ガールズ&パンツァー もう一人の転校生
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梨華の思い
「どうしたのかな?」
梨華を見て私はいつもの元気が無いように見えた。
修善寺女子高との練習試合でも何時もの感じがしていなかった。
梨華のことをよく知っているさやねさんも何も教えてくれない。
私はどうすれば良いのか考えた。
でも何も思い付かなかった。
「梨華はどうおもっているのかな?」
私は梨華の気持ちになって考えてみた。
梨華は私に何か言ってくれていた。
でも思い出せない。
思い出したくなかった。
それは昨日の夜のことだった。
「みほが隊長なんだよ。みほが私たちにも指示を出さないと統率がつかないじゃん。」
梨華が私に向かってなにかを言い出した。
「それはそうだけど。でも梨華は私が指示を出すよりも自分で判断して戦う方が強いから。」
「そうじゃない。みんなが一つにならないと大狩流派祭は勝てないよ。全国大会とは違うのだからさ。」
梨華はなんで私に指示を出せと言ってくるのかな?
私は今のままの戦いかたが良いと思うのだけど。
「そうかもしれないけど。梨華には梨華の良い「ふざけないで。」えっ。」
梨華が横から口を入れてきた。
「私が言っているのはそうじゃない。みほの指揮を信じて戦ってみたい。一人の仲間として。」
どうしてこんなこと言うんだろう。
私では梨華の力を発揮させることが出来ないのに。
「次の試合は指示がなければ動きませんから。」
「ちょっと待って。私には無理だよ。梨華とは流派も環境も違ったんだから。それに、大狩流派祭なんだから梨華が隊長をした方がいいんじゃないの?」
そうだよ。
大狩流派祭なんだから梨華が隊長をやればいいんだよ。
「私は指揮の才能がない。去年の全国大会を見ればわかるでしょ。」
「違うよ。あれはお姉ちゃんがすごかっただけで梨華はなんにも悪くなかった。」
「お世辞でもありがと。ともかく私は一回戦、みほの指揮を待っているから。」
「待って。」
私の叫びむなしく梨華は自分の部屋に行ってしまった。
「もう一度、梨華と話そう。」
私は自分の部屋を飛び出して梨華の部屋に向かった。
部屋は同じマンションにあるから移動が簡単だった。
梨華の部屋の前に着くと中から話し声が聞こえた。
一人は梨華のものだったが、もう一人は誰か分からなかった。
「ピンポンー。」
私は玄関ベルを鳴らした。
「はーい。ってみほどうしたのこんな時間に。」
中にいたのははやだった。
「梨華に話をしたいんだけど。」
「分かった。入って。」
中に進められて中に入っていくと普通にご飯を食べている梨華がいた。
「話って何?」
「梨華は私を隊長だって言ってくれたよね。なら私の頼みを聞いて。」
いつになく真剣に話していることは自分自身でも分かった。
「分かった。言ってみて。」
梨華も承諾してくれた。
「全国大会同様に遊撃隊をやってください。」
頭を下げる私に驚いたのか梨華はビックリしていた。
「私の理想とは違うけどみほなりに考えたんだ。」
「えっ。なに?」
梨華が何て言ったか聞こえなかった。
「分かった。って言ったの。」
「梨華ありがとう。」
「でも私は梨華の命令しか最初から聞く気無かったから関係ないわね。」
首を突っ込んでくるはや。
はやの隣で怒っている梨華。
「はやはあとで話しよっか。」
「嘘です。ごめんなさい。」
やっぱり梨華を怒らせると怖いね。
特に言動が、
「なにか言った?」
「ううん。なにも言ってないよ。」
言ってはいない。
思っただけ。
「ならいいけど。」
「そう言えば修善寺女子高の斉藤もなかさんはどうなったの?」
あれからどうなったか聞いてなかったからきになっているの。
「もなかならここにいるよ。」
梨華が指差す所(台所、又はキッチン)に何故か大洗の制服を着て茶碗を片付けているもなか。
「どうしてここにいるの?」
「負けたから本家の草むしりをさせようと思ったけど時期的にあまり無いらしいから1ヶ月私の下僕(げぼく)になって貰うことにしたの。」
私は今一度感じた。
梨華だけは絶対に怒らせてはいけないと。
『さて、いよいよ始まる戦車道大狩流派祭ですが、今年の優勝予想校であった黒森峰女学院が出場停止が日本戦車道連盟から通達がありました。詳しいことは分かってはいませんが黒森峰女学院の顧問は事情説明を強く要求するとのことでした。』
ニュースで流れていたことが本当だとしたら大きな争いになるかもしれない。
私はお姉ちゃんに急いで電話をした。
「お姉ちゃん。どうしてあんなことをしたの?」
『どういうこと?私はなにもしていない。』
本当にどうなってんの?
まさか。
「顧問の先生はなんか言ってなかった?」
『今回の出場停止の事を詳しく聞かれたけどそれだけよ。』
「お姉ちゃん。ニュースでね顧問が抗議したって言ってたよ。」
『えっ。』
お姉ちゃんも知らなかったみたい。
でももし喧嘩になったりしたら来年は全国大会でさえ出場停止になっちゃうかも。
「とにかく顧問の先生頼んだよ。」
無理やりお姉ちゃんに押し付けた。
「そんな慌てなくても。連盟がしっかりとした事情説明をするわずだよ。」
「分かってるよ。でも心配で。」
「私たちは明日のことを考えないと。」
明日は遂に開会式と一回戦第一試合。
つまり私たちと文教女学院との試合がある。
決して油断はできない。
「開会式には隊長、副隊長が参加すればいいんだよね。梨華。副隊長なんだけどやっぱり梨華がやって。いややりなさい。」
私は初めて人に命令をした。
あまり心に良いものではなかった。
でも梨華は満足したように笑っていた。
「了解です。やっぱりみほに命令は似合わないね。」
「梨華、酷いよ。」
泣きたくなってきちゃった。
「私が間違っていたよ。ごめん。」
「梨華。」
「やっぱりいつもと同じでいいよ。」
「梨華。副隊長お願い。」
「分かった。それはいいけど明日のためにもう帰ったら。」
私の体を気にしてくれたのだと私は思った。
けどなにか違う理由もあるみたい。
「分かった。おやすみ。」
「「おやすみなさい。」」
二人に見送られて私は自室に戻って寝ました。
「みほにバレるかとひやひやしましたね。」
私は、はやが招いたのでは。とツッコミたかった。
「明日の作戦を考えていたけど遊撃部隊なら作戦を変えないとね。」
「今日の夜も長そうですね。」
私たちが寝たのは深夜二時だった。
後書き
次から予選トーナメント一回戦、二回戦を書きます。
一回戦、二回戦は三話くらいでいきたいと思います。
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