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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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ルビスの塔

<ルビスの塔>

リュカの作り出すレミーラの光に照らし出され、漆黒の空に浮かび上がる巨大な塔。
「この塔の中に、精霊神ルビス様が封印されているんですね…」
肌艶の輝く勇者アルルが、塔を見上げて呟いた。

「どうかなぁ?石化されているってだけで、塔の中とは限らないよ。そこら辺に落ちている石ころかもしれないし、取り敢えず笛拭いてみようよ」
そう言うと妖精の笛を取り出して徐に吹くリュカ…曲目は『踊るポンポコリン』だ!



「ダメだったね…」
肩を竦めて戯けた様な仕草をするリュカ。
「ハァ~………行きますよ………」
極力相手にしない様努めるアルル…無視して塔の中へと入って行く。

「父さん…面白かったですよ」
「お父さん、選曲がナイス!」
しかし息子と娘には概ね好評だった。



塔内に入るといきなり正面の床が放電しながら光っている。
「早速のトラップね………ビアンカさん、トラマナをお願いします」
メルキドで見たバリアの床に対し、アルルは前回と同じようにビアンカへトラマナ希望する………が、
「おいおいアルル。僕の奥さんに頼るのは止めてくれないか!以前から言ってるが、僕等にこの世界を平和にする義務も責務も無いんだ!僕等の好意で行った事ならともかく、最初からあてにするのは止めてくれ」
と、リュカにダメ出しをされてしまう。

「し、しかし…あの魔法が無いと、このバリアの床を移動する事は困難です!それともリュカさんは、私達にダメージを覚悟で踏み出せと言うのですか!?」
未だにリュカ達に依存しているとの思いがあるアルル…痛い所を付かれ、思わず声を荒げてしまう。
「アルル…父さんはそんな事言ってないよ。僕等異世界人に頼らないでほしいと言っているんだ」
「あ……あぁ、そう言う事…」
優しくティミーに宥められ、即座に落ち着くアルル。
そしてウルフへと向き直り目で合図を送る。

「トラマナ」
ウルフの唱えた魔法により、ビアンカが唱えた時と同じように、足下から淡い魔法の光が包み込む。
「ありがとうウルフ…流石ね!」
賢者ウルフの…忘れがちだが、賢者であるウルフの魔法により、アルル一行にトラマナの魔法がかかる。

「さてと…ビアンカの唱えた魔法なら効果は完璧だけど、ウルフの魔法となると………うん、行けカンダタ!」
とても失礼な(リュカ)の言い分…
またしても実験台にされるカンダタ…
しかし今回はリュカ以外が躊躇うことなくバリアへ踏みだし、ウルフの才能を証明する。

「な、何だよ…みんなしてウルフを信じ切って…まるで僕だけが酷い人間みたいじゃんか!」
「何言ってんだ旦那…アンタは十分酷い人間だぜ!俺はウルフを100%信じてるんだ…旦那に言われるまでもなく、バリアの床に踏み出すさ!」
「そうです、カンダタさんの言う通り!私の彼氏(ウルフ)が唱えた魔法に、失敗などありませんわ!それを疑ってかかるお父さんこそ、どうかしてますわよ!少し心を改めてくださいまし!」
等々…
全員に叱られちょっぴ落ち込むリュカさんでした。



さて…
無事にバリアを抜け塔内を彷徨うアルル達。
このダンジョンのモンスターは、アレフガルドのフィールドに居るモンスター達より遙かに強敵で、かなり強くなってきたアルル達でも苦労を強いられている。
中でも『ドラゴン』と『ラゴンヌ』が同時に現れると、前衛で戦うアルル・ハツキ・カンダタ・モニカ・ラングストンは無傷ではいられない。
ドラゴンは皮膚が硬く防御力が高い為、速攻でトドメを刺す事が出来ない…ラゴンヌは体力は低いが、ベホマを使い回復してしまうので、やはり倒すのに時間がかかるのだ。

「くそ…何なのよこのドラゴンって生き物は!?堅くてなかなか倒せないじゃないのよ!………こんな事なら、オリハルコンの武器が出来上がってから来れば良かったわ!」
最近不平の多いアルルが、殊更不平を言いながら稲妻の剣を振り下ろし、なんとかドラゴンへダメージを与え続ける。
そうなのだ…(オルテガ)救出を急ぐアルルは、鍛冶屋がオリハルコンを武器に加工仕上げるのを待つ事が出来ず、先にルビスを救出しておこうと言いだし、現在苦戦を強いられているのだ。

「おいおいティミー…最近お前の彼女は我が儘じゃね?大丈夫ですか」
本人に聞こえる様な大声で、アルルの判断の甘さを指摘するリュカ。
アルルも文句の一つも言い返したいのだが、目の前の敵に集中してないと危なくて、黙って言われているしか出来ない状況。
彼氏の方も反論するでもなく、ただ黙って苦笑いをし自分(アルル)を見つめるだけなので、更に不満が蓄積するアルル。


どうにかこうにか敵を倒し、かなりご立腹状態でリュカとティミーに近付くアルル。
大きく息を吸い込み、文句を言おうとしたその瞬間…
ティミーは左手をアルルに翳し、彼女の文句を遮ると、視線を通路の奥へと向けてアルル達の注意をそちらへと向かわせる。
眉間に深くシワを寄せたまま、アルルはティミーの視線の先へと顔を動かすと…そこには新たなドラゴンが3匹、臨戦態勢でアルル達に近付いてくる!

アルル・ハツキ・ウルフ・カンダタ・モニカ・ラングストンは、慌てて身構え戦おうとしたのだが、リュカとティミーが前衛に出てドラゴン3匹に対し構えだした。
アルル達は呆気にとられ見ていると、1匹のドラゴンが2人に向けて燃えさかる炎を吐き付ける!
しかしリュカが唱えたバギマにより、ドラゴンの炎はあらぬ方向へ逸らされる。

それに怯んだドラゴンに、隙有りと斬りかかるは勇者ティミー!
アルル達数人がかりでも、傷つけるのに一苦労するドラゴンを、いとも容易く切り裂き首を切断する。

そんなティミーの強さに驚いていると、気付けばリュカは残り2匹のドラゴンを瞬殺し、涼しい顔で息子と共にアルル達の元へと戻ってきた。
そしてティミーは、アルルへと自分の剣を見せつけ語る…
「アルル…僕の使用する剣は、グランバニアでは一般的な鉱石を使っている代物だ。刀鍛冶が知り合いで、腕の良い人物だけど、剣自体に特別な力は宿っていない。鋼の剣よりマシくらいな代物だ。それでも努力して己を鍛えれば、君が苦戦したドラゴンですら、容易く一刀両断する事が出来るんだ。武器の善し悪しで強くなろうとしてはいけない…強くなりたければ己の意志を強くするんだ!………大丈夫、君なら出来るから焦らないで」

そこまで言うとティミーは剣を腰の鞘へと収め、左手で軽くアルルの頬に触れ口づけをする。
そして定位置のパーティー内後方に戻り、優しい微笑みを振りまいている。
「どうだ…僕の息子はかっけーだろ!」
見とれるアルルに近付き、息子自慢を繰り広げるリュカ。
「かっけー………お、押し倒したくなってきたわ!」
もうアルルにはティミーしか写っていない…
宿屋に戻ったら凄そうだ…



 
 

 
後書き
最近ティミー君を崩しすぎたので、ここいらで彼の実力を見せました。
本当は凄い子なんだよ! 
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