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久遠の神話

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第十話 偶発戦その八


「木の力を使う」
「面白いな。そういうのも」
「面白いか?」
「ああ。それぞれの剣にそれぞれの力があるっていうのもな」
 どうかとだ。中田は笑いながら広瀬に話していく。
「中々な。それじゃあ俺もな」
「君の力を見せてくれるんだな」
「ああ。これだ」
 こう言ってだ。その剣を出した。彼の両手にだ。
 一本ずつ刀が出る。その赤い刀を持ちだ。彼は広瀬に言った。
「俺の力は炎だ」
「みたいだな。赤いのを見ると」
「普通木は火に弱いんだけれどな」
 中田はこんなことも述べた。
「あんたはどうなんだろうな」
「木はあらゆるものを包み込む」
 こうだ。広瀬は平然として中田に帰した。
「それは火もだ」
「燃えないっていうんだな」
「少なくとも君の火にはな」
 燃えない。そうだというのだ。
「今からそれを見せようか」
「ああ、それじゃあな」
 こう話してだった。二人はお互いに構えた。広瀬はその七支の剣を両手に持って構えた。そうしてそのうえで中田を見据えてだった。
 そうしてだった。彼は言った。
「君の炎、どんな感じなのかな」
「おいおい、手の内を見せろっていうのかよ」
「どっちでもいいけれどな」
「まあそれは後でいいんじゃないのか?」
 余裕を見せながらだ。中田は返してみせた。
「特にな」
「じゃあまずは」
「斬り合おうな」
 笑ってだ。広瀬に告げた。
「そこで死ねばそれまでだしな」
「そうだな。それではな」
 二人はこのやり取りからだ。それぞれ前に出てだ。
 それで斬り合う。まずは。
 中田がだ。左手の刀をだ。
 前に突き出す。しかしそれを。
 広瀬は己の剣の牙の一つで受けた。それでだ。
 中田の突きを止めた。そうしてだ。
 剣を捻りだ。彼の刀を上に弾き返した。そこからだった。
 剣を翻しそのうえでだ。横薙ぎにしてきた。高さは中田の首だった。
 そのまま彼の首を断ち切ろうとする。しかし。
 中田は身を屈めそれでその一閃をかわしてだ。そこからだ。
 後ろに何度も回転して下がる。炎が地を走る様に。
 そのうえで後ろに落ちてきていた左の刀を受け取りだ。再び立ち上がる。
 彼が立ち上がったそこにはもう広瀬が来ていた。今度は彼が突きを繰り出す。
 だがそれはだ、中田が右の刀で受け止めたのである。
 それで弾き返す。だが広瀬は剣を離さなかった。何とか握っていた。
 そのうえで再び構えに戻る。その彼を見てだった。中田は言った。
「強いねえ」
「君もな」
「っていうかあんた乗馬部だよな」
「その通りだ」
 こうだ。広瀬も答える。
「俺は剣は知らない」
「その割にやるな」
「そう思うか」
「俺のことは知ってるよな」
 中田はその彼を見据えながら問うた。
「剣道をやってるんだけれどな」
「全国大会で優勝したな」
「だから実力は知ってるつもりさ」
 そうだというのだ。
「そして相手の力量もな」
「見極められるっていうんだな」
「そうさ。あんたの腕はな」
 そのだ。広瀬の腕はだというのだ。
「俺に匹敵するな」
「それ程だっていうんだな」
「その変わった剣も」
 七支剣のだ。その独特の剣もだというのだ。 
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