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久遠の神話

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第二十三話 七人目の影その二


 全くそうはならない。漂っているままだ。それを見て言うのだった。
「水分を多くしてですね」
「電流を受け流す様にしたんだよ」
「ですね。水は電流を流します」
「水を使うのは上城君だけれど」
 だが、だ。それでもだというのだ。
「俺も木に水分を多く含ませることができるからね」
「木、ならばですね」
「木ならどういうこともできるよ」
 微笑んでこのことを話す高橋だった。
「水分を増やすことも燃やすこともね」
「どちらもですね」
「そうさ。けれど君の今のバリアーは」
 そのだ。広瀬の全身を覆っているそれはだというのだ。
「俺の今の木の葉では破れないみたいだね」
「確かに焦がすことはできませんが」
 それでもだった。雷に触れた衝撃でだ。
 どの木の葉も弾かれている。雷の力でだ。
 それを見ながらだ。広瀬は言った。
「この通り弾くことはできます」
「雷の力で」
「この通りです」
「そうだね。木の葉は刃だけれど」 
 これはこの前と同じだった。やはり触れればそれで切るものなのだ。だがその舞う刃達をだ。
 広瀬も防いでいる。それを見つつだ。高橋は言うのだった。
「その障壁を切ることはできないね」
「ではどうされますか」
「それでもね」
「まだ技があるんですね」
「ないと思ってはいないね」
 その右手の波の剣をだった。高橋は今度はだ。
 上下左右に複雑に振った。そうしてだった。
 木の葉達が消えた。その代わりに今度は花びら達が出て来た。淡い桃色の優しげな花達だった。だがその舞う花びら達を見てだ。広瀬は言うのだった。
「こう言う言葉がありますね」
「どういった言葉かな」
「奇麗な花には棘がある」
 言うのはこの言葉だった。
「そしてその棘は何か」
「察しがいいね。つまりこの花びら達にはね」
「毒ですね」
 それがあることをだ。察しての言葉だった。
「俺の身体の動きを止める。それがありますね」
「そうだよ。あまり奇麗なやり方じゃないけれどね」
 毒を使う、それはだというのだ。
「けれどそれでもね。殺しはしない毒だからね」
「麻痺ですか」
「動きを止めさせてもらうよ」
 そして言うのだった。
「そのうえで君の剣を砕く」
「俺の剣士としての剣を」
「剣士は剣で戦うのなら」
 そこから考えてだ。高橋は言うのだった。
「剣を砕かれては終わりだろうからね」
「これが俺達の出した結論だ」
 工藤も言ってきた。戦いには加わってはいないが。
「倒すのではなく剣を砕けばだ」
「それでその剣士は戦いを降りざるを得なくなるからね」
「だからだ。君の剣もだ」
「そうさせてもらうよ」
「考えたものですね」
 そう聞いてだ。広瀬は。
 考える顔になりだ。こう二人に返したのだった。
「確かに剣を砕けばですね」
「そうだね。戦えなくなるね」
「ですね。では」
「さあ。いいね」
 その花びらの中にいる広瀬を見ての言葉だった。
「覚悟はできてるかな」
「いえ」
「いえ?」
「確かにこの花びらの中で」
 毒のあるだ。それの中にあってだというのだ。 
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