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ソードアート・オンライン~黒の剣士と紅き死神~

作者:ULLR
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アイングラッド編
SAO編
  ビーター

 
前書き
アニメとタイトル同じ…。 

 

Side キリト

「遅い……」



俺たちはボス攻略当日、主住区のフィールドへと出るための門に参加メンバーが集まって来ていた。


「ディアベルはん、後誰が来てないん?」

「レイというプレイヤーだ。昨日のうちから少し遅れるかもしれないとは言われたけど……遅いな」

「逃げたんちゃうか?ワイも昨日少し話したけど、たいしたやつには見えなかったで」

「……そうだな。後、5分後に出発しよう……あっ!!来た」

フィールドの方から紅いローブを羽織ったプレイヤーが走って来た。

「ふぅ。すいません遅れました」
「おい、あんたやる気あんのか!?お前のせいで時間押してんのや。ゲームだからって社会常識疎かにしていいわけないやろ!!」
「おう。だからまず謝罪したろうが?何か問題あるか?」
「ほ、本気で言ってんのかアンタ……」
「まあまあ。後5分は待つって話だったろ?いいじゃないかキバオウさん。レイ君も次から気をつけてくれ」
「ああ、すまなかった」



そういってレイはこっちに歩いて来た。



「おはよ」

「ああ、おはようて時間じゃないけど…」

「……おはようございます」

「なんだお前ら?低血圧か?ゲームなのに?」

「……いや、もういいや。ところで、何をしてたんだ?あんな朝早くから『遅れる』なんて」

「大したことじゃない。ボスにたどり着く前に雑魚と戦って疲れるのもアホくさいと思って、ボス部屋までのMobのポップを枯渇させてきただけだ」

「はぁ!?」

俺の大声を聞いて周りのプレイヤーが何事だと振り返る。

「どうした?」

レイは心底驚いた顔をしている。

「ソロでやったのか?」
「もちろんだ」
「……危険だからもうすんなよ?」



「おう。予想以上に大変だった…。もうやらん」







________________________________







ボス部屋前





「皆、準備はいいか?」

一同が頷くのを見て

「行くぞ!!」

その声を合図にプレイヤー達が部屋に駆け込んで行く。


暗い部屋が次第に明るくなり、円形の部屋奥に巨大なモンスターが座っていた。それがにわかに立ち上がり、

「グォォォォォッッ……!!」

―Illfang the Kobold Lord―イルファング ・ザ・コボルト・ロードがプレイヤーを発見し、咆哮する。

その大きさに、全員が怯む。

「固まっているとやられる!!パーティーごとに散開!!声を掛け合って連携をとってくれ!!」

ディアベルの指示でようやくプレイヤー達が動き出すが、その行く手を取り巻きのルイン・コボルト・センチネルが阻む。


「くそ……どけ!!」「邪魔だっ!!」

ボスに攻撃するための主力パーティーが立ち往生していた。

「危ない!ボスが来るぞ!!一旦引いて「それでは駄目だ」えっ!?」



パーティーが立ち往生している戦域をすり抜け、レイがボスに向かって疾走する。素早く側面に回り込み、ソードスキルを発動。両手剣縱切2連撃技―ダブルスラッシュ。

突然の攻撃で動きが止まるボスには追撃せず、反転、ルイン・コボルト・センチネル3体に切りかかる。両手剣横切単発技―サイクロン。

それで敵は大きく仰け反るが、倒すには至らない。しかし、スキルはそこで終わらなかった。硬直時間が終わると同時に再度、スキルを起動。

それを見た瞬間、俺は自分の目が信じられなかった。片手剣の上位派生である、両手剣を今の時点で使っているのも既に驚きだが…………

両手剣中級技―サイクロン・リヴァイブ。サイクロンとは逆の回転斬りで3体を今度こそ葬る。

彼は既にミドルランクのソードスキルまで操っていた。



___________________________


Sideレイ

「ディアベルさん。取り巻きは俺達に任せてください。ボスをお願いします」
「わかった!!頼んだぞ!!」

混乱の最中、ディアベル、キリト、あの子(アスナって名前らしい。さっきパーティー組んでやっとわかった)は 動揺せずに、センチネルを倒していた。アスナは違うだろうが、あの2人がβなのは確定だろう。

キリト達と連携しセンチネルを倒していく。

やがて、ボスのHPが最後の一本に割り込み、武器を持ち換える。事前の情報ではタルワールだったそれが野太刀に変わっていた。

俺は最初の接触でボスの得物を見抜いていた。



(やっぱりか!!どうりでおかしいと……)

ディアベルは皆を下がらせスキルの発動体制に入っている。
だが、それはタルワールならまだしも、野太刀では完全に殺傷圏内(キル・レンジ)だった。



「「だめだ!!全力で後ろへ跳べ!!」」



キリトも気付いたらしく、叫んだのは同時だった。

しかし、ボスはディアベルの攻撃をかわし、反撃の袈裟斬りで彼を吹き飛ばした。

キリトにアイコンタクトでディアベルのもとへ行くように伝え、俺は今にもプレイヤー達に襲いかかろうとするボスへ駆けた。

「アスナ、一緒に来てくれ!!手順はセンチネルと一緒だ!!」
「分かった!!」



ボスの懐に潜り込み、横から剣を叩きつける。僅かに軌道が逸れた野太刀が床を打ち付け、硬直する。そこへアスナの神速の突きがクリーンヒットし、仰け反るさらに何度か連撃を加え、



「スイッチ!!」



駆けて来たキリトに代わる。これもヒットし、ついにHPケージが赤に変わる。



しかし、ボスは追撃しようとしたキリトのソードスキルをかわし、距離をとった。技後硬直時間を与えられたキリトにボスが襲いかかり、吹き飛ばした。キリトの後方にいたアスナまで巻き込み、地面に倒れてしまう。



「くそっ!!」



止めをさそうとしたボスの攻撃を斧戦士のプレイヤーが防ぎ、俺が二人に距離をとらせる。プレイヤー達は指揮官を失った混乱からは抜け出せたようだ。

「回復するまで、俺たちが食い止める!!」
「すまない!」

キリトに回復ポーションを飲ませ、立ち上がるのを見て、

「行くぞ!!剣は弾きまくってやるから、ガンガン攻撃してくれ!!」
「おう!!」「はい!!」

そして、3人でボスへ突っ込んで行き、まず俺が降り下ろされた剣を弾く。そこへ2人のソードスキルが叩き込まれ、HPが大幅に削られる。

「はっ!!」

ボスの大振りの一撃を今度は受け止め、力を横に流し床にぶつける。

耐久値が限界を越えたのか、ボスの野太刀は砕け散った。


「今だ!……行けッ!」



「アスナ!最後の攻撃、一緒に頼む!!」


「了解!!」



「「はぁぁぁぁ!!!!」」



二人の強撃をくらいボスは爆砕した。








____________________________________












「お疲れ様」

二人をねぎらい、ドロップしたアイテムを確認する。

(ん?レア武器だな)



武器破壊のボーナスだろうか、「狒々ノ太刀・桜花」という武器がドロップしていたようだ。

「見事な剣技だった、この勝利はアンタのものだ」

斧使いがキリトに賛辞を送っていると、

「なんでや!なんでディアベルはんを見殺しにしたん!」

キバオウというプレイヤーが騒ぎ出したようだ。
曰く、キリトはβテスターで、ディアベルを助けられたにもかかわらず、助けなかったと。

俺はそれに呆れ、

「叫んだのは俺もだ。確かに事前の情報とは違ったが、あれだけボスと戦闘していながら、得物を見切れていなかったのはお前らの落ち度だ。」

「そんなんわかるわけないやろ!こっちかて必死だったんや!」
「それで状況に気を配れないのならフィールドに出る資格はない。無駄死にするだけだ。」
「なんやと!この…βあがりのせこやろうが!なぁ他にもおるんやろ!?出てこいずるやろう!」



あたりがざわつき、お互いを疑い始める。

「ははははっ!」

ざわめきを破ったのはキリトだった。

「元βテスターだって?俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな。SAOのβテストに当選した1,000人のうちのほとんどが、レベリングのやり方も知らない初心者だったよ。あんたらの方がまだマシさ。でも、俺はあんなヤツらとは違う」

そこで、一度全員を見渡し、

「俺はβテスト中に、他の誰も到達出来なかった層まで登った。ボスの刀スキルを知ってたのは、ずっと上の層で刀を使うモンスターと散々戦ったからだ」

キリトがシステムウインドウを操作し、黒のコートを羽織る。

「他にもいろいろ知ってるぜ…情報屋なんか問題にならないくらいにな」

キリトの考え方は正しい。悪とされるβテスターという肩書きを自ら背負うことで、自分に注目を集め、集団の中の不和という厄介な問題を解決したのだ。

「そんなんβテスターどころやないやんか!もうチートやチーターや!!」 「βにチーター、だからビーターだ!」

「ビーターか…俺に相応しい名だ。そうだ…今日から俺はビーターだ。これからは、元テスターごときと一緒にしないでくれ」

黒のコートを翻し、キリトは次層に続く階段を登って行く。













「いいのか?」

パーティーメンバーの男が話し掛けてきた。

「何がですか?」
「このまま行くとやつは1人で進んで行くぞ。危険な最前線で孤独に死にゆく運命だ」
「人の事なんか知りません。貴方が行けばいいじゃないですか」

確かに、あの男には世話になった。だが、死にに行くのを止めるのは私でもなくていいはずだ。

「ああ、俺は行くぞ。だが、キリトと共には行かない。あいつの隣にいるべきは俺ではない」
「……言っている意味が解りませんが」

「解らなくていい。答えを急いでもいいことはない。今は、生き残れ」

そう言い残して男は去って行った。 否、去ろうとした。思い出したように振り向いて、

「俺の名前はレイ。宜しくな、アスナ」

そう言ってフレンド申請を出してくる。
そして、彼女が何かを言う前にキリトとは反対の方向、迷宮区の入り口に向かって歩いて行く。

「何を言いたかったの?」

それに答えてくれる人は誰もいない。そこでふと気がつく。

(あの人達はどこで私の名前を?)

少しの迷いのすえ、黒の少年を追った。
















END 
 

 
後書き
長っかった…。

第一層ボス戦戦闘パートでした。上手くかけたかな?

いやー大変でしたよ。実はこれVer3でして、Ver1、Ver2、は消えました。はぁ。
Ver1よかったのに…。

予告、次回はプロフィール集です。オリキャラの投稿ありがとうございます!
その次はオリキャラたちとの出会いのオリストーリーです。

お楽しみに! 
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