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久遠の神話

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第二話 銀髪の美女その四


 それでだ。こう彼女に話した。
「僕も銀髪の人は」
「あまり見たことないのね」
「テレビでもね。白い髪の人はいたけれど」
「あっ、昔のアメリカ大統領でいたわよね」
「クリントンだったっけ」
「そう、あの人」
 民主党の大統領であった。女性問題で有名だがアメリカ経済を立て直したことで功績があった。彼の髪は白い髪だったのである。
「あの人の髪は白だったわよね」
「だよね。白い髪は見たことあるけれど」
「銀髪は」
「ないよね」
「実際のところね」
 そうだとだ。二人で話すのだった。
 そしてだ。樹里はさらに話していく。
「まあ緑の目はね」
「それは普通にあるよね」
「あっちの人じゃ多いわよね」
「結構ね。多いよ」
「何はともあれどんな人か」
「御会いしたいんだね」
「取材でね」
 あくまでそれを理由としての話だからこう言うのだった。
「行くわよ」
「それじゃあ僕もだね」
「ボディーガードで来て」
「やれやれだね」
 こうした話をしてだった。上城は樹里のお供で剣道部の前に新聞部の取材、名目上はそうなっているに付き合ってだ。大学に向かうのだった。
 八条大学は高等部のすぐ隣にある。キャンバスの面積は大学の方が圧倒的に広い。大学の方が広いのは当然と言えば当然である。
 その大学に入ってだ。樹里はまずこう言うのだった。
「やっぱりあれよね」
「やっぱりって?」
「この大学って広いわよね」
 こう上城に言うのである。キャンバスは木々も多くまるで森の中に大学がある様である。その中を通りながら話をしているのである。
「下手したら迷いそうよね」
「実際道に迷うかもね」
 その可能性は否定しない彼だった。
「これだけ広いと」
「そうよね、ここは」
「高校の何倍あるかな」
「ええと、学部が幾つあったかしら」
「三十はあったんじゃないの?」
「三十って」
 まずその数にだ。絶句する樹里だった。
 それでだ。呆れた様にこう言うのだった。
「普通五つか六つよね。大学の学部って」
「ここの大学って総合大学だからね」
「それでも三十ってかなり多いわよ」
「いや、三十以上あったかな」
 上城はこんなことも言った。
「とにかく何十もあるから」
「三十よりまだなの」
「あったんじゃないかな。日本で一番学部と生徒数の多い大学らしいから」
「キャンバスの面積もよね」
「そう、全部ね」
 とにかくだ。異様に広くて大きいマンモス校なのだ。尚彼等の通う高等部にしても高校としては相当な大きさの学校である。こちらの生徒数も高校としては日本一なのだ。
その学園の中にいてだ。樹里は言うのである。
「広い学校もこうした時は」
「困るんだ」
「かなりね」
 そうだと上城に不平を漏らす。 
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