とある科学の対能力者
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遭遇
前書き
オリヒロイン登場
朝、学生が人口の殆どをしめる学園都市では「人がごみのようだ」と言ってしまいそうなほどの学生が自分の学校を目指して群を成していた。
先日聞かされた『超能力者増加計画』をぶち壊すための準備をするためオレその中を歩いていた。
ドンッ
何かにぶつかる。
視線を下げると小学生高学年ぐらいの真っ青な髪を後ろで縛り所謂ポニーテイルにした女がいた。
そして女が持っていた飲み物がオレの服を濡らしていた。
「アァ?」
思わずドスのきいた声になってしまう。オレの悪い癖である。これのせいで相手をビビらせてしまうことも屡々ある。そのせいか友達だとかはいなかった。
「あ、すまねーです」
女はそれに微塵の恐怖も感じてないようで敬語になりきれてない口調で頭を下げオレの横を通り過ぎて行った。しかしその瞬間女はオレのズボンの右ポケットに入っていた銃をスリやがった。
「!」
オレは驚いたがすられた銃を素早く女から取り戻した。
それに女は目を見開くがすぐに我にかえりオレから逃げるためさっさと人込みの中に消えてしまった。
「口調に特徴つけたら良いと思うなよ畜生が……服どーすんだよ…」
オレの服にかかったネバネバした液体を眺めながら今日は厄日だと思った。
しばらく歩き、歩きなれた裏路地に入る。
そこから五分ほどした所に何処かの店の裏口がある。
薄汚れたドアには『weapon』と書かれている。
オレはそこのドアを捻り中へ入った。
裏路地からは考えられないほど綺麗に整頓されている店内にはそれに似合わない銃器や刃物が棚に並べられていた。
「おい蓮財」
そこの奥の部屋に向かい声をかける。王 蓮財。中国人と日本人のハーフでこの店の店主をしている男だ。
「おぉ!これはこれはキラーじゃないですか!待っていましたよ、今回は何にします?レーザーガン?レーザーガン?それともレーザーガンなんてどうです?あっ、レーザーガンって手もありますよ?それはそうと聞いてください、昨日やっと新作のレーザーガンができたんですよ。もう嬉しくて嬉しくて。あっ見ます?レーザーガン見ます?見ますよね?」
ピンクのカーディガンを着、お洒落なフレームのみの眼鏡をかけた青年、というか蓮財はマシンガンの如く喋り続ける。
こいつは一度話始めるとうざいぐらい喋り続ける。さらにそのほとんどがレーザーガンである。
「ちょっと黙れ畜生が。そもそもレーザーガンみてぇな重いもん使えるかオレは14だ。んなガキがレーザーガン持てっか阿呆が」
「14のガキが銃器持って人殺しなんてしないよ」
その声は冷たく哀しげだった。
蓮財はそのまま部屋の奥へいき数分で戻ってきた。
その手には籠と何かのケースがあった。
「はい、これうちの店の新商品のクッキー」
それとこれもね、と蓮財はケースをオレに手渡した。
蓮財は裏では武器類を扱っているが表では喫茶店を開いていて地味に繁盛している。
そこがむかつく。
オレはクッキーを口に吹きみつつ渡されたケースからハンドガンの弾を取り出し先程スラれた銃を机の上に置きそのマガジンに弾をつめた。
「蓮財、珈琲。それとこの服洗濯しといて」
ネバネバした液体のついた上着を蓮財に手渡し、珈琲をもらい作業に戻る。
左ポケットから3つマガジンを取り出してそれにも弾をつめる。
ほどなく珈琲が届き口にあるクッキーをそれで流し込んだ。
「なぁてめぇ青髪の小学生ぐれぇの女って知ってるか?」
「知らないなぁ。そんな新人が入ったって情報も噂もないからね。それがどうしたんだい?それに小学生って……」
また哀しげな顔をする。
こいつは何かとガキが裏に関わるのを嫌うやつなのだ。
蓮財は自分の分のクッキーと紅茶を持ちオレの向かいの席に腰をおろした。
「いやぁよ、そいつオレからコレスリやがったんだよ」
「君から?コレを?」
机の上に置かれた銃を眺めつつ蓮財は紅茶を啜った。
それにつられオレも珈琲を飲み一息いれた。
「まぁ取り戻せたんだがよ。何とも自然な流れだったつーかなんつーかな気になったんだよ」
「それは僕も気になるな……よし、調べておくよ」
「無茶すんなよ」
「君に言われたくないね」
蓮財はハハハと笑い紅茶を飲むと「表にお客さんだ」と言い残し喫茶店にいってしまった。
「さぁて、オレも帰るか」
珈琲を飲み干し金を机の上に無造作に置き蓮財がかわりに用意した上着を羽織り店を後にした。
―――――
「ありえねーです」
彼女はそう呟き今朝のことを思い出していた。
彼女は唯一自由行動が取れる朝、お気に入りのオクラジュース片手に学園都市を歩いていた。
ネバネバとした喉越しと何故か感じるふんわりとした甘味に頬を緩ませた。
その時であった。
銃器をポケットに突っ込み歩くという馬鹿な男がいた。
上着を着てそれは隠れていたが見る人が見れば一瞬でわかるような格好。彼女はもしかしたら銃であれば“奴等”を殺せるのではないかと考えた。
能力の使えない場所にいる“奴等”。
銃ならば届くのではないか
そう考えた。
彼女は男から銃を奪うことにした。右手にあるオクラジュースを名残惜しいと思いつつそれを男にぶっかけた。
「アァ?」
そうドスのきいた声だった。
しかし彼女はそれに微塵の恐怖も感じてはいなかった。彼女は銃を奪うことしか頭になかった。
そして彼女は男がオクラジュースに気をとられている間にそれを奪った。
だが次の瞬間奪った銃は彼女の手にはなく、男の右手に握られてあった。
つまり、奪い返されたのだ。
そして男の凍りつくような殺気を感じた。“奴等”とは比べ物にならないほどの殺気。
彼女はその場から慌てて立ち去った。
後書き
今回も短いです
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