクシズの中を楽しげに歩き回っていた。その後ろにはハマーンがいる。
「ねえハマーン」
「はい」
ハマーンはミネバのにこやかな声に応える。
「アクシズの中ってこうなっていたのね」
「そうです」
ハマーンはミネバに対して答える。
「申し訳ありません。アクシズの中におられたというのにこうした場所をお教えできませんで」
「それはいいのよ」
ミネバはそれはよしとした。
「あの時の私は自由に歩いてはならなかったから」
「ミネバ様」
「けれど今は違うわよね」
そうしてハマーンに対して問うのだった。
「こうして自由に歩いていいのね」
「その通りです」
またミネバの言葉に答える。
「こうして好きなだけアクシズを歩くことができます」
「好きなだけね」
「そうです。これからはずっと」
「私も皆と同じなのね」
ミネバはそれが心から嬉しいようであった。顔にその喜びがはっきり出ている。
「皆と一緒にこうして歩いていいのね」
「それについてですが」
ハマーンはここでまたミネバに言う。
「何?」
「私も共にいていいでしょうか」
「私と?」
「はい、ミネバ様と」
少し恥ずかしげにミネバに対して問うていた。
「一緒にこうして」
「いいわよ。いえ」
ミネバはここで言葉を変えた。
「是非御願い。私もハマーンと一緒にいたいから」
「ミネバ様・・・・・・」
「ハマーンはずっと私と一緒だったわね」
「ええ」
それは事実であった。彼女はミネバが生まれてからずっと彼女の側にいる。幼くして両親を亡くした彼女にとってハマーンはまさに親なのだ。その親に何時までも共にいて欲しいというのは彼女にとってはごく自然の感情なのであった。
「だからこれからもね」
「有り難うございます」
ハマーンはミネバのその言葉に対して礼を述べた。
「それでは。これからもミネバ様と共に」
「御願いね、ハマーン」
「はい」
「それであそこだけれど」
ここでミネバは前を指差した。商店街である。
「騒がしいわね」
「あれは喫茶店ですね」
ハマーンはその騒がしい先を見てミネバに対して述べた。
「何か店の中で宴をしているようです」
「そうなの」
ミネバはそれを聞いて何かを思ったようであった。
「お菓子やジュースがあるのね、あそこには」
「そうですね。そういえば」
ここでハマーンははっと気付いた。
「近頃忙しさにかまけてミネバ様にお菓子を御馳走していませんでしたね」
「ハマーンの作ったお菓子」
ミネバの大好物である。
「そうね。最近ずっと食べていないわ」
「何が宜しいでしょうか」
姉か母の顔になってミネバに対して問う。
「お好きなものを何でも」
「そうね。じゃあクレープが食べたいわ」
「クレープですか」
「それと紅茶と。ハマーンが入れた紅茶よ」
「畏まりました」
ハマーンはにこやかに笑ってミネバに答える。
「それでは今から」
「お店の中が騒がしいけれど」
「またロンド=ベルの子供達が騒いでいるのでしょう」
それを瞬時に察するのは流石であった。
「ですが大事には至りますまい。それでは今から」
「ハマーンのクレープをね」
「存分に腕を振るわせて頂きますので」
こうして彼等はマシュマーの危機を通り過ぎてそのままお菓子に向かう。アクシズにおいて彼等は悲喜こもごもの時間を過ごしていた。それが一段落ついたところで。すぐに戦闘となるのであった。
「あと半日でこちらに到着です」
「そうか」
ブライトはアクシズの司令室でモニターのエマリーから報告を受けていた。
「こちらにそのまま向かって来ているのだな」
「ラビアン=ローズには向かって来ておりません」
エマリーはこうも報告する。
「全ての戦力をそちらにです」
「まずはアクシズか」
ブライトはそこまで聞いて敵の考えを読み切った。
「そしてここを今後の拠点とするつもりか」
「どうされますか?」
「無論迎撃する」
これはもう決まっていた。
「その為に来ているのだからな」
「わかりました。それでは」
エマリーはブライトのその言葉を受けて述べる。
「御武運を」
「うん」
「そして艦長」
ここまで話したうえでエマリーはまたブライトに声をかけてきた。
「何かな」
「またラビアンローズにいらして下さい」
にこりと笑ってブライトに言ってきた。
「お待ちしていますので」
「あ、ああ」
ブライトは少し困惑した顔でエマリーの今の言葉に応えた。
「わかった。また機会があれば」
「お待ちしています」
エマリーはここまで話してモニターから姿を消した。そうするとすぐにブライトに対してヘンケンが声をかけてきた。
「ラー=カイラムの名艦長も隅に置けないな」
「からかわないで下さい」
ブライトは困った顔でヘンケンに言葉を返す。
「私は別に彼女とは」
「だが気持ちは気付いているんだろう?」
今度はアムロが言ってきた。
「御前の方も」
「アムロ、御前まで」
ブライトは親友にまで言われてさらに困った顔になった。
「だが御前にはミライさんがいるしな」
「そうだ」
そこは真面目なブライトだった。
「だからだ。私は別に彼女とは違う」
「そういうアムロ中佐はどうなのだ?」
「俺ですか」
ヘンケンはここでアムロに話を振ってきた。
「昨日もチェーン君とベルトーチカ君から誘いを受けていたな」
「俺は別に」
今度はアムロがバツの悪い顔になった。
「何もないですよ、二人とは」
「そうなのか?」
「そうですよ」
さっきまでのブライトと全く同じ表情であった。
「どうしてそれで」
「それだといいんだがな。さて」
ヘンケンはここで話を打ち切って作戦に話を移すのだった。
「敵が来るとわかった以上用意はしておくか」
「そうですね」
ブライトがそれに応えて頷く。
「では迎撃態勢を整えて」
「マシンは全て出撃させよう」
「はい」
ブライトはヘンケンのこの言葉にも頷く。
「敵はゲストだ。今回も激しい戦いになるぞ」
「アクシズの砲台やミサイルもチェックしておきましょう」
アムロはそれについても述べた。
「そしてできるだけ敵を引き付けて」
「そうだな」
ヘンケンはアムロのその言葉に頷く。
「そうして戦うとしよう」
「では今回も防衛戦ですね」
ブライトは問うた。
「そうして守ってですか」
「それが今回は一番だな」
ヘンケンはそのつもりだった。
「別働隊が攻めている間にアクシズを奇襲といった流れにさせるわけにもいかんだろう」
「若しくは別の敵が出る」
ブライトはそれも警戒していた。
「どうやら彼等とインスペクターの関係はかなり険悪なようですしね」
「それも一度調べておきたいな」
ヘンケンは考える顔になった。
「今ブンドル局長達が調べていてくれているがな」
「ゲストについてもまだまだ謎が多いな」
アムロはそれを実感していた。
「どの敵についてもだが」
「謎が明らかになればそこを攻めることができるのだが」
ブライトは戦略家の顔になっていた。
「まだその段階ではないか」
「残念なことにな」
「だが今は仕方ない」
妥協することにした。
「迎撃だけで満足するとしよう。それしかないな」
「そういうことだな。それじゃあ」
「十一時間後だ」
ブライトは指示を出した。
「総員戦闘配置につく。アクシズにおいてな」
「ああ、わかった」
こうしてロンド=ベルは戦闘態勢に入った。そうして十一時間後にはもう戦闘配置についていた。そうしてアクシズに迫るゲストの軍勢と対峙するのであった。
「早いな」
目の前にいるロンド=ベルを見てロフは呟いた。
「地球人、やはり侮ることはできないな」
「司令官」
そのロフに参謀の一人が声をかけてきた。
「どうした」
「ゼゼーナン卿から指示が出ています」
「ここに来てか」
ロフはそれを聞いてまずは考える顔になった。
「一体何だ」
「既にそこにインスペクターの軍も来ていると」
「インスペクターもか」
「アクシズ攻略が果たせない場合は彼等にアクシズを攻めさせよとのことです」
「それからインスペクターを叩くのだな」
「はい」
参謀はロフの言葉に頷いた。
「そうしてアクシズを手に入れよとのことです」
「インスペクターが撃退された場合はどうなるのか」
「それは」
「その可能性も充分にある」
ロフは言った。
「地球人は手強い。そして決して愚かではない」
彼はもうそれを見抜いていたのである。
「そうそう簡単にいくとは限らないぞ」
「ではその場合はどうされるのですか?」
「その場合は無下に力攻めにはしない」
それがロフの考えであった。
「迂闊に攻めては損害が大きくなるからな」
「左様ですか」
「だが今は全力で攻める」
そのうえでこう言う。
「インスペクターに手渡すつもりは毛頭ない」
「わかりました。それでは」
「全軍攻撃に移れ」
自分の下にいるゲストの軍勢に対して命じた。
「そして俺も出る」
「司令官もですか」
「そうだ。ゼイドラムの用意はできているな」
「はい」
別の参謀が彼の言葉に応えた。
「何時でもいけます」
「では行こう。そこから全体の指揮を執る」
「司令御自身が出られずとも」
「それが俺のやり方だ」
だがロフは彼を気遣う参謀達にこう言葉を返した。
「そして戦う。わかっていると思うが」
「それはそうですが」
「では行くぞ」
そしてまた指示を出した。
「アクシズを手に入れる」
「はっ」
こうしてロフ自ら指揮にあたりアクシズ攻略をはじめるのであった。すぐに艦砲射撃と共に激しい攻撃が加えられた。
「いきなりか」
「これはまた派手ですね」
ケンジにアキラが言う。
「それに敵の動きがかなり速いです」
「もうここまで来ているのかよ」
ミカとナオトは敵がすぐ目の前に来ているのを見ていた。
「こんなに敵の動きが速いなんて」
「だが慌てることはない」
ケンジはナミダに対して告げた。
「艦砲射撃は的確にかわす。そうして目の前の敵を一機ずつ倒していく」
「それですね」
アキラはケンジのその言葉に頷いた。
「そうして一機ずつ倒していって」
「照準合わせました!」
「喰らえ!」
ミカの言葉に応えてナオトが攻撃を放つ。それでゲストのマシンが一機貫かれそのまま炎と貸して銀河に消えた。
「これでまず一機だね」
「この調子だ」
ナミダとケンジは今のナオトの攻撃にまずは満足する。
「この調子でここを守ればいい」
「そうだね。それじゃあ」
ナミダは笑顔で応える。そのコスモクラッシャーの横でマシュマーが面白くない顔をしながら戦っていた。
「全く。どうしてこう」
ブツブツ呟きながら敵を攻撃している。
「私の財布を狙ってくれたんだ」
「どうしたんだい、マシュマー」
その彼にキャラが声をかける。ゲーマルクのファンネルでゲストをまとめて相手にしていた。
「機嫌が悪そうだね」
「破産した」
喫茶店でのことである。
「このアクシズでな」
「酒かい?ギャンブルかい?それとも女かい?」
「女!?戯言を」
冗談に本気で返す。
「私はハマーン様に無二の忠誠を捧げているのだ。どうして他の女になぞに」
「じゃあ何なのさ」
キャラもそれが気になる。
「破産したってのは尋常じゃないよ」
「喫茶店だ」
マシュマーはまた忌々しげに述べた。
「子供達に食べ尽くされた」
「パフェでもおごったのかい」
「マグアナック隊にもな」
これが決定打であった。
「そのせいだ。彼等の暴飲暴食でな」
「破産したのかい」
「これから私は赤貧だ」
そうなのであった。
「全く。どうしてこう」
「なら稼ぎなよ」
キャラはあっけらかんとした調子でマシュマーに言ってきた。
「それだけじゃないか」
「アルバイトか?」
「違うよ。敵を倒してね」
そういうことであった。
「稼ぐんだよ。一機撃墜したらそれなりにボーナス出るだろ?」
「うむ」
それで給料以上に稼いでいるパイロットも多い。アムロやクワトロはそれでかなりの収入になっている。
「それではそうするか」
「敵は飽きる程多いんだしね」
それは今もであった。見れば宇宙の星よりも敵の数が多い。
「早速頑張るんだね」
「よし。ならば」
ビームサーベルを抜いた。
「やってやろう!破産から立ち直る為に!」
「そうそう、その意気だよ」
キャラもここぞとばかりに煽る。
「そうじゃなくっちゃね」
「マシュマー=セロ、参る!」
だがここでも彼は騎士であった。颯爽と名乗りをあげて敵に向かう。
そうして一機また一機と敵を倒していく。何だかんだで彼は立派に戦力になっていた。
「ありゃ、マシュマーの旦那」
ケーンがそんな彼を見て言う。
「随分活躍してるな」
「俺達が食い潰したからだろ」
タップが他人事のように応えた。
「喫茶店であの人の財産さ」
「そういやそうだったな」
ケーンもやはり他人事であった。
「それ考えると悪いことしたかな、やっぱり」
「まああれ位だと十機も撃墜すれば元は取れるんじゃないの?」
ライトも実に気楽であった。
「それ位あの人には軽いさ」
「それはそうだけれどよ」
ケーンはここでそのライトを見る。
「また随分と白状だな」
「そうか?」
「御前とマシュマーさんの縁を考えればそうだろ」
ケーンが言うのはそこであった。
「どうなんだよ、そこは」
「そう言われてもな」
ライトとしてはそれはそれこれはこれのようであった。
「俺もあの人には他人には思えないけれどな」
「それでそれかよ」
「まあいいじゃないか」
ライトは実に軽い。
「別にそれで仲が悪いとかじゃないしな」
「そうか」
「そうさ」
「それにしてもよ」
タップがまた言う。
「どうしたんだ、タップ」
「確かに俺達かなり飲み食いしたけれどよ」
「ああ」
それは紛れもない事実である。ケーンもそれは否定しない。
「酒は飲んでねえし食い物も喫茶店のだけ。幾ら大人数でも破産するものかね」
「言われてみればそうだよな」
ケーンもそれに気付く。
「マグアナック隊が致命傷になったけれどな」
「それでもだよ。何であれで破産するんだ?」
タップはそれをいぶかしむのだった。
「あの旦那ってそもそも貧乏なのか?」
「金使いが荒いんだ、あの人は」
ライトがタップに答える。
「そうだったのかよ」
「考えてみろ。いつもあんなに騎士だ何だと貴族的にやっているんだぞ」
そこが問題であった。
「それで金がかからないと思うか?」
「いや」
タップはライトの言葉に首を横に振る。
「相当金がかかるだろうな」
「だからだよ。あの人が今回あれだけで破産したのは」
「そうだったのかよ。また随分寂しい財布だったんだな」
「そういうことだな。俺達も人のこと言えないけれどな」
「俺達は飯にありつく立場さ」
タップは軽く言葉を出した。
「あの旦那が駄目なら今度は」
「ユウナさんだよな、やっぱり」
「そうそう」
タップはケーンの言葉に満面の笑顔で頷くのであった。
「じゃあこの戦いが終わったら今度はな」
「ユウナさんのところに皆でだな」
「いいねえ、それ」
ライトも話に乗る。
「皆でな」
「勿論だぜ。それじゃあ」
三機でフォーメーションを作る。そうして光子バズーカを構える。
「一気に派手にいくぜ!」
「了解!」
三機は動きを合わせて三つの光を放つ。それで目の前の敵を光に変えて薙ぎ倒すのであった。
ユウナはこの時クサナギの艦橋で悪寒を感じていた。それで不意に言う。
「おかしいな。風邪かな」
「まさか」
それにキサカが突っ込みを入れる。
「体調管理は万全の筈ですが」
「自分でもそのつもりだけれどね」
ユウナもキサカに応える。彼もそれには用心しているのだ。
「それでもなってしまうのが風邪だけれど」
「なってしまわれては困りますな」
トダカが顔を顰めてユウナに言ってきた。
「それはどうしてだい?」
「ユウナ様に何かあっては私達だけでカガリ様の面倒を見なければなりません」
「そうですな」
キサカもトダカのその言葉に頷く。
「そういえばそうです」
「ですから。ユウナ様は常に健康であられて下さい」
「じゃあ僕がカガリの防波堤なんだね」
「はい」
しかもトダカはそれに頷いてみせる。
「ですから。御気をつけを」
「やれやれ。子供の頃からそうだよ」
ユウナはそう述べてぼやくことしきりであった。
「カガリの補佐といいフォローといい。大変だよ」
「それがセイラン家の主としての務めです」
「ですから」
「わかっているけれどね。それでもね」
ユウナも困っているのである。
「どうにもこうにも」
「話はいいですが」
ここでアズラエルが三人に声をかける。
「ええ」
「何か」
「戦闘中ですよ。御気をつけを」
「おっと、そうでした」
「失礼」
トダカとキサカがすぐにそれに戻る。
「そうだったそうだった。危ないところだったよ」
そしてユウナもそれに続く。
「何か敵はどんどん接近してきているね」
「特にあれですね」
アズラエルはここで敵の中心にいる青いマシンを指差した。
「あれは多分指揮官機ですが」
「何かかなり強いね」
ユウナはそのマシンを見て言った。
「アサギ達が全然相手になっていないよ」
「ですな」
キサカがその言葉に頷く。見ればアサギ、ジュリ、マユラは三人でそのマシンにかかっているが相手になっていない。かろうじて防戦になっている程度であった。
「な、何よこいつ!」
「強いなんてものじゃないわ!」
三人はその青いマシンのミサイルを必死にかわしながら叫ぶ。
「カガリ様!」
「前から!」
「わかっている!」
三人を指揮するカガリもそれに応える。そうしてビームソードを手にその青いマシンに突っ込む。
「援護を頼むぞ!」
「はい!」
「わかりました!」
三人はそれを受けてカガリの後ろにつく。そこからビームライフルで援護射撃を浴びせる。
だがそれを受けても青いマシンは動じない。三人の攻撃を紙一重でかわしていくだけであった。
「私達の攻撃も」
「まるで当たらないなんて」
「筋はいい」
その青いマシンに乗っているのはロフであった。彼は三人とカガリの動きと攻撃を見ながらコクピットの中で冷静に呟いていた。
「しかしそれではまだこの俺とゼイドラムを撃墜することはできん」
そう言ってその左拳に力を宿らせた。
「そこの赤いマシンもだ」
今度はカガリのストライクルージュを見据えた。
「相手になってやろう。これでな!」
「このまま斬る!」
カガリは突っ込みながら叫んだ。右手のビームサーベルが煌く。
「指揮官さえ倒せれば!」
「速い。だが動きが単調だ」
ロフはカガリの動きを見て言う。
「それでは俺は倒せぬ。受けるがいい」
左拳に光が篭る。そして。
「バニッシュゲイザーーーーーーッ!」
「来るかっ、しかし!」
拳を出して突っ込む。しかしそれを見てもカガリは退かない。そのまま斬ろうとする。
だがゼイドラムの方が動きは速かった。カガリの一撃をかわしその拳をストライクルージュの腹に撃ち込む。これでストライクルージュは大きく後ろに吹き飛ばされた。
「ぐわっ!」
「カガリ!」
「カガリ様!」
それを見たユウナ達は驚きの声をあげた。そのうえでカガリに急いで通信を入れる。
「返事をしてくれ!」
「大丈夫ですか!」
「な・・・・・・何とかな」
カガリの声が返って来た。とりあえず彼女は無事であった。
「だが。ストライクルージュが動かない。大破した」
「大破って」
「まずいなんてものじゃないですよ!」
「早く、何とかしないと」
「あの青いマシンに攻撃を集中するんだ!」
ユウナは急いで指示を出す。
「そして三人はすぐにカガリを安全な場所に!」
「は、はい!」
「すぐに!」
また攻撃を仕掛けようとするゼイドラムのクサナギの攻撃を集中させる。ロフがそれをかわしている間に三人がカガリを安全な場所にまで連れて行く。こうして何とかカガリを救い出したのであった。
「何とか助かりましたね」
「ええ」
ユウナはほっとした顔でアズラエルの言葉に応えた。
「本当に危ないところでしたけれど」
「全くです。カガリさんに死なれては困りますからね」
「そうです」
ユウナはその言葉に頷く。
「カガリに何かあってはオーブの国民に顔向けができません」
「本当は前線に出るのも望ましくないのですがね」
アズラエルはここでは政治的な判断を口にした。
「実際のところは」
「それは僕も同じ考えですけれどね」
ユウナも本質的には政治家なのでアズラエルの言葉に頷くことができた。
「ですが何分ああいった性格ですので」
「止められませんか」
「ある程度は覚悟していましたがそれでも」
今回はかなり焦ったのであった。
「本当に危ないところでした」
「全くです。しかし」
ここでアズラエルはクサナギの攻撃をかわし後ろに引いたゼイドラムを見て言う。
「カガリさんもパイロットしてはかなりの腕になっています。その彼女を一撃であそこまで追い詰めるとは」
「あのマシンとパイロット、侮れませんね」
「はい、ですから」
ここでアズラエルは手を打つことにした。
「リュウセイ君、いいですか」
「何ですか」
すぐにリュウセイが応えてきた。
「あの青い指揮官機を御願いできますか」
「あいつをですか」
「そうです」
リュウセイの言葉に頷く。
「御願いしますね」
「わかりました。それじゃあ」
「SRXチームで相手をして下さい」
アズラエルは慎重を期してきた。
「四機でね」
「おいおい、四機かよ」
「そうです」
またリュウセイに言う。
「相手は手強いです。ですから」
「わかりました」
アヤがアズラエルに答えた。
「それではチーム全体であの青いマシンに当たります」8
「それで御願いしますね」
「おい、アヤ」
リュウセイがアヤに対して言う。
「いいのかよ、今四機全部一機の相手に向ける余裕はねえぜ」
「それでもよ」
しかしアヤの考えは変わらない。
「カガリがやられたのよ。尋常な相手ではないわ」
「そうですね」
アヤのその言葉にライが頷く。
「致命傷は避けたようですが」
「だからよ。私達でもおそらく一機ずつでは相手にはならないわ」
「だからかよ」
リュウセイも話を聞くうちに一機では難しいと考えるようになってきていた。
「いい、リュウセイは前に出て」
アヤは言う。
「レビはリュウセイのサポート。それで私とライで後方支援に回るわ」
「了解」
「わかった」
ライとレビはすぐにアヤの言葉に頷いてきた。
「リュウセイもそれでいいわね」
「ああ、やってやるぜ」
彼も考えも纏まっていた。もうそれで異論はなかった。
「それじゃあSRXチームで」
「やいましょう」
ライも言う。そうしてナデシコに近付こうとしていたゼイドラムに向かうのであった。ゼイドラムはこの時前にリョーコ達の小隊と対峙しようとしていた。だがそこにSRXチームが来たのであった。
「あのマシンの相手は私達に任せて」
「おいおい、あたし達の獲物なのにかい」
リョーコがそうアヤに対して言う。
「そういう話になったから。悪いけれどね」
「そうなのか。それじゃあ仕方ねえな」
「私達はまた別の相手ですね」
ヒカルもそれで納得する。
「幸い相手は周りに一杯いますし」
「先に前進」
イズミもそれに従う。
「前転して前進」
「何かイズミさんの駄洒落ってよ」
リュウセイは今のイズミの駄洒落にかなり引きながら言った。
「かなり強引だよな」
「気にしないで下さい」
しかしここでナデシコからルリの声がした。
「イズミさんの調子のパラメーターですから」
「あれはパラメーターだったのか」
「そうです」
ルリはライにも答えた。
「ですから御気になさらずに」
「わかったぜ。まあとにかくあの青いのの相手は任せてくれよ」
「はい。ですがリュウセイさん」
ここでまたルリは言う。
「何かあるってのかい?」
「くれぐれも御気をつけ下さい。ハッキングしたところあのマシンの性能はかなりのものです」
「でしょうね」
ルリのその言葉にアヤが頷く。
「カガリちゃんを一撃だったから」
「カガリさんは命に別状はありません」
ユリカはそれは保障する。
「ですがストライクルージュは今回の戦闘では使用不能になりました」
「助かっただけでもよしとしなければならないか」
「そうだな」
ライの呟きにレビが頷く。
「ここはな」
「ナデシコからも援護射撃を行います」
ユリカはそれも言ってきた。
「ですから御安心を」
「頼むわ。本当に用心しないといけない相手だから」
アヤはゼイドラムに向かいながらユリカのその言葉に応える。
「いいわね、リュウセイ」
「わかったぜ。じゃあ援護を頼むぜ」
「わかったわ」
「それは任せろ」
すぐにアヤとライから言葉が返る。
「レビもな」
「御前は右に回れ」
レビはそれを受けてリュウセイに言ってきた。
「私は左につく。それでいいな」
「ああ。それじゃあよ」
ゼイドラムに向かいながらそのレビに言葉を返す。
「カガリの仇だ。覚悟しやがれ!」
後ろからR-2とR-3の援護射撃を受けながら突っ込む。ロフが二人の攻撃に気を取られている間の素早い動きであった。
「ふむ、あの二機が後方援護用で」
ロフはR-2とR-3を見たうえでリュウセイのR-1を見て呟く。
「これは接近戦用か」
「ゲストの指揮官だな!」
リュウセイはここでロフに対して問うた。果敢に突っ込みながら。
「名乗りやがれ。何て名前だ!」
「グロフィス=ロクレイン」
ロフはそれに応じて名乗った。
「そしてこれはゼイドラムだ」
「ゼイドラムっていうのかよ」
「そうだ。以前に名乗った気もするがな」
「そういやそうだっけか」
リュウセイはそれを聞いて応えた。
「あんた、どうしても俺達とやるつもりなんだな」
「そうだ」
ロフはそうリュウセイに対して答えた。
「だからこそここにいる」
「どうせ細かい理由は聞いても言わねえんだおるな」
「それは俺の仕事ではない」
やはりロフもそれは否定した。
「悪いがな」
「じゃあそれでいいぜ。とにかく今は」
「俺の相手をするというのだな」
「容赦はしねえぜ」
あらためてロフに対して言う。
「カガリの仇だからな」
「さっきのマシンのパイロットの名前か」
「そうさ、何とか助かったがな」
「ふむ、それは何よりだ」
リュウセイにとっては意外なことにロフはそれを聞いて何故か悔しがりはしなかった。むしろ生きていて喜んでいるようであった。
「あんたそれでいいのかよ」
「戦いでも犠牲は最小限であればいい」
そうリュウセイに対して告げる。
「そうしたものだ」
「あんた意外といい奴なんだな」
「自覚はない」
それには応えはしない。
「だが地球人だからといって諸君等に偏見はないつもりだ」
「それで充分さ。けれどよ」
だが今彼等は戦場で対峙している。これは言うまでもなかった。
「こうして派手にやり合っているんだ。こっちも容赦はしねえぜ」
「こちらもそうしてもらう必要もない」
ロフも言う。
「では。いいな」
「おうよ。来やがれ!」
両者は対峙し互いに拳を構えた。
「拳には拳だ」
「やはり接近戦用のマシンか」
二人は互いを見たまままた言う。
「T-RINKナックル!」
「バニッシュゲイザーーーーーーーーッ!」
R-1は右の拳を、ゼイドラムは左の拳をそれぞれ出した。それでお互いを撃ち崩すつもりであった。それぞれ激しく突進し拳を繰り出す。今拳と拳が激突した。
この勝負はロフの勝ちだった。リュウセイはあえなく吹き飛ばされた。
「ぐわっ!」
「くっ、しかし」
だがゼイドラムも衝撃を受けていた。R-1を吹き飛ばしながらもその動きを止めていた。
「このゼイドラムにここまでの衝撃を与えるとは。やはり侮れないか」
「リュウセイ!」
そこにレビが攻撃を仕掛ける。
「やらせはしない!」
「そしてもう一機か」
ロフは自分から見て右手から攻撃を浴びせるR-GUNを見て呟いた。
「しかもこのマシンもかなりのものだな」
攻撃はかわす。しかしその力量は認めていた。
「それに後ろの二機もいる。戦いが続けばこちらが不利か」
「まだまだっ!」
そしてリュウセイもまた立ち上がってきていた。
「この程度でやられるか?」
「俺のバニッシュゲイザーを受けてまだ立つとはな」
「確かに効いたぜ」
リュウセイもそれは認める。
「しかしな。この程度でやられる程ヤワじゃねえんだよ!」
「それが地球人なのだな」
「ああ、そうさ」
またロフに答える。
「今度こそ。やってやるぜ」
「ならば来い」
ロフも彼のその言葉を受ける。
「俺も退くつもりはない」
「ならここで」
リュウセイはまた拳を構える。ロフはレビ達の攻撃をかわしながら彼もまた拳を構える。しかしここでそれが果たせなくなったのであった。
「司令」
「どうした?」
通信に応える。
「インスペクターの部隊が近付いています」
「何、もうか」
「どうされますか?」
通信を入れてきた部下は彼に対して問う。
「このままですとインスペクターの部隊まで相手にしなければなりませんが」
「そうなれば今の戦力では無理だな」
「御言葉ですが」
部下もその言葉に頷く。
「下手をすれば全滅も」
「わかった」
それを聞いてロフは決断を下した。そうして速やかに全軍に告げる。
「全軍撤退だ」
「撤退ですか」
「そうしてすぐに安全圏まで離脱する」
彼の判断は迅速なだけでなく的確であった。
「それでいいな」
「はい」
「それではすぐに」
「破損しているマシンは可能な限り回収しろ」
その中でもそれは忘れない。
「パイロットを優先させてだ。いいな」
「わかりました」
部下達もそれに頷く。彼の言葉通りにすぐに同僚達を助け出して下がっていく。
ロフはその間ずっと殿軍を務めている。そうして敵を寄せ付けない。
「あの指揮官」
ブライトはロフのその戦いぶりを見て言う。
「部下を少しでも逃がしているのか」
「見事ですね」
それにサエグサが応える。
「あんな指揮官が敵にもいるなんて」
「ゲストも侮れないな」
ブライトは素直にロフを認めていた。その間にロフはもう自軍をあらかた撤退させ自身も撤退に入った。こうして見事な撤退戦をロンド=ベルに見せたのであった。
「何かここまで立派な撤退戦ははじめて見たよ」
「そうですな」
ユウナの言葉にキサカが頷いていた。
「敵将とはいえ見事です」
「あのカガリも退けたしね」
ユウナはそれについても言う。
「それでカガリは大丈夫なんだね」
「はい」
それにトダカが答える。
「ストライクルージュは次の戦闘では使用不可能ですがカガリ様御自身は」
「だといいけれどね」
ユウナはまずはそれに安心した。
「何かあったらまずいでは済まないからね」
「そうですな」
「じゃあカガリは次はお休みかな」
「いえ、それが」
トダカの顔が暗くなる。
「スカイグラスパーに乗って出られると」
「元気だねえ」
ユウナはそれを聞いて半分呆れた声になっていた。
「あれだけのダメージを受けて」
「どうされますか?」
「言っても聞かないだろう?」
諦めた声になった。
「だったら仕方ないさ。好きなようにやらせるさ」
「左様ですか」
「うん。それじゃあスカイグラスパーの用意はできているね」
「はい」
今度はキサカが答える。
「既にもう」
「それじゃあそれに乗ってもらおうか」
「はい、それでは」
キサカはユウナのその言葉に頷いた。
「そのように」
「じゃあ次の戦いは」
「それがもう来ているんですよ」
アズラエルが言ってきた。
「何か同じ敵が」
「同じ敵ってまさか」
ユウナはアズラエルの今の言葉を聞いて慌ててモニターを見る。
「さっきの敵が引き返してきた!?」
「いえ、どうやら」
キサカがそれに応えて言う。
「今度の敵はインスペクターのようです」
「そうなの。何か忙しいねえ」
「どうされますか、ユウナ様」
「敵の到着まであと二時間です」
「二時間なのか」
ユウナはトダカの言葉で考える顔になった。
「それだけあれば食事の時間はあるね」
「食事ですか」
「皆の気力を回復させておこう」
彼はそれを考えていたのだ。
「そうして気力を回復させてね。次の戦いに挑むとしよう」
「それはいいことですね」
アズラエルがそれに同意して頷く。
「今の戦いもかなり激しかったですしその間に気力を回復させておけば」
「そういうことです。じゃあすぐにね」
そうしてキサカに命じる。
「携帯食を出して」
「わかりました。それでは」
「それを食べ終わったらすぐに戦闘用意」
ユウナはこうも言う。
「それでいいね」
「はい、それでは」
「すぐに食事の用意を」
「何分慌ただしくなるけれどそれは勘弁して欲しいね」
ユウナはそこも気遣っていた。
「悪いけれどね」
「それではすぐに食事を」
「うん」
こうして戦いは一旦終わり食事に入る。そうして次の戦いに向かうのであった。
第三十一話完
2007・12・20
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