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久遠の神話

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第十五話 選択その四


「一人一人が俺と互角だった」
「二対一。互角の相手と」
「だから最初から技を。俺が今使える一番いい技をふんだんに使った」
「そうして敵を怯ませてみせてだったわね」
「俺は凌いだ」
「二倍の戦力と対するにはそうするしかないわね」
「そうだ。そして機を見て退く」
 戦術だ。その話だった。
「そうしただけだ」
「何だ、じゃあ俺達四人の力は今はか」
「ええ、互角よ」
 スフィンクスは中田にこのことも話した。
「完全にね」
「その俺達が闘えばか」
「確実にどちらかが」
「木は火に弱いというけれど」
 スフィンクスはそのことについても説明する。
「それぞれの力に優劣はないわ」
「そうだな。木も火を防げる」
 広瀬はこのことは強く言った。
「使い方次第でだ」
「そう。術の使い方で互角の力同士でも勝敗は決するけれど」
「勝った方はぼろぼろになるよな」 
 中田が言った。
「確実にな」
「そう。そしてその時の傷で結局倒れることもね」
「あるな」
「それでも闘うのかしら」
 こう二人に問うスフィンクスだった。
「貴方達は」
「俺はしない」
 最初に答えたのは広瀬だった。
「そうした危ない賭けはしない」
「そうするのね」
「言ったな。俺は生きる」
 何としてもだ。そうするというのだ。
「だからだ。今危ない賭けはしない」
「そう。それじゃあ」
 スフィンクスは広瀬の言葉を受けてからだ。
 また中田に顔を向けてだ。そして問うたのだった。
「貴方はどうするのかしら」
「俺はあれだよ」
「剣を持っていない相手とはだったわね」
「ああ、戦わない」
 こうだ。スフィンクスに答えたのである。
「それが信条だからな」
「じゃあここでの闘いは流れたってことでいいわね」
「それでいい」
「構わないさ」
 広瀬も中田もこうそれぞれ答える。
 そして答えてからだ。広瀬は中田達に背を向けてだ。こう言うのだった。
「また会おう」
「ああ、またな」
「今度会う時は君より強くなっている」
 歩きはじめながらだ。広瀬は中田に告げた。
 背を向けているがそれでもだ。声は彼に向けているのだ。
「そして君を倒す」
「わかったぜ。じゃあその時はな」
「君も闘うな」
「あんたが剣を持っていればな」
「それではだ」
 こうやり取りをしてだった。彼等は別れた。
 そして広瀬が姿を消すとだ。スフィンクスもだ。
 中田や上城達にだ。こう告げたのだった。 
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