久遠の神話

「だからいいのです」
「そうした人達はですか」
「はい。しかしです」
「先生はですね」
「教師はそうはいきません」
　まさにだ。そうだというのだ。
「目的を達成する為に正々堂々としなければです」
「教育者ではありませんか」
「だから私は正々堂々と戦います」
　まさにだ。それ故にだというのだ。
「そうするのです」
「そうなんですか」
「では。宜しいですね」
　微笑みだ。上城に言うのだった。
「戦いの時はです」
「正々堂々とですね」
「戦いましょう」
「僕は」
　高代の話は受けた。しかしだった。
　戦い自体に迷いを見せる上城はだ。困惑した顔で教師に述べるのだった。
「戦いは」
「戦いたくありませんか」
「はい」
　その困惑した顔でだ。高代に述べるのであった。
「どうしてもです」
「戦いたくないのですか」
「怪物相手なら別ですが」
「剣士同士の戦いはですか」
「したくありません」
　高代にもだ。こう答えたのである。
「それはです」
「左様ですか。ではです」
　ではどうすればいいか。高代は教師として上城に述べた。
「戦いから離脱するべきですね」
「戦いたくないならですか」
「この戦いは非常に危険な戦いです」
　真剣な顔になりだ。生徒に話す彼だった。
「迷いがあればそこからです」
「隙ができてですね」
「他の剣士、若しくは怪物達にその隙を付け込まれてです」
「死にますか」
「そうなりますので」
　だからだ。戦いを止めるべきだというのだ。
「若し君が戦いたくないのならです」
「そうですか。それならば」
「それもまた一つの考えですから」
「否定はしないですか」
「私にしても剣士が一人減ります」
　己の利益もだ。高代は微笑み述べる。
「有り難いことですから」
「それでなんですか」
「戦いたいのなら御相手します」
「けれどそうでないのなら」
「はい、去るべきです」
　こう上城に話すのだった。
「私はそう思います」
「そうなんですか」
「では。迷いが消えればです」
　その時にだというのだ。
「また私の前に出て来て下さい」
「剣士としてですね」
「教師と生徒としては何時でもどうぞ」　
　その関係は変わらないと。やはり微笑んで話す高代だった。
「勉強のことでしたら何でも協力します」
「英語のですね」
「上城君は成績優秀ですからあまり関係はないですが」
「それはその」
「ですが何かあればです」
　どうかというのである。学業のことで困ればだ。