対決!!天本博士対クラウン
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第二百四十二話
第二百四十二話 ボクサーロボの末路
その愚劣を絵に描いた様なボクサーロボが出て来た。博士はそれを見て言うのだった。
「このロボットはじゃ」
「何の為のロボットですか?」
「人に嫌悪感を抱かせる為のロボットじゃ」
まさにそれだというのである。
「常に愚か者丸出しの大口を叩きそして最低限の知能も備えておらず後ろから異常なまでのこいつだけを褒め称える実況放送が聞こえてくる」
「こんなの好きになる奴ってリアルで頭がおかしいんじゃないですか?」
実際に小田切君もそのロボットを見て嫌悪感を露わにさせていた。小田切君にしてもそうした感情を見せるしかないような相手なのである。
「何ていうか家族とかいたら全部頭も顔も素行も悪そうですね」
「実際に悪くなるしかないぞ」
それも断言する博士だった。
「それでじゃ。わしも見ているとじゃ」
「どうなんですか?」
「頭に来たのでこうしてやる」
言った側からその一兆ボルトの高圧電流の電気鞭をロボットの口の中に入れた。そうしてスイッチを入れて忽ちのうちに壊してしまったのじゃ。
「これで終わりじゃ」
「造ってすぐに壊しちゃったじゃないですか」
「どうじゃ。開発者ですら見ているだけで頭にくるのじゃ」
博士以外の人間が言えばそのまま言い訳になる言葉だった。
「だからこうしたのじゃ」
「そうなんですか」
「他にも番長ロボも造られるが」
そうしたものもあるのだという。
「それも開発者がまず頭に来る」
「そういう見ているだけで嫌悪感を抱かせるのってありますよね」
小田切君もそれは頷けるのだった。
「フランケンみたいなロボットもですね」
「あれは人望も識見もない。愚かの極みじゃ」
「けれどマスコミには好かれるんですね、そういうのは」
「一度マスコミは破壊せねばな」
博士の解決方法で最も多いものである。
「わしもああした奴等は好かん」
「そうですか」
「ただ嫌いなのじゃ」
博士の行動原理の中でも最大のものである。
「卑劣な奴等がじゃ」
「卑劣なですか」
「あと小悪党で無法者もじゃ」
そうした存在もだというのだ。
「じゃから暴走族だの不良だの暴力団なのはじゃ」
「容赦なく殺戮するんですね」
「悪と無法はわしの様にやるのじゃ」
つまり博士の如くそれこそ世界を破壊しかねないレベルでするべきだというのだ。
「わしの様にじゃ。ああした下らん奴等は見ているだけで抹殺したくなる」
「抹殺ですね」
「しかしわしに正面から向かう相手はじゃ」
「いいんですね」
「その通りじゃ」
何気に自分のポリシーも話していた。無法の中に信条がある、それこそが博士なのだった。
第二百四十二話 完
2009・11・29
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