インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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過去話~プロジェクト・スペースクルーズ
最初はこの施設に来て不安しかなかったが、今ではそうでもない。むしろISだけでなく身体能力も高い結華を倒したこともあり、俺は余計に注目されていった。
さらにその日からCo.1という称号が与えられた。
「アイツ、実はすごいんだろ?」
「なんか強いだけでなく、頭もいいんだってな」
周りからそんな会話が聞こえてくるが、俺は当然のように無視した。
『相変わらずの無視ですか』
(別に馴れ合う必要はないだろ。今までもそうだったんだからな)
自室―――ではなく、Co最高位の地位を手に入れてから急遽造ってもらった自分の研究所。そこではISコアを研究すると同時にISを戦闘ではなく漁などで使えるように改良したりと経済に貢献できるように研究している。まぁ、意味がないものだとわかっていても、零落白夜があるんだからISを纏っていて死なないということはないのだ。
零落白夜―――それはあの有名な織斑千冬が使用する第一世代型IS『暮桜』の単一仕様能力であり、バリア無効化の能力を秘めている。理論上では絶対防御も無効化して殺せるが、本人は性格故にそんなことはしないだろう。
(さて、今日もコア・ネットワークに侵入しますか)
これを聞いた結華と克己は卒倒したのは言うまでもない。まぁ、研究のために侵入しているんだけど、当初はセバスと同時に入って俺が妨害の迎撃に入ってセバスは退路確保をしていたが、今では楽々に侵入できていた。
「それにしても相変わらず複雑だな。それに燃料は一般的なものだが自己開発した増加ナノマシンを使用されているのか」
『相変わらず複雑の機構なのね、マスター』
「……敬語にするか普通にしゃべるかどっちかにしろ、シヴァ」
『じゃあ、ご主人様♪』
「お前、当分深夜アニメは禁止」
彼女は破壊神をモチーフにして造ったコア《レジェンド・コア》。シヴァと呼んでいるのはさっきも言った通り破壊神をモチーフにしているからだ。ちなみに性別は女でこいつだけは色々と特別だ。
他にも《レジェンド・コア》は四つあり、それぞれ何らかの神か神獣がモチーフになっている。
彼女たちはある計画を前提にして作製し、今もその計画を達成するためにISコアを研究している。
「他には色々あるが、この自己進化能力とかはあまりいらない気がするんだけど」
『それだと形態移行をしないのでは?』
「それもそうだろうけど、まぁ同じのなら造れることはわかったんだからいいか。それに―――これだけ揃えばいいだろ」
少しいじって………これでいいか。
■■■
「…………マジ?」
「ええ。普通のISコアと差はないと思いますよ」
まぁ、コピーしたと言っても過言ではないが、一応やってみてほしいというのが本音だ。
ちなみにだが、この組織の上層部は当初から俺にISコアをコピーさせようとしていたっていうのが本音らしく、克己も密かにやるようお願いされていた。だから同じ特殊レアメタルでできた瓜二つのISコアを受け取った。
さらに追記すると、この組織はただISという欠陥兵器が気に入らないで集まった者たちだけに過ぎず、特に野心などは抱いていない。一度上層部の人間と話をしたことがあったが、全員が政府や女性から酷い仕打ちを受けたヤツラばかりであり、話してくれたことも嘘ではないと判断した上で俺はISコアの量産計画に乗り出した。克己は隠蔽するらしいが、すぐバレるだろ。
そして海中での作業を想定した第二世代型IS『海蛇』を組み立て、テスト試験で特に問題が起きなかったらしい。
「「……………」」
それがどんなコアが使われているか知っている克己と結華は声も出ないほどだった。
(………俺のも組み立ますか)
そう思いながら自分のポケットにあるコアを見る。
それは同じ素材を用いて作りなおして造ったISコア。多少いじったので完全なISコアではないが、機能や一般的な能力などはISコアと大差ない(ようにしている)。
(それにしても、驚いたな)
本来、ISコアの全容は明らかになっておらず、女だけしか動かせない原因は篠ノ之束もわからないと言っていたが、実際はそうではなかった。彼女自身がそうなるように仕組んでいて、遺伝子などを登録すれば使用できるようになっていた。それにそのプロテクトを解除すれば全員ができるようになっていたが、そこまではしないでおく。篠ノ之束がうるさいだろうから、俺だけにしておく。コアが勝手に解除したようにすればただ予定外のアクシデントとして認知してくれるだろう。
それから自分の研究所で俺は新たな製作に乗り出した。
「ということで、プロジェクト・スペースクルーズを提案したい」
「「……は?」」
その場にいた克己と結華は唖然とした。
「また唐突にどうしたんだ?」
「兄さん、頭でも打った?」
「いや、俺は至って正常だ。だから俺は篠ノ之束を超えようと思う」
そう宣言すると、その場にいる二人が黙り込んでしまった。
「……いや、さすがにあの人には叶わないだろう。いくら祐人が天才と言えど―――」
「そうだよ兄さん。あれに勝てる人なんていない」
二人はすっかり諦めムードだが、それでも俺の目はまるで勝ったかのように輝いていた。
「いや、ある! 俺たち凡人でもあの女に勝つ方法は、ある! それがプロジェクト・スペースクルーズだ!」
そう言うと、克己が何かわかったのか、
「なるほど、だからか?」
「え? どういうことなの、兄さん」
結華はまだわからないらしい。まぁ、ISは今は兵器だからな。
「ISは元々、宇宙での活動を想定して造られていたんだ。だがISはその性能が高い故に兵器―――表ではスポーツとして扱われている」
「なるほど。それでこのプロジェクトってわけね」
結華は納得したのうにうんうんと頷いた。
「だが祐人、その設計図はどうするんだ? 周りはうるさいだろう?」
「あ、大丈夫。細部を色々いじって8mになっちゃったけどもう完成しているから」
そう言って装置をいじってライトを点灯させると、そこには黒色に塗られた戦闘機が現れた。
「ちなみにこれは可変式で人型に変形可能。動力部分はコア型電池を採用しており、燃料タンクには自動回復ナノマシンが搭載されているのでしばらくは運行可能。と言ってもISには勝てないように出力を調整しているけど」
操縦方法はISみたいに操縦者の思考を読み取って動かすこともできるが、脳に膨大な負担がかかることもあってあまりオススメできない。まぁ、こっちはビット兵器を操作するのに必要なことだから別に対して必要でもないが。
「他には大型ビーム砲とか近接ブレードとかを搭載する予定だ。ちなみに空論上は単機でも宇宙に出ることは可能なはずだ。だから最初は俺か女が乗るべきだな」
「え? どうして兄さんも?」
「そりゃあ、俺もIS使えるからな」
正しくはISモドキだろう。やりすぎて今でも冷や汗をかいている。
「………は?」
「……まぁ、ISと同等の大きさでパワードスーツでという条件なら検討中。今は俺自身で実験を重ねているが、その場合は今の世界のパワーバランスが崩れるだろうから発表は未予定。まぁ、こんな世界なんて潰したほうが世のため人のためってことだけど」
「「……………」」
二人は俺を見て唖然としていたが、何か驚くことでもあったのだろうか……?
その後、検討したがプロジェクト・スペースクルーズは見送る方針となったが可変ロボ『パワードマシン』は作業用ロボとしての量産をしたいと言われてそういう方面で作業が開始された。
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