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久遠の神話

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第零話 炎の覚醒その十


 派手で露出の多い、所謂勝負服を着てアクセサリーも身に着けた女の子達がやって来てだ。そのうえで中田に対して声をかけてきた。
 その彼等にだ。中田の仲間達が笑顔で応える。
「今来たところだよ」
「丁度今な」
「あのベイスターズの帽子の女の子に案内されたんだよな」
「そう、明日夢ちゃんにね」
「この部屋って言われてね」
「すっごく無愛想にね」
 この言葉も付け加えられる。
「いつもっていうか横浜が勝ってたらね」
「凄く愛想いいんだけれどね」
「けれど。今日は負けてるから」
「しかも惨敗だから」
 それでだというのである。
「今日は機嫌悪いのよね」
「それもかなりよね」
「まあ。いつもだけれどね」
「横浜が負けるのはしょっちゅうだから」
「何だ。知り合いなんだ」
 剣道部員の一人がここでこう彼女達に言った。相手は彼等の向かい側に座ってきている。そのうえで話を続けるのだった。
「あの娘と」
「っていうか明日夢って名前だったんだな」
「はじめて知ったよな」
「そうだよな」
「いい娘よ」
 このことは保障する彼女達だった。
「確かに狂信的な横浜ファンだけれどね」
「それでもいい娘よ」
「明るくて仕事もできるし」
「このお店の娘さんでね」
「ってこの店の娘さんだったのかよ」
「そうだったんだな」
 彼等のはじめて知る真実だった。
「誰かって思ってたけれど」
「そういう娘だったのかよ」
「そう、このビルのオーナーさんの家でね」
「スタープラチナの看板娘なのよ」
「アルバイトとは少し違うから」
「そのことはわかっておいたらいいわ」
 こう笑顔で話していくのだった。そうした話をしてからだ。
 あらためてコンパに入る。その場にだ。
 銀色の見事な髪を後ろに伸ばし束ねてだ。そうしてである。
 緑のエメラルドの如き目はやや切れ長で二重である。睫毛が長い。顔立ちはほっそりとしていて鼻立ちが整っている。色は何処までも白い。
 長身ですらりとしている。長い足を黄色いスラックスで包んでいる。そのブラウスは薄いレモン色だ。その彼女がだ。中田の前に座っていた。
 中田は本能的にだ。彼女に声をかけた。
「あのさ」
「はい」
 その銀髪の美女もだ。彼に応えてきた。
「君だよね。その留学生って」
「私がどうかはわかりませんが」
 美女はこう前置きしてから中田の言葉に応えてきた。
「私は確かに留学生です」
「やっぱりそうなんだね」
「ギリシアから来ました」
 こう答えるのだった。
「あの国からです」
「ギリシア人なんだ」
「そうです」
 中田の言葉にだ。こくりと頷いての言葉だった。
「国籍はそうなります」
「わかったよ。それでこの国に来たんだ」
「はい。ただ」
「ただ?」
「父が日本人でして」
 それでだというのだ。 
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