久遠の神話
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第二十八話 使い捨ての駒その十一
中田はその攻撃を右に左に後ろにだ。すり足でかわした。それからだった。
彼はだ。権藤と間合いを開けながら述べた。
「速いね、やっぱり」
「はじめの一閃で決まると思っていたが」
「生憎足の動きには自信があってね」
中田は間合いを離した権藤にだ。その飄々とした笑みで返した。
「フットワークってやつにはな」
「だからか」
「ああ、かわせたんだよ」
こう言うのだった。
「この通りな」
「足のことは見ていなかった」
「剣だけか」
「かなりの足の動きだな」
「足が武道の基本だろ?」
「その通りだ。どの様な武術においてもだ」
足が重要だとだ。権藤も認める。
「そしてそれについてはか。君は」
「絶対の自信があるぜ」
中田は構えを取りなおしながら権藤に答えた。
「この通りな」
「そうだな。しかしだ」
「しかし。それでもかよ」
「君の足はわかった」
その動きをだというのだ。
「それならばだ。今度は外しはしない」
「言うねえ。もっともあんたもか」
「足の動きには自信がある」
他ならぬだ。権藤自身もだというのだ。
「これでも免許皆伝だ」
「天念理心流のか」
「そうだ。それは今はじめて君に言うがな」
「免許皆伝ね。道理で強い筈だよ」
「そこから多くの怪物を倒した」
剣士としてだ。そうしたというのだ。
「百体以上はな」
「そのことはさっき聞いたけれどな」
「そうだったな」
「実戦も積んだ。それでの剣か」
「その本領を今から君に見せる」
再び上段に構えて。中田に告げた。
「そして退場してもらおう」
「まあ。俺もただではやられないさ」
「ただではか」
「意地ってやつがあるからな」
だからだというのだ。
「そう簡単にはやられないさ」
「面白いな。どうやら君はだ」
「願いがあるんだよ」
顔は笑っているが言葉は強かった。
「だからな。往生際は悪いぜ」
「そうだな。それは私もだ」
「あんたもかよ」
「往生際は悪いつもりだ」
権藤もだ。そうだというのだ。
「そのことは言っておく」
「そうか。それじゃあな」
「ここで君を倒す」
上段のままでだ。権藤は中田に告げた。
そしてそこからだ。剣を思いきり上から下に振った、足元までだ。
するとその一閃から衝撃波が起こった。しかしただの衝撃波ではない。
闇の衝撃波だ。それが一直線に飛び中田に向かってきたのだ。その闇を見てだ。上城も思わず声をあげた、
「危ない、その衝撃波は!」
「どうしたの!?」
「あの衝撃波はただの衝撃波じゃないんだ」
「闇の力が入った?」
「そう、若し直撃を受ければ」
それでだ。どうなるかと樹里に話すのだった。
「消えてしまうよ、闇の中にね」
「あの衝撃波ってそこまで凄いの」
「うん、凄いよ」
そこまでの強さだというのだ。
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