戦国異伝
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第二十八話 都にてその三
その数についてだ。信長はさらに話していく。
「尾張の兵が弱くともじゃ」
「数があればですな」
「強兵にも対することができる」
「そういう意味もござるか」
「そうじゃ。何はともあれ数じゃ」
それが一番大事だというのであった。
「数は力じゃからな」
「ではこれからさらに力をつけ」
「数を増やし」
「そうして武田や上杉に対する」
「そういうことでござるか」
「左様じゃ。そしてじゃ」
兵の数の次はであった。
「将じゃが」
「あの武田信玄に上杉謙信」
「それに対するのですな」
「わしはやる」
今度はだった。信長はその覚悟を見せたのであった。
「あの二人よりさらに上になるぞ」
「あの二人を超えると」
「そう仰いますか」
「そうじゃ。蛟はやがて空に昇るものじゃ」
己の仇名をだ。自ら言ってみせたのだった。
「そしてそのうえでじゃ」
「将としても超える」
「そうされますか」
「そのつもりじゃ。してじゃ」
彼だけではなかった。さらに言うのであった。
「御主達もじゃ」
「我等もですか」
「超えよと」
「さらに上を目指せと仰るのですか」
「武田の二十四将も上杉の二十五将もじゃ」
どちらもだというのである。その両家の誇る将達をだというのだ。
「超えてもらう。そしてそなた等ならできる」
「我等ならと仰いますか」
「あの者達を超えられる」
「そう」
「そうじゃ。わしが見込んだ者じゃぞ」
彼等を見ての言葉だった。
「そこまでなれる、絶対にな」
「なれますか」
「我等も」
「そこまで」
「そうじゃ。なれる」
また話す信長だった。
「だから安心せよ」
「してですか」
「その兵と我等であの両家に向かう」
「その時はでござるな」
「そうじゃ。ただしそれでも足りん」
信長は先程の話の続きをした。
「両家の武器である馬もな」
「それもでございますか」
「馬をどう封じるか」
「それもでございますか」
「他にも足軽も止めねばならんがな」
まずはその馬だというのだった。
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