ハイスクールD×D 紅い神喰狼と赤龍帝
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グレモリーvsフェニックス その2
~???side~
私は『雷の巫女』を撃破した後、下で騒いでいる『兵士』を倒そうと手を向けた瞬間、本能が危険だと叫び、その場から離れた。
直後、先程まで私が居た場所に何かが高速で放たれ、後ろの木々がぶっ飛んだ。
ドガァン!!
バキキキキィ……………
ドスンッ…………!
一体今のはどこから………?!
放たれた場所を特定しようにもその場所は木々が多く茂り、姿すら探すのは困難な場所だった。
その時だった。
私よりも少し前の空間に球体のようなものが放たれていた。
「………………?」
そして宙に上がった球体も落下しようとした瞬間、どこからか銃声が聞こえた。
ダンッ!
ガンッ………!
ボォン………!
「キャアアッ!」
爆発?!
でも、魔力じゃないから、まさか………!
「回転式グレネード!?」
爆発からどうにか逃れた私だったが、その時には至る場所にグレネードが放たれており、その直後全てのグレネードに直撃し、私の周り一帯を爆発で覆い尽くしてきた。
この私が………『爆発女王(ボム・クィーン)』と呼ばれた私が得意の爆発でやられるわけにはいかないのよ………!
「くあぁあああああああぁっ!!!」
なんとかボロボロになりながらも、全ての爆発に耐えた。
そして私は爆発に巻き込まれる直前に銃口から火が噴いた場所に向かって爆発させた。
ボォン!!
煙が晴れてきて、その僅かな隙間から人影が見えたのでさらなる追撃を放った。
「くらえぇ!!」
ボボボボォンッ!!
私と狙撃者の周りは私の爆発により何もなくなり、更地となった。
再び煙が晴れると狙撃者の来ている物だろうか、ところどころ破れているコートが靡いていた。
「私をここまでした代償は大きいわよ? 狙撃者さん!!」
ゆっくりと私は近づき、コートを取った。
「なっ!? ダミーですって!!?」
コートを取ったら、木の枝を寄せ集めて作られた木の人形だった。
「で、では、どこに!!?」
辺りに居る筈だと思い、私は空を飛ぼうとした時、横っ腹に強烈な一撃を貰った。
ドスンッ!!
「がぁあああああああ!!?」
腹のあたりに貫通された。
私は腹を押さえながら、必死の思いで空に浮かび、ゲーム直前でレイヴェル様に渡された小壜を飲んだ。
その小壜はフェニックス家が生産・販売している『フェニックスの涙』。
『フェニックスの涙』は飲んだ者のどんな傷をも癒す力がある。
ただし、私が所持しているのは一つ………、だからもう後がない。
「今度はそうはいk………………「ドォーーン」…………がはっ!!」
取り敢えず、敵が隠れているこの森林を爆発で更地にしようと思った瞬間、背後からミサイルが直撃した。
「ふ……………ざけるなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
私は怒り任せに私の目前に広がる森林を爆発させた。
~爆発女王side out~
~真紅狼side~
俺を探している敵の『女王』に狩猟の合図として、手始めにアーウェン37をブチ込んだ。もちろん、発射する時、煙で位置がバレないように草葉の陰で隠して放つ。
だが、直接当てるのは至難の業だが……………何かの拍子にそれを勝手に爆発させてしまえば、当たらなくも無い。
要は“点”で攻撃するのではなく“面”で攻撃するのだ。
俺は左手でアーウェン37を放った後は、すぐさま右手の真紅の執行者でグレネードを爆発させる。
ボボボボボォン………!!
眼前では、凄まじい勢いで爆発の嵐となっていた。
その内に、俺は手近にあった枝木を集めて、人に仕立て上げさらに人っぽく見せる為に俺のコートをこのダミー人形にかぶせて、ゲパードを担いでゲパードの威力が最大限に発揮するポイントに移動した。
『くらえぇ!!』
ダミー人形が置いてある場所を何度も爆発させる敵の『女王』。
まだ人影が立っていることに気が付いたのか、さらなる爆発を叩きこんでいた。
俺はその間にゲパードに弾を込めて、スコープで覗きこみ、完全に相手の足が止まるのを待った。
コートを剥ぎ取った瞬間、それが気が付いた敵の『女王』は一瞬だけ完全に動きが止まった。
「よく見やがれ、バカ女」
引き金を引いた。
放たれた弾丸は対象物に当たり、そのまま腹を貫通した。
『がぁあああああああ!!?』
腹を貫通されながらも、必死に空に浮かび上がった。
そして懐をなにかゴソゴソと探り、液体の小壜を飲んでいた。
すると、今まで傷つけた傷が癒されていた。
なんかの回復薬か………?
まぁ、いいや。今度は回復すら出来ない程の破壊力を直撃させてやる。
次に俺はRPGを隠しているポイントまで気配を悟られずに移動し、弾頭だけこっそりと外に出して、狙いを定めようとしたら、間抜けにも背中を曝け出していたので容赦なくRPGをぶっ放した。
『ふ……………ざけるなぁぁぁぁぁぁ!!!!』
ボォンボォンボォン………!!
あ~あ、キレちゃって。
自分で隙を見せた方が悪いのにナー
その時、近くで爆発した。
「………あれはさっさと仕留めた方がいいな。主に俺の肉体的に迷惑だ」
爆発で顔が煤だらけになるのは勘弁してもらいたいな。実に。
と言っても、奴は空に浮かんでいて手が出せないし、ゲパードはこの先のイッセー達の遊撃として回さなきゃならんし、アーウェンは撃ち止め。
俺も空を自由に駆けることが出来たらいいんだが………
七夜の体術じゃ空の戦闘は不向きだし、アレは屋内の方が絶大な威力を発揮する。
まったくこの時だけ、“人間”ってのが枷になるとは………こういう時が本当に嫌になる。
その時だった。
俺の足が光り、眼を覆った。
目を開いた時には、俺の足は神喰狼の後ろ両脚が装着されていた。
「これは………?!」
『そこかぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「ヤベっ!!」
俺は咄嗟に上に飛び上がっていた。
しまった………、俺は人間。
こいつらのように悪魔じゃない為、空を飛ぶことが出来ない。
すぐさま重力の関係で下に落下するかと思われたが……………そんなことは無かった。
「なんだと!? ただの人間が空に浮かんだだと!?」
「あれ? コイツのおかげか?」
俺は足元のブーツを見た。
脚の周りには、紅い獣毛がふんだんに使われており、また脚の先には大地を踏み締める様な鉤爪が両脚にくっついていた。
そして、背中のコートのように頭にコイツの情報が流れてくる。
なるほど、コイツが脚の神器………
“天地を踏みしめる剛脚”
か。
コイツはいい。こういう開けた場所での戦闘でも七夜の体術はそれなりには威力を発揮するが、障害物と敵の位置に距離があり過ぎるとどうにもならないが、これは空中を駆けることが出来る。
実に最高の神器だ。
俺は脚の神器の発動と同時に腕と背中も発動する。
「貴様、なんだそれは?!!」
「全部、神器だ」
「ば、バカな!! 神器は一人、一個の筈だぞ!!」
「イレギュラーってのは、どんな物語にもあるものなんだぜ? 折角だ、神器の名前を教えてやろう。この背中が“紅き天魔狼装”、腕が“大地を引き裂く狼爪”、そして今回発動した脚の神器の名が……“天地を踏みしめる剛脚”だ」
「だ、だが、全部神器だとしても全てを十二分に操ることなど…………!?」
俺は、敵の『女王』が一瞬だけ視線を外した瞬間、空を七夜の体術で駆け、懐に潜り込んだ。
「さっきから隙が大き過ぎなんだよ………ぶっ飛べやぁ!!」
左手でボディブローを叩きこみ、そしてふらついた敵を女でも容赦なく顔に強烈な右ストレートを叩きこんだ。
ドッゴォォン………!!
強烈な一撃を貰った敵の『女王』は一撃を殺すことなど出来ず、そのまま一直線に地面に叩き落とされ、撃破した。
そして……………
『ライザー・フェニックス様の『女王』、リタイア』
グレイフィアさんのアナウンスが戦場に鳴り響いた。
「さて、次の獲物を探しに行くか」
俺は、置いてきたゲパードと簡易武器庫を取りに戻り、イッセー達の気配を探りながら向かっていった。
~真紅狼side out~
~グレイフィアside~
私は淡々と審判の仕事をしているが、今ここにいる観客達は全員………蒼騎様に注目していた。
「……グレイフィア、彼が?」
「はい。彼が蒼騎 真紅狼です。サーゼクス様」
「神器を三つも保持している人間か………グレイフィア、彼の印象はどうだったかね?」
興味を示したサーゼクスは尋ねる。
「そうですね。………人当たりのよさそうな方でしたが、その様子とは裏腹に一線の向こう側は真っ暗でした」
彼と出会って感じた事を素直に話す。
「神器を三つも保持する男と隠された“神滅具”。………この試合が終わったら実に話してみたいものだ。それにしても………悪魔が現代兵器に負けるとはね。使い手によって化けるとは聞いたことがあるが、ここまでの強さだったとは改めて人間の凄さを知ったな」
素直な感想を述べているサーゼクスに変わって、ライザー・フェニックス様の表情は非常に困惑していた。
何せ、御自慢の『女王』が手も足も出せずに倒されてしまったのである。
今向かっている蒼騎様の場所に、多くの戦力を送っていた。
そろそろ………中盤戦ね。
~グレイフィアside out~
~イッセーside~
小猫ちゃんと別れ、真紅狼が敵の『女王』を倒す直前に後ろから肩を叩く者が居た。
俺はすかさず、構えるがそれは杞憂に終わった。
「……なんだ、お前か」
「………小猫ちゃんや朱乃さんは残念だったね」
「小猫ちゃんはともかく朱乃さんの仇は真紅狼が取るだろうよ。さっきからあのあたりの森林地帯は爆発音が凄まじい」
俺が指を差した方向では、再び爆発音が聞こえた。
「派手にやってるね」
「今の真紅狼は完璧に暗殺者だからな。仕留められるなら、卑怯な手や戦いだろうが使ってくるだろうよ」
「なんで分かるんだい?」
「一週間クラスメイトとして付き合えば、だいたいアイツの性格が大まかだが掴めるぞ」
そう話していると、目の前の開けた場所に騎士の甲冑を身に付けた敵兵を見つけた。
『私はライザー様に仕える『騎士』だ! リアス・グレモリーの眷属達よ、出て来い!! 腹の探り合いをするより、尋常に勝負しようじゃないか!!』
大声で叫ぶ女騎士に感化されたのか、木場は立ち上がり茂みから出ていこうとしていた。
「やれやれ………そこまで言われたら同じ『騎士』として、断る理由がないな」
俺は堂々と出ていく木場の姿がカッコイイとちょっと思ってしまった。
そして、出ていく瞬間………
『ライザー・フェニックス様の『女王』リタイア』
「「「「!!?」」」」
「バカな、ユールベールが落ちただと!!?」
「真紅狼の奴、やりやがったな」
この場の空気が一旦驚愕に包まれるが、木場達は勝手に『騎士』同士の戦いを始めていた。
「ヒマそうだな」
「ッ!」
後ろから声を掛けられたのは顔の半分に仮面をつけた格闘家と先程からぶつくさと文句を言ってる女の子だった。
声を掛けようとした時、この辺り一帯が異様な空気に支配された。
「な、なんだ?」
「………これは、真紅狼くんの視線?」
木場がなんとか視線の主を割り出していたが、凄まじい重圧だった。
見えていないのに首元に刃物を突き付けられている感覚に陥っていた。
「くぅ!! 人間とは思えないほどの殺気だ」
敵の『騎士』は呟き、剣を構えなおそうとした時、剣が弾け飛んだ。
ガキィン!!
「くぁっ!!?!」
いきなり剣が弾き飛ばされ、俺達は驚いたがすぐに誰の仕業か判断出来た。
「……イッセーくん、まさか……」
「ああ、間違いない。真紅狼の狩りの対象にされたな。すでにどこかの茂みで次の狙撃準備をしているだろうよ」
「下がった方がいいかな?」
「さっきみたいにぶっぱなされちゃ敵わないし…………撤退しようぜ」
「そうだね」
俺達は、一瞬の隙をついて茂みの中に撤退した。
その直後、先程の体育館のように俺達が居た場所が吹っ飛んだ。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
俺達は顔を見合わせた。
「撤退して正解だったね」
「………あ、ああ」
………容赦ねぇな、アイツ。
取り敢えず、俺は敵に冥福を捧げた。
~イッセーside out~
~真紅狼side~
イッセー達の気配で居場所が分かり、そこから950m程離れた場所でゲパードの狙撃体勢を作った後、二本目の“TOW”を取り出した。
ちょうど、残りの敵も固まっているようだし、手短に終わらせるか。
そして、準備が終わりイッセー達の場所を睨みつける。
すると、さすがに居場所までは察知できないみたいだが、誰の視線かだけは木場がなんとか特定したようだ。
「さて………と」
ガシャン………
俺は照準を覗いて、タイミングを計る。
イッセーと木場は先の経験を生かしたのか、その場から離れる姿を確認した。
二人が居なくなったので容赦なく引き金を引いた。
まぁ、居ても引いたけど。
発射された“TOW”はきちんと着弾地点に当たり、開幕直後に起きた体育館と同じ惨状になった。
「ここから狙撃して生き残った奴を潰す方法もいいけど、弾がもったいないし。格闘戦でいいか」
俺はゲパードを簡易武器庫にしまい、弾倉だけ持っていくことにした。
イッセー達の気配を探りながら向かうと先程の場所に戻っていた。
「よぉ、お二人さん」
「真紅狼! テメェ、俺達ごと殺す気か!?」
「生き残ってんだから、別にいいじゃねぇか。敵はまとめてくたばったし、お前等は生きてる。ほれ、一石二鳥だ」
「………真紅狼くん、その予想は外れてるよ?」
「あん? なんでだ?」
「ほら」
木場は指を差す。
すると、そこには先程木場と戦っていた『騎士』が金髪ロールの子を庇っていたのだ。
「おおぅ、仕留めたと思ったんだがなぁ。案外しぶとい」
「くっ! ライザー・・・さま・・・・の『騎士』・・・・・を舐める・・な!!」
「ま、そのご主人様も俺の手でブチのめすから、医療ルームで眺めてな」
敵の『騎士』はそのまま光に包まれて、医療ルームに移送された。
「私のお兄様が貴方の様な野蛮な人間に負ける訳ないですわ」
「“お兄様”って呼ぶことは、お前はアホウドリの妹か」
「アホっ………!! まぁ、いいですわ。アレをご覧になりなさいな」
視線を新校舎の屋根に向けるとリアスとライザーが対峙していた。
「『王』同士の勝負ですわ。万が一にも貴方達の勝利はありませんわ、私達は『不死鳥』の一族。いくら傷ついたところですぐに癒してしまうんですから」
と高慢で見下したような口調で物を言うが、俺は逆に笑ってしまった。
「クク……ハハハハハハハハハハハッ!! 『不死鳥』か!! 『不死身』か!! いいねぇ! そういうの、全くもって最高だ!!」
三人は驚き、アホウドリの妹は口を開く。
「貴方、頭おかしくなったんですの?」
「いや、別に? ただ・・・……しがいがある。まぁ、取り敢えず、イッセー」
「な、なんだ?」
「リアスのこと、心配なんだろ? 行って来い」
「い、いいのか?!」
「別にいいぞ。俺一人でもコイツの相手は務まる」
「悪い!」
そう言ってイッセーは木場と共にリアスの元に走っていった。
「私は戦いませんわよ? 傍観者ですし。………そう言えば貴方、神器を三つも持っているそうですわね?」
「ああ、持ってるがなにか?」
「三つも持っているのに、使わず倒すと言う事はよっぽどその神器が弱いのね?」
「ハハハハハ!! “三つ”か!! ふむ、ここには俺達以外誰もいないし、ちょろっとだけ真実を教えようか」
「はぁ、何を言ってるんです?」
アホウドリの妹は呆れた表情でいうが、次の俺の一言で表情が変る。
「ここで観戦している奴等は俺の持っている神器が“三つ”までと思っているが、俺がいつ、どこで、三つまでと言った?」
「…………………え?」
「俺の神器の総計保持数は“六つ”だ」
「……………え、は、はぁ?!」
「俺の六つの神器が完全覚醒した時―――呪われた門は開き、古の天魔狼は復活する」
そこで俺は喋るのをやめて、イッセー達の所に向かった。
「貴方、一体何者なの?」
「俺はちょっとばかり“特別”な人間だ」
俺はそういい、その場を去った。
俺が後者に辿り着いた時には、イッセーはボロボロでアホウドリは傷一つ付いていなかった。
イッセーの姿を見て、リアスは泣いている。
つーか、俺が来たのに誰も気が付いていないので…………
「選手の交代をお知らせしまーす! 兵藤一誠に代わりまして蒼騎真紅狼が入りまーす!!」
わざわざ、大きな声で言った。
すると、全員がこちらを向き、アホウドリは睨んでくる。
「よぉ、アホウドリ。泣き寝入りする準備はバッチリか?」
「ほざけ、下等種族が。貴様こそ、遺言の準備は大丈夫か?」
「その下等種族に自分の眷属が見事に粉砕されている気持ちはどうだ? 俺は凄まじく機嫌が良いぞ」
「貴様の様な下等種族に俺の可愛い眷属達が穢されているだけで吐き気がする。だから、貴様を今すぐ殺してケアをしたい」
「ハッ!“ケア”と言うの名の過剰なスキンシップだろ? 頭がどピンクに染まっていてまともなことも考えられないか」
お互い暴言を吐きまくる。
そして、アホウドリが黙ったので俺も黙り、互いに睨みつけた後…………
「調子に乗るなよ! …………下等種族がああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
「かかってこいやぁ!! …………下衆野郎おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」
俺達は同時に飛び出し、拳を激突させた。
~真紅狼side out~
その顔を醜く歪めてやるよ!!
後書き
なんというか、イッセー達の活躍を差し置いて真紅狼が大暴れしてしまった。
これはもう完璧に真紅狼回ですね。
一つ伝え忘れてました。
真紅狼が何も得物を持っていないときのスタイルは、脚技以外はKOF11のシェン・ウーです。
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