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久遠の神話

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第零話 炎の覚醒その十四


 そして誤魔化す為かだ。彼等にこんなことを言ってきた。
「それでお酒ですが」
「ああ、飲み放題だからさ」
 中田が笑顔で彼女に答える。
「好きなだけ飲んでいいからさ」
「ワインもでしょうか」
 その飲み放題にワインもあるかどうかというのだ。
「それもあるでしょうか」
「ああ、ギリシアじゃ」
「はい、ワインです」
 それが主に飲まれるというのである。実際にギリシアでは昔からワインがよく飲まれている。中田もそれは知っていてそれで言うのだった。
「それが一番よく飲まれます」
「だからだよな。勿論な」
「ワインもですね」
「好きなだけ飲めるよ」
「では。そうさせてもらいます」
「ワイン注文しようぜ」
 中田は早速周りに言った。
「それでワインで乾杯しようぜ」
「ああ、それじゃあビールだけでなくな」
「ワインも頼んでな」
「そうして飲もうか」
 こうした話をしてだった。彼等は早速ワインを頼んで飲むのだった。
 無論聡美も飲む。その飲む量はかなりのものだった。
 中田もワインをボトル単位で飲む彼女にだ。驚きを隠せずに声をかけた。
「飲むねえ」
「好きなので」
「それでそれだけ飲むんだ」
「はい」
 その通りだとだ。聡美は答える。
「飲めます」
「そうか。それにしても飲むよな」
「そんなに飲んでますか?」
「あんたボトル三本目だよ」
 聡美は自分からグラスに赤いワインを注ぎ込んで飲んでいる。既に二本空になっている。しかもさらにだ。三本目も空けているのだ。
 中田もワインを飲んでいる。だが彼はまだ一本目だ。それを飲みながら聡美に話すのだ。
「それでまだ飲むんだよな」
「五本は」
「俺四本が限度だけれどな」
「ワインお嫌いですか?」
「あまり酒は強くないんだよ」
 中田がこう言うとだった。周りはすぐに顔を顰めさせてこう突っ込みを入れた。
「いや、ワイン四本って凄いだろ」
「ただ飲むのが遅いだけでな」
「やっぱり凄いだろ」
「立派な酒豪だぜ」
「そうか?自分ではそうは思わないけれどな」
 中田は自覚のない調子で自分でグラスに酒を注ぎながら応える。
「そうか?」
「そうだよ。今も飲んでるしな」
「御前も大して変わらないよ」
「まあいいじゃないか。とにかく飲んでな」
 そうしてだというのだ。
「楽しくやろうな」
「そうですね。ただ」
 また彼に言う聡美だった。
「何があっても」
「何があっても?」
「気持ちを確かにされて」
 それでだというのだ。
「今の様に」
「何かわからないけれど俺はいつもこうだよ」
 中田は笑いながら聡美にも言葉を返す。
「変わらないさ」
「そうですか」
「ああ、じゃあ楽しくな」
 こんな調子でだ。中田は酒を楽しんだ。これが聡美との出会いだった。そしてそれから数日後だ。彼の家族は旅行に出た。快適な一人暮らしがはじまる筈だった。 
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