久遠の神話
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第八話 二人の剣士その五
「それでわかったんだよ」
「そうなんですか」
「戦ってるとどうしてもな」
あえてそういうことにしてだ。中田は話していく。
「勘が強くなってな」
「そういうことがわかるんですか」
「そうさ。それにしても二人な」
「二人の剣士ですよね」
「俺達と同じな」
「ですよね。どうした人なんでしょうか」
「若し剣を持つんならな」
それならばだとだ。ここでだ。
中田は言葉を変えてだ。目も鋭くさせて述べた。
「その時は容赦しないけれどな」
「相手が剣を出して来たらですか」
「ああ、そういう相手とは戦うさ」
そのことは変えないというのだ。
「そうするからな」
「戦うんですか」
「あくまで相手がそのつもりだったらな」
それは変えないというのだった。
「別だよ」
「そうですか」
「君も同じだぜ」
中田は上城にもこう述べた。
「若しも剣を持つのならな」
「その時はですね」
「闘うからな」
「そしてですね」
「ああ、勝つ」
このこともだ。中田は言う。
「宜しくな」
「僕は。剣士の人とは絶対に」
戦わない、上城も引かない。
「そう考えてますから」
「ならそうしたらいいさ。とにかくな」
「その二人の剣士がここに」
「来ます」
聡美が言った。
「間も無く。そして来るのは」
「化け物も来るな」
中田はこう言ってだ。その両手に。
紅蓮の二振りの剣を出した。それを見てだ。
上城も左手に青の長刀を出した。それぞれ構えに入る。
それからだった。前を見るとだ。
山羊の首を生やし尻尾が蛇になっている獅子がいた。その獅子を見てだ。樹里が言った。
「キマイラ・・・・・・?」
「はい、そうですね」
彼女のその言葉にだ。聡美が答えた。
「あのペレロポーンと戦った」
「炎を吐くそうですけれど」
「はい、吐きます」
実際にそうだとだ答える聡美だった。
「相当な強さですから」
「魔物との戦いは絶対にタイマンじゃないと駄目なのか?」
中田は二刀流で構えながら聡美に尋ねた。
「そうなのか?ひょっとして」
「いえ、別に」
「二対一でもいいのか」
「はい、そういうことは決まっていません」
そうだとだ。聡美は今度はこう話した。
「ですから」
「そうか。じゃあ上城君よ」
「キマイラにはですね」
目の前にいるだ。その二つ頭の獣にはとだ。上城も言う。
「共闘をですか」
「ああ、どうだよ」
「お金は。僕は」
「二対一だしな。山分けでいいか?」
中田から切り出したことだった。しかしだ。
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