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久遠の神話

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第十九話 高代の力その十二


「そうさせてもらいます」
「そうか。じゃあその都度な」
「はい」
「頼んだぜ」
 こう言ってだった。彼はバイクを動かしてだ。
 そのうえで自分の家に戻る。そうしたのだ。
 そしてだ。声はだ。今度はだ。広瀬、彼に声をかけたのである。
 彼もまた帰路についていた。大学を出たところだ。その彼に言ってきたのだ。
「あの」
「何かな」
「貴方は本心では」
「戦いのことかな」
「はい、どう思われていますか」
 このことを尋ねたのである。彼に対してだ。
「実際のところは」
「さて。どうかな」
「戦いたくはありませんね」
 ダイレクトにだ。声はこう問うてきた。
「そうですね」
「戦わないに越したことはない」
 これが広瀬の返答だった。歩きながら声に話している。
「それで目的が果たせるのなら」
「目的ですか」
「夢とも言おうか」
 こうも言い換えて話すのだった。
「俺の夢もな」
「戦わずに果たせるのならですね」
「それに越したことはない」
 これが彼の考えだった。
「それでな。ただ」
「ただ、ですね」
「戦ってそれが得られるのなら」
 それならばだというのだ。
「確実にそうなるのなら」
「貴方は戦いますか」
「そして手に入れる」
「その夢をですか」
「あの娘と一緒にいたい」
 言葉に切実なものも宿る。
「何があろうとも」
「ですがそれならです」
「簡単にというのかな」
「誰かと誰かが一緒になることはです」
「結婚とするなら、それが」
「普通にできるのでは」
「普通ならな」
 言葉が限定になった。そのうえでのことだった。 
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