ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第四十九話 執事
闇慈達がしばらく馬車に揺られていると、巨大な建造物・・・つまり「お城」が見えてきた。
「リアス先輩。あれがグレモリー家の本邸ですか?」
「違うわよ、闇慈。確かにあれも本邸だけど、まだまだ本邸はあるわよ?」
「何となく気付いていましたけど、改めて聞くと凄いですね」
「俺はスケールのでかさについて行けねえよ」
一誠は本邸がまだあることに驚いているようだったが、闇慈はそれとなく気付いていたらしいのでそれほど驚きはしなかったみたいだ。そうこう言っている間に馬車は城門の前に辿りついた。そしてリアス達は馬車から降りると敷かれていた赤いカーペットを包むように執事とメイドが並び、道を作った。そしてその道を部員たちが通っていると、一人の少年がリアスに向かって走ってきた。
「リアスお姉様!おかえりなさい!」
「ミリキャス!ただいま。大きくなったわね」
リアスとその少年は懐かしがる様に抱き合った。ここでこの少年が何者なのか気になったのか闇慈が尋ねた。
「リアス先輩。この子は?」
「この子は『ミリキャス・グレモリー』。お兄様・・・サーゼクス・ルシファー様の子供で、私の甥よ」
「この子がサーゼクス様の息子・・・。つまり、魔王候補と言う事ですか?」
「そう言うことになるわね。ミリキャス、彼は私達を助けてくれている死神よ。あいさつを」
「はい。ミリキャス・グレモリーです!初めまして!!」
「ご丁寧にありがとうございます。僕は黒神闇慈。どうぞお見知りおきを」
それを聞いたミリキャスは少し驚いた顔で闇慈を見た。
「お姉様。この人が『黒衣の死神』さんなの?」
「そうね。彼がライザーやコカビエルを倒した、黒衣の死神よ」
ミリキャスは闇慈を尊敬の眼で見始めた。何でも有名な悪魔や堕天使を完膚ないまでに叩きのめしたことがミリキャスの耳にも届いているらしく、その力に尊敬の念を持っているらしい。
そして城の玄関から入ると、中の装飾も素晴らしいものばかりだった。そしてグレイフィアの先導の元でそれぞれの部屋に案内して貰おうとすると・・・
「あら。帰ってきたのね?リアス」
女性の声が闇慈やイッセーたちの耳に届き、その方を向いた。
髪は亜麻色だがリアスに良く似ているようだった。ドレスを見事に着こなし、凛とした風格を漂わせていた。
一誠は相変わらずその女性の豊満な胸に目が行っていた。
(リアス先輩と良く似ているな。お姉さんかな?)
「お母様。ただいま戻りましたわ」
「・・・リアス先輩。今お母様って言いましたか?」
「ええ」
「「えええええ!!?」」
流石の闇慈もこれには驚きを隠せないらしく一誠と一緒に驚愕の声を張り上げた。
「ででで、でもリアス部長とそう歳は変わらない女の子じゃないですか!?」
一誠は目を飛び出さんとする程、目を見開きリアスに尋ね返した。
「あら。女の子なんてうれしいことをおっしゃいますのね」
「悪魔は歳を経てば、自分の魔力を使って外見を自由に変えることが出来るのよ。お母様は何時も私と同じ位の年格好で過ごされているのよ」
「本当に何でもアリですね・・・悪魔って」
闇慈は悪魔の能力に頭を抱えていた。
「リアス。彼らが『兵藤一誠』君と『黒神闇慈』君かしら?」
「僕達の事をご存知なんですか?」
「ええ。貴方たちの名前は冥界中に鳴り響いていますよ」
リアスのお母さんは微笑むと自己紹介を開始した。
「初めまして。私はリアスの母、『ヴェネラナ・グレモリー』ですわ。よろしく、兵藤一誠君、黒神闇慈君」
そしてヴェネラナは闇慈の姿を見ると・・・
「ではリアス。アンジ君をお借りするわよ?」
「へっ?どう言う事ですか?」
「それはお母様について行ったら分かるわ」
闇慈は何なのか分からず、ヴェネラナについていった。
~~~~~~~~~~~~
闇慈がヴェネラナに連れて行かれ数分後。ヴェネラナが再びリアスたちの元に戻って来た。そしてそこに闇慈の姿はなかった。
「お母様。アンジは?」
「初めて『着る』みたいだから少し時間が掛かっているみたいね」
その場にいるリアスとヴェネラナ以外の何なのか分からずに頭の上に?マークを浮べていた。そして闇慈の姿が見えたのか、一誠が闇慈に呼びかけ、近寄った。
「おい、闇慈。なにやって・・・」
一誠は途中で声を発さなくなった。
闇慈は制服姿から『黒執事服』に変わっており、両手にも手袋をしており、彼の右目には小さな片眼鏡をかけていた。そしてあまりに似合っていたため、その姿に回りは呆然としていた。
「中々似合ってるじゃない、アンジ」
「・・・闇慈先輩。似合いすぎです」
「あの・・・リアス先輩?この格好は?」
「貴方は冥界に入る際に『グレモリー家の執事』として登録しておいたから、その服装よ」
「ちょっと待ってください!!僕は何も聞いてませんよ!?」
ここでヴェネラナが闇慈を説得し始めた。
「まあまあ。ここは執事修行と言うことでダメでしょうか?」
「・・・まあ。僕も執事の仕事には興味があります。突然だったので少し驚いているだけですから、是非やらせて下さい」
「良かったわ。じゃあ明日から執事の勉強をしてもらいますわね」
「はい!!よろしくお願いします!!」
その後はそれぞれの部屋に案内され、それぞれの時間を過ごした。
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