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久遠の神話

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第二十四話 七人目の影その十六


「けれどそいつは本当に何しても平気だからな」
「殺すことも。他のこともですね」
「どんなことだってする奴だよ。だからな」
「そうした相手が前に出たらどうするか」
「しっかりと考えておいてくれよ」
 真剣な顔でだ。中田は上城に告げた。
「その辺りもな」
「はい、ただ」
「それでもですね」
「そう。そんな奴が出て来たら俺が何とかするからな」
 中田は上城に助け舟も出した。
「呼んでくれよ。俺も気配感じたら駆けつけるからな」
「そうしてくれるんですか」
「まあ壬本が剣士になってる可能性はな」 
 それはだ。どうかというのだ。
「殆どないけれどな」
「本人はですね」
「そんな感じの奴。まあ滅多にいないタイプだけれどな」
 そこまで思慮分別も常識もモラルもない輩は稀少だというのだ。流石にだ。
「けれそれでも程度の問題でな」
「そうしたタイプはですね」
「いるもんだからな」
 こう言うのだった。
「だからな。そんな奴が出て来たらな」
「その時はですね」
「俺が相手するさ」
 こうだ。中田は微笑んで上城に述べた。
「だから安心してくれよ」
「すいません」
「御礼はいいさ。俺達は本質敵に敵同士だからな」
「だからですか」
「御礼を言い合う仲じゃないからな」
 だからいいというのだ。中田はこうは言いながらもだ。気さくな笑顔を浮かべたままでだ。その笑顔で上城に対して穏やかな感じで告げたのである。
「だからいいさ」
「ですか」
「ただ。俺は君とは闘いたくはないな」
「僕とはですか」
「怠け者でな。戦わないで目的を達成できるならな」
「それに越したことはない、ですか」
「戦いは好きでやるものじゃないさ」
 それはだ。少し嫌悪の色をその顔に浮かべて言ったのだった。 
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