魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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後日談8 クリスマス、リンスがやって来る
さて、季節は過ぎ、冬。そして今は冬休み。
2学期最後の行事である球技大会が終わり、行事に関しては後は3学期にあるものだけになったので特に何事もなく、2学期が終わった。
そして今日はクリスマス、
寒い時期になり、我が家にもこたつが登場。
「ぬくぬく~」
皆がこたつから動かなくなった。
まあフェリアは桐谷の家に行ってるけど………
「レイ~みかん~」
「ライ~自分で取りに行け~」
「夜美~」
「自分で行け~」
「アギト~」
「アギトはこたつで丸くなる~」
「アタシは猫じゃねえぞ優理!」
「でもこたつから出てきたねアギト………」
「いやさキャロ。暖かいじゃんこたつの中」
「って言うかこたつの中ってむあっとしてて嫌じゃねえか?」
「寒いよりマシだ」
「さいですか………」
「で誰がみかん取りに行くのですか?」
そんな星の言葉。
で結局………
「ちくしょう………」
俺がじゃんけんで負けたためにみかんを取りに行くことに。
しかも一度立ち上がると………
「レイ、ついでにポットも持ってきてくれ」
「お兄ちゃん、私はジュースが欲しいです」
「アタシも!」
「レイ、私も~」
「僕はコーラ!」
「私も………お茶良いですか?」
こうなるんだよな………
皆の注文が俺に………
「はいはい………」
まあせっかく動いたし、これくらいならやってやるか………
「さて、そろそろ昼食にしますか………何にしよう?」
「俺も手伝うな」
「あっ、お願いします。………後、皆もそろそろ動いてくださいね。今日はリンスとシャイデを招いてのクリスマスパーティなんですから買い物なんかも頼みたいので………」
「はい」
「はいよ」
「分かった」
上からキャロ、アギト、夜美が反応して立ち上がるが、ライと優理はこたつの机に垂れてる。
「全く………そんなことしてるとクリスマスプレゼント無しにしますよ」
「「ご、ごめんなさい!!」
謝って直ぐ様立ち上がる2人。
全く、現金な奴等だな………
皆それぞれ動き始めた頃に俺の携帯が鳴った。
「はい、有栖ですけど………ってフェリアか、どうした?………うん、………うん、………ああ分かった、そっちはそっちで楽しんでこい。………ああ、じゃあな」
そう言って俺は携帯を切った。
「誰ですか?」
「フェリア。今日はパーティに参加出来そうにないって」
「何かあったのですか?」
「菊池カナタのアイドルグループのライブをダメっ娘達と桐谷と一緒に見に行くって」
「ああ、なるほど………」
「なるほど?」
「いえ、レイが気にすることじゃ無いです」
そう言われると逆に気になるのですが星さん………
「さて、レイはサラダの方をお願いします」
「サラパスで良いか?」
「良いですよ」
その後も俺と星は肩を並べて料理を作っていた。
さて昼食を皆で食べ、皆でいつものショッピングモールへやって来た。
しかし食材の買い物を俺と星、キャロに任せ、他の皆はプレゼントを買いにさっさと行ってしまった。
まあプレゼントも買わなくちゃいけない以上、仕方がないか………
「さて、後は………」
カートのカゴの中にある食材をメモと照らし合わせて確認する。
しかし乳製品から肉類、野菜、魚とかなり買ったな………
おせちの具材もあるって事はここで買いだめしていくつもりかな?
「レイ、どうでした?」
「ああ、大体揃えたぞ。そっちは?」
「卵Mサイズ80円ゲットしました」
「疲れた………」
「キャロもお疲れさん」
そう言って頭をなでてあげると嬉しそうにするキャロ。
「だけど良いのか?みんなと一緒にプレゼント見なくて?」
「お兄ちゃんと星お姉ちゃんの手伝いをした方が良いかなって思ったから………」
本当に良い娘だなキャロは………
「でもこんなに買って大丈夫なのお兄ちゃん?」
「大丈夫、その為の頭数なんだから」
この場にいないライ、優理、アギト、夜美の事である。
「そう言えばルーは今日どう過ごすんだ?」
「ゼストさんとメガーヌさんとディナーに行くって言ってました」
何かリッチな感じだな………
「ていうかこんなに家の冷蔵庫に入るか?」
「大丈夫ですよ、上手く入れてみせます!」
力強く星は答えた。
「私も手伝います!」
「ありがとうキャロ」
今度は星がキャロの頭を撫でる。
嬉しいのか笑うキャロはメッチャ可愛かった。
「あら、星ちゃんじゃない!」
「あ、こんにちは!」
星に声をかけてきたのはいかにも主婦だと言っているようなどこにでもいそうなおばさんだ。
「今日はどうしたの?」
「クリスマスと正月の食材をまとめ買いしようかなって」
「本当に偉いわねぇ~私の娘にも見習わせたいわよ!」
「そ、そんな………別に私は好きでやっているので………」
「で、君が噂の零治君?」
「へっ?あっ、はい、そうですけど………」
「話は星ちゃんから聞いてるわよ。確かに良い男ではあるわね………」
「お、おばさん………」
星の奴、何話したんだ………?
「で、あなたが妹のキャロちゃん?」
「はい!有栖キャロです!」
「あら、礼儀正しくて良い娘ね………やっぱり謝らなくちゃね」
「お、おばさん!?」
おばさんはいきなり俺達に向かって頭を下げた。
星が慌てて止めようとしたが、頭を下げたまま動かない。
「いきなりどうしたんですか!?みんな見ていますから頭を上げてください!!」
と、俺に言われ、渋々頭を上げたおばさん。
一体どうしたんだ?
「私達おばさん達の間では有栖家について悪い噂が流れていたのよ。多くの子供達を預かって、預かっている人は忙しくて中々帰ってこれない。そんな環境でまともに子供達が育つわけがないってね。だけど現実は違ったわ。星ちゃんと仲良くなったのは星ちゃんが中学に入ってからだったけど噂とは全然違かった。」
そう言って星を見るおばさんの目はまるで我が子を見ているようだった。
「礼儀正しくて、素直でしっかりしてて。噂とはまるで違ったわ。そして今日初めて会った零治君とキャロちゃんを見て確信したわ。星ちゃんだけじゃない、有栖家みんなちゃんと良い子に育ってるってね」
「おばさん………」
「何か困ったときは相談してちょうだい。絶対に力になるから」
………本当にいい人だなこのおばさん。
「はい、ありがとうございます………」
「「ありがとうございます」」
俺の後に星とキャロが続いてお礼を言った。
「それじゃあ私はもう行くわね。よいクリスマスを………」
そう言ってカートを押して行ってしまった。
「あのおばさんは私がタイムセールで困っているときに助けてくれたのがきっかけで仲良くなったんです。料理のレパートリーなんかも教えてくれたりしたんですよ」
「そうなのか………」
「本当に優しくていい人です」
やっぱりどこの世界にもいい人はいるんだな………
さて、買い物も終わり、大量の荷物を持って自宅に帰ってきた。
「疲れた~寒い!!」
そう言って玄関に荷物を置きっぱなしでこたつに潜るライ。
アギト以上にライの方が猫っぽい気がする。
「何をしておる、これからクリスマスパーティの準備をするのだ。こたつに潜ってる暇など無いぞ」
「痛た、痛いよ夜美………手伝うから首引っ張らないでよ………」
首を引っ張られ、渋々こたつから出てくるライ。
「全く………姉の立場のライが怠けていてどうする。見ろキャロ達を」
「お兄ちゃんこれは?」
「ああ、とりあえず台所に運んでおけば良いよ」
「レイ、開けて良い?」
「いや、それプレゼントだから開けちゃダメだって優理」
「じゃあ、居間に運んでおけば良い?」
「そうだな。とりあえずそうしといてくれ」
零治の指示を聞いた優理はプレゼントの入った袋を居間に運ぶ。
「これじゃあどちらが姉か分からんな?」
「!?レイ、僕も手伝う!!」
そう言って慌てて零治の所に向かった。
「やれやれ………」
「流石になれてるな夜美」
「まあな。単純なのも長所と言うことだ。羨ましくもあり、あそこまで単純なのは嫌だと思う気持ちもある」
「確かに単純なのは真っ直ぐだって事だもんな」
「そう考えるとアギトも真っ直ぐだと思うぞ?」
「アタシは単純じゃねえ!」
「2人共、しゃべってないで体を動かせ!」
そんな2人をライが注意した。
「全く………さっきまでサボっていた奴には言われたくないな」
「じゃあアタシ達も飾りつけ始めるか」
「そうだな」
そう言って夜美とアギトは部屋の飾り付けを始めた………
「レイ!唐揚げは?」
「もう上がる!!フライドチキンはどこやったっけ?」
「炊飯器の横に置きました!」
只今星と共に料理中。
せっかくのクリスマスパーティなのでということで色んな料理を作っているのだが………
「シャイデ達が来るのはいつでしたっけ?」
「確か7時頃だったはずだ!」
「ギリギリ間に合いそうですね………」
「なんとかな………ライ運んでくれ」
「はーい」
返事をして大きなお皿を持っていくライ。
「夜美、ピザのトッピング終わってる奴あります?」
「ああ、ちょっと待て………星、頼む」
「はい………ってずいぶんコーンばかりですね?」
「キャロのアイディアだが結構美味しそうではないか?」
「確かにピザ屋だったらありそうですけど、バランスが悪いのでピーマンや玉ねぎなんかも入れて下さい」
星に言われ、キャロだけでなく、優理もその場で固まった。
「星………ピーマンも?」
「ピーマンもです」
「で、でも星お姉ちゃん!リンスちゃん、ピーマン嫌いかもしれないよ!!」
「関係ないです。体に良いのだから食べさせます」
そんな厳しい星に2人の気分も沈んでいく………
「ま、まあ今回はお祝いだし特別に良いんじゃないか?」
「駄目です。大体レイは甘やかし過ぎです………」
駄目だ、やぶ蛇だった………
「全く………固いな星は。我が許可する。今日はクリスマスだし特別だぞ?」
夜美がそう言うと2人はみるみる笑顔になった。
「「ありがとう!!」」
2人でお礼を言った。
「ああ。だが今回だけだからな」
「「はい!」」
優理までしっかりと返事をしている辺り、本当に嫌いだったんだな………
「夜美………」
「良いじゃないか、ちゃんと食べると言っているのだから」
「………夜美も甘すぎます」
「その分、星が厳しいだろ?」
「はぁ………」
口で勝てないと思ったのか、それ以上は何も言わず、ピザをオーブンに入れ、焼き始める星。
零治は星を止められるのは我が家で夜美だけだと思ったのだった………
ピンポーン!
「来たか」
家のインターフォンが鳴り、ライとキャロが玄関へと向かった。
「お疲れ、零治、星」
「ああ、サンキューアギト………」
「ありがとうございます………」
アギトがソファーに並んでくたびれている俺と星にジュースを渡してくれた。
「何とか間に合ったな………」
「そうですね………」
テーブルにはこれでもかってほど料理が置かれている。
ちょっと気合い入れすぎてしまった………
「しかもケーキがあるんですよね………?」
「流石に食いきれないだろうな………」
そんな事を星と共に話していると………
「あら、すごい料理ね!?」
「美味しそう………」
「お帰り、シャイデ。そしてようこそ有栖家へ!リンス・ミナート!」
そう言ってみんなで拍手をすると恥ずかしいのか顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「それじゃあ早速みんなで食べるか!」
そう言って俺達はみんなで楽しく食事を採ることにした………
「リンスとね、こっちで暮らすことにしたわ」
皆で楽しく食べた夕食も終わり、チビッ子達+ライはゲームへと繰り出していた。
そんな中、それ以外の人達はテーブルに座り、そんなライ達の様子を見ながらシャイデの話を聞いていた。
「だから傭兵の仕事の仲介も辞めるわ。だからこれからは仕事の紹介は出来ないわよ」
「いいよ、俺ももう傭兵として戦うことは無いだろうし、収入が無くてもスカさんからもらった報酬の蓄えがあるから大丈夫」
「でも大学とか行くことになったら今のお金でも厳しいんじゃないの?」
「だったらバイトでもするよ」
そう言って俺はつまみに出した枝豆を食べる。
「………で、リンスの体はどうなんだ?」
「もう問題無いわ。リハビリもしっかりしたお陰でマリアージュシステムは使えなくても普通の魔導師としては戦えるわ」
「戦える力は必要ないのでは?」
「いえ夜美、世間的にはリンスがイクスヴェリアだと知っている人は少ないですが、それでもバレないという保障は無いので、自身を守れる力は必要だと思いますよ」
「そう、この先何があるのか分からない以上、自衛できる力は必要よ」
だが、元凶である最高評議会は殺され、スカさんは俺達と共にいる。
こうなってくるとJS事件は確実に無いだろう。
しかしそれでもクレイン・アルゲイルやバルトマン・ゲーハルトなど危険分子は残っている。
イクスヴェリアの能力を使って事件を起こしている以上、再び狙われてもおかしくはない。
「じゃあデバイスとか持たせるのか?」
「ええ、リンスの相性によって決めるけど………それより星はどうしたの?さっきから黙って………」
シャイデに言われて隣に座ってる星を見る。
確かにさっきから俯いて固まっている。
「星………?」
軽く揺すると星はピクっと反応し、俺を見た。
うん?ちょっと酒臭い気が………?
「レイだぁ~」
そう言って俺に抱きつく星。
そしてそのまま………
「なっ!?」
「あらあら」
俺にキスをしてきた。
せ、星!?
「えへへ、お茶の味がしゅる~」
呂律がちゃんと回ってない。
どうやら相当お酒が回ってるんだな………
「全く、酔うの分かってるなら飲みすぎるなよ星………」
「ふぁ~い!」
そう言って敬礼する星。
「珍しいわね。前飲んだ時は愚痴を長々と話してなかったかしら?」
「確かに………」
愚痴の方が良いという訳では無いが、これはこれで面倒だ。
「全く、星、部屋に行くぞ」
「夜伽ですかぁ~?」
「ばっ!?」
ばきっ!!
夜美の持っていた箸が折れた。
「や、夜美さん………?」
「我が星を連れていく。異論は無いな?」
「はい………」
あまりの威圧感にそれ以上の言葉が出なかった。
「さて、そろそろプレゼント交換といきますか!」
「「「イエーイ!!」」」
「い、いえ~い………」
時刻も10時とチビッ子達は眠る時間になっていたが相変わらずテンションが高く、普段大人しいキャロまでもノリが良かった。
そんなノリに上手く乗れないリンスの恥じらいっぷりも中々可愛いもんだ。
「さて、今日買ってきたプレゼントにそれぞれ番号を付けた。今からみんなにくじを引いてもらうから、引いたくじの番号が自分のプレゼントな。さあ順番に引け」
そう言って順番にくじを引かせた。
「じゃあプレゼントタイムだ!居間に行って、自分の番号を探してみ」
俺が言ったと同時にチビッ子とライは居間へダッシュで行った。
何だかんだ優理もキャロもリンスも楽しそうでよかった。
「あー!!自分のプレゼント当てちゃった!!」
………まあドンマイライ。
ちなみに俺は何かのアニメのドラゴンの貯金箱。キャロのプレゼントを引いた。
「さて………」
みんながはしゃぎ疲れて眠ってしまった深夜1時。
俺はパーティの後片付けをしていた。
ちなみに他のみんなは疲れて眠っている。
リンスはシャイデと一緒に居間にある布団で仲良く眠っている。
「零治………」
「どうしたアギト?」
と皿洗いをしていたとき、小さい姿でふらふら飛んできたアギト。
「零治は………寝ないの………?」
どうやら俺が部屋にいないことに気がついて来たみたいだ。
「もう少し片付けを済ませたら部屋に戻るよ。だから先に寝とけ」
「ふぁ~い………」
大きな欠伸と共に返事をするアギト。
そのままふらふらと部屋に戻っていった。
「………さて、とりあえずこのくらいで後は………ラグナル」
『セットアップします』
ラグナルの言葉と共に俺は光に包まれ、サンタさんの姿に。
「さて、プレゼントを置きに行くか!」
台所の床下からプレゼントの袋を引っ張りし、チビッ子達の部屋にプレゼントを置きに行った………
「さて………」
先ずはキャロと優理の部屋。
綺麗に掃除がしてあるエリアと物が散らかってるエリアを見ると、どっちがどっちのスペースなのかは一目瞭然。
「まあ仲が良いから良いか………」
寒いのかくっついて寝ている2人。
そんな2人の頭辺りにプレゼントを置いた。
「メリークリスマス」
俺はそう言って2人の部屋を出た………
「さて、ライは………」
ライの部屋は今ではすっかりタOガース一色になっており、あちこちに選手のポスターが貼ってある。
「くかーくかー」
寒いからか縮こまって寝ているライ。
だけど気持ち良さそうに寝ている。
「良い夢を見れてるかライ?」
語りかけながらそっとプレゼントを置く。
「メリークリスマス、ライ」
最後に頬にキスをして部屋を出た………
「さて、夜美か………」
夜美の部屋には本や漫画が沢山。
自分の小遣いの6割を本や漫画に費やしている。
今回夜美のプレゼントは本にしたのだが、ダブってないか心配だ。
「そっと……」
まるで泥棒の様に忍び足で夜美のベットにと向かう。
ベットにはちゃんとキチンとした姿勢で夜美が寝ていた。
「メリークリスマス夜美」
そう言ってライ同様に夜美の頬にキスをしようと思ったのだが………
「!?」
ちょうど接触する所で夜美が寝返りをうち、唇と唇が当たった。
俺は慌てて離れた。
今日でまさかの2回目。
運が良かったのは寝ている夜美が起きなかった事だな。
「まあラッキーって事で………お休み夜美、良い夢を」
そう言って俺は夜美の部屋を出た………
「我もとうとうレイとキスを………」
その次に入った星の部屋だが、星は酔いつぶれていて、気持ち良さそうに寝ているので特に問題なくプレゼントを置いていった。
勿論頬にキスを忘れずにだ。
んで、最後に………
「アギトだな………」
自分の部屋に戻り、アギトの寝ている大きめの籠を見ると少し寝づらそうに寝ていた。
いい加減籠以外に何か用意すると言っても断固拒否するアギト。
何故か籠で寝るのが良いらしい。
まあ理由は大体検討はつくのだが………
「何かに包まれてないと不安なんだろうな………」
アギトが研究所で受けていた仕打ち。
恐らく実験以外はずっと1人で放置させられてたんだろう。
だからこそ不安になるのだと思う。
「メリークリスマスアギト。これからもずっと一緒だぞ」
そう言って頭を撫でてあげると気持ち良さそうにするアギト。
俺はその隣にそっとアギトと同じくらいの大きさのペンギンを置いた。
するとアギトはそのペンギンに抱きついた。
「………なにこれ、めっちゃ可愛い」
しばらくアギトを眺めてから俺は眠りについたのだった………
次の日………
「れ、零治!」
二日酔いでうーうー唸っている星の代わりに朝食を作った俺はその後片付けをしているとアギトがモジモジしながら話しかけてきた。
「どうしたアギト?」
「あの………その………」
「?」
口ごもるアギト。
一体どうしたんだ?
「ペンギンありがとな!!」
と言って直ぐ様俺の部屋に行ってしまった。
もしかして………
「お兄ちゃん、さっきアギトが慌ててお兄ちゃんの部屋にむかいましたが何かありました?」
「いや、大丈夫。キャロは気にしなくて良いよ」
「うん分かった!」
元気よく返事をしてライ達の所に戻っていった。
「しかしアギトも結構可愛い所あるじゃないか」
そんな事を呟きながら夜美を見る。
「えへへ………」
いつもの夜美には到底考えられない様子。
俺がプレゼントしたフックカバーを大事そうに撫でながら何度も何度も開いたり閉じたりしていた。
その行為に何の意味があるのか微妙に興味があるのだが、いつもと全く違う夜美に声をかけづらい。
他のメンツは完全にスルーすることに決めたみたいで誰も声をかけない。
「全く………家でしっかりしてる星と夜美がダメになるなんて本当に珍しいな………」
そんな事を呟きながら俺は家事をこなしていくのだった………
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