対決!!天本博士対クラウン
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第百八話
第百八話 上から行くのは
黙々と歩き続ける一行。だがここで美樹の使い魔であるビルガーとファルケンがふと一行に対して言ってきたのだった。
「あの」
「少し考えたんだけれど」
「どうしたの?」
美樹が二羽に顔を向けて問うた。
「上から行ったらどうかな」
「箒を使って」
「!?そういえば」
美樹はその言葉を聞いてふと気付いた。
「そうよね。上から行けば」
「歩かなくていいわ」
赤音も言う。
「すっごい楽よ」
「それだけじゃないわ」
梨花はもう一つのことに気付いていた。
「上から見ればゴールもすぐに気付くわよ」
「あっ、そうね」
春奈が梨花のその言葉を聞いて頷く。
「確かに。それだとすぐよ」
「じゃあそれで行く?」
華奈子も一行の話を聞いてそれに傾く。
「箒で。一気に」
「そうね。じゃあそれで」
「決まりじゃないの?」
美樹と赤音は賛成だった。見ればリーダーの梨花もそうだし春奈も同じだった。
「すぐ行けるし」
「いいと思うわ、私も」
「いえ、ちょっと待って」
しかし最後の一人の美奈子がここで疑問符を投げ掛けたのだった。
「どうしたの、美奈子」
「この迷宮は何処まであるのかわからないのよ」
「だから使うんじゃないの」
皆が箒に乗ろうかと言った理由はそもそもそれだ。だから乗るのだった。
「それで。違うの?」
「箒に乗って空を飛ぶのは結構魔力を使うわ」
実はそうなのだ。箒を乗るのも魔力だ。それを考えればふと気付くのだった。
「お団子にも限りがあるわよ。この人数だし」
「あっ」
勘のいい華奈子はここでわかった。美奈子が言わんとしていることが。
「そうね。若し迷宮がとんでもなく大きかったら」
「そうよ。すぐに魔力が尽きてしますわよ。そうなれば」
「終わりよね、それで」
「変な場所に落ちてどうしようもなくなる可能性もあるわよ」
美奈子はまた言う。それが彼女が危惧していることだったのだ。
「だからそれは」
「止めておいた方がいいわね、大事を取るのなら」
「そうね。やっぱり」
「歩きましょう」
美奈子はあらためて皆に告げる。
「それが一番確実よ」
「わかったわ」
こうして一行は歩き続けることになった。迷宮はまだ続く。しかし終わりに近付いていっているのは間違いなかった。
第百八話 完
2008・5・7
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