久遠の神話
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第十九話 高代の力その十
「まあ全然興味がないって訳じゃないがな」
「ではコーチの人か」
「何か高等部の女子水泳部の先生が凄い美人って聞いたんだよ」
「よく知っているな」
「噂で聞いたんだよ。それでな」
「それでか」
「ああ、その人に会いたいんだけれどな」
「なら自分で会いに行くといい」
「見られたらよかったんだけれどな」
こう願望を話していく中田だった。
「それはできなかったな」
「それで残念なのか」
「まあ次だな」
気さくな笑顔になって言う中田だった。
「次の機会があれば見て会ってみるか」
「そうするといいな」
「じゃあ俺はな」
「家に帰るか」
「ああ、そうするさ」
こう広瀬に告げてだ。彼と別れてだ。
中田は家に帰る。その彼にだ。
声が語りかけてきた。そのうえでの話だった。
「あの」
「ああ、あんたか」
「はい、木の剣士と共にいましたが」
「まあ成り行きでな」
「敵であっても貴方はそうされますね」
「普通はしないよな」
「はい」
その通りだとだ。声も彼に言う。
「正直に申し上げまして驚いています」
「そうだろうな。まあ闘いの時以外はな」
「貴方はそうされるのですか」
「闘いばかりじゃないからな」
微笑みだ。中田は声に対しても話すのだった。
「だからこうしたこともな」
「いいか」
「そうだよ、そうするんだよ」
「成程、わかりました」
「で、あの人が六人目の剣士だな」
「はい、その力ですが」
「光だな」
中田は声に対して高代のその力について返した。
「それだよな、あれは」
「はい、そうです」
「だよな。光の剣士か」
「力は剣士によって様々でして」
「俺の炎にしてもそうだしな」
自分のことも言う中田だった。
「あと上城君にしてもな」
「他の方々もですね」
「工藤さんに高橋さんもな」
「同じです」
「それぞれの力がある、か」
自然と腕を組んでだ。言う中田だった。
「ただ。その力はなんだな」
「強弱はありません」
「火でも水でもか」
「どの力が最も強いかとかそうしたことはありません」
「だから火の俺でも水の上城君と闘えるか」
「貴方がそれを考えるのなら」
できるというのだ。そしてだった。
「勝つこともできます」
「それもか」
「そして逆にです」
「あの広瀬ってのともだな」
「彼が貴方に勝つこともできます」
木が火に勝つこともだ。それもできるというのだ。
「それは可能です」
「要はあれだな」
考える顔になって述べる中田だった。
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