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久遠の神話

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第十三話 想いの為にその五


「勝てる相手じゃない」
「まさかと思いますけれど」
「いや、その人の言う通りです」
 広瀬は早速だ。周りに剣を振るいながら話す。
「俺のこの剣には貴方達は」
「二人でないとな」
 工藤も応えてだった。その剣を振ってだ。
 地走りを起こしてだ。広瀬を襲う。しかしだった。
 広瀬もだ。その地面にだ。剣を一閃させ。
 そこから木の根を出してだ。その地走りを相殺させたのだ。
 そしてそこからまただ。七支の剣を振るいだ。
 木の葉をさらに出してだ。それで二人を包んだ。それを見て工藤はまた高橋に言った。
「ただの木の葉ではないぞ」
「まさかと思いますけれど」
「失態だった。今迂闊に動けば」 
 どうなるか。工藤は言うのだった。
「切られる」
「木の葉のそれぞれがですか」
「刃になっている」
 そうした木の葉だというのだ。
「だからだ。今迂闊に動くとだ」
「切られていきますか」
「そうだ。だから迂闊に動かない方がいい」
「いえ、これなら」
 だが、だった。高橋が工藤にいう。
「やり方があります」
「雷か」
「あれを使います」
 こう言ってだ。高橋はその剣をだ。手首だけで振ってそれによってだ。
 彼と工藤の身体を雷で覆ってだ。その力でだ。
 木の葉達を弾き焦がしていく。そうしてその刃を防いだのだ。
 それを見てだ。広瀬が二人に言う。
「雷ですか」
「これなら木の葉を防げるからね」
 だからだとだ。高橋も広瀬に答える。
「こうさせてもらったよ」
「つまりバリアーですか」
「これなら君の木の葉も効かないね」
「確かに。それなら」
「さて、俺のバリアーにはどう対するのかな」
「バリアーは広範囲の攻撃には有効ですが」
 バリアーというものの特性についてだ。彼は話しはじめた。
 そしてそのうえでだ。右手に持つその剣を掲げてだ。
 前にだ。肩の高さで突き出した。するとだ。
 剣から無数の尖っただ。松の葉を思わせる細長い、苦無の如き葉を無数に出してだ。二人に対して次々と繰り出してきたのだ。それを受けてだ。
 二人のバリアーは最初はもっていた。しかしだった。
 その攻撃を受けていき。次第にだった。
「雷のバリアーもな」
「ええ、まずいですね」
「一点を集中攻撃すればそこからやがて割れる」
「バリアーは広範囲を守るものです」
 この場合は二人の身体全体だ。
「ですが一点集中となると」
「弱いな」
「どうします?このままじゃ」
「集中攻撃には集中防御だ」
 バリアーではなくそれだとだ。工藤は述べた。
 そしてそのうえでだ。今度は彼が剣を振った。するとだ。
 その木の葉、鋭いそれの前にだ。岩の壁が出て来た。それでだ。
 木の葉を防ぐ。そうして言う工藤だった。
「生憎だが俺も守りの術を使える」
「土の力ですか」
「土はこうして岩を使うこともできる」
 それもまた、だ。彼の剣の力だというのだ。
 そのことを話してだ。あらためて彼は広瀬に尋ねた。
「これで終わりではないな」
「ええ。俺もまたカードはあります」
 その目から闘志は消えていない。それでだった。
 剣を再びだ。今度は上下左右に十字に振った。するとだ。
 彼の周りに巨大な木々が出て来てだ。その木々が二人に蔦を一斉に放ってきたのだ。
「蔦か」
「それも木になるからこそ」
「この蔦は特別の力がありまして」
「捕まればそれでか」
「一気に」
「どんなものでも潰すことができます」 
 こう言うのだった。 
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