ソードアート・オンライン~豪運を持つ男~
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第一層クリアにて
前書き
どうも、空です!!
近いうちに一話を書き直したいと思います。更新とは別に少しかかるのですいませんがご了承ください!
今回は、私が「こうであったらいいなあ」という妄想全開の話です。
あと一、二話は第一層編のくだりが続くと思うのでよろしくお願いします!!ご
SIDE Zih
「・・・!」「・・・・!」 ワァァァァァァァ!!
どうやらあちらのほうでも決着が着いたようだ。
多分キリト辺りが決めたのだろう、あいつは根っからの勇者気質だからなと思いながらもこっちは、泣き崩れるサヤ(お姫様)をあやしていた。
あのボスをぶっ飛ばして助けに行った後、ボスがちょくちょくこちらに向かって来ようとしていたが巨漢なスキンヘッドの斧使いが常にタゲを取っていてくれてた為か、あの後すぐには戦闘はなかった。
しかしさっきの超ハイスピードの代償なのか、さっきから全身が痺れてまともに動かせない。きっと限界以上の速度をだしたせいだろう。
それでも男の意地で、全身が痛い中も変わらずにサヤを撫で続ける。
どれくらいたっただろうか・・・。
ようやくサヤが普段の元気を取り戻し始め、顔にも生気が戻ってきた。
それと同時に、相棒《キリト》の掛け声が聞こえる。
丁度右を向くと、キリトがボス《ギルファング・ザ・コボルドロード》に向かっていき、片手用直剣ソードスキル《バーチカル・アーク》を発動させ見事、ボスを真っ二つにしていた。
それからしばらくしてがやがやしだした。そしてどうやらあっちにも色々あったらしく、ディアベルがメンバー全員に向かって潔く謝罪をしていた。
キリトも、戦闘中に何かいざこざがあったみたいで同じパーティのアスナに引きずられていく。何をしたかは知らないが、アスナの目が座っているのでo☆ha☆na☆shi☆するのだろうと予測する。
そんな中、ドナドナの雰囲気を漂わせているキリトとふと目があった。
キリトは俺を見て必死の形相で俺に助けを求めてくるが、俺は右手で左肩を指す。
「?」といった顔になるキリトだが、俺の左肩には泣き止みはしたがまだ不安なのかサヤがジャケットに皺がつくぐらいきつく握っており、外せそうにない。
外せるかもしれないが、正直いって自分から外したくはない。
話は変わるが、サヤは可愛い。まだ会って間もないが、このレベルの女性はこのアイングラッドに五人といないだろう。
そんな通常時でも十分可愛いのに、普段強気な態度と相まってか今のサヤは破壊力抜群に可愛い。潤んだ涙目に、頬を微かに赤く染めてこちらを見てくる。
距離も近いためか、心なしか女の子らしい甘酸っぱい柚子の匂いがシステム上とはいえ俺の鼻をくすぐる。
つまり俺が何がいいたいかと言いますと・・・・、
『この幸せタイムを自分から壊したくない!!』
その一言である。
俺だって健全な男子だ。こんな美少女が隣にいて、嬉しくない訳がない!
この状況で嬉しいと思わない男子がいるだろうか?いやいない!!
そんな奴はただの仏さんか、ゲイに決まってる!!!
オープンなりむっつりに多少の喜びの違いはあれど、嬉しい事には変わりがない筈だ!!」
大変長くなったが、つまり『諦めろ。』それしかない。
俺はこっちを縋るように見てくるキリトに、悟りきった顔で右手の親指をぐっと差し出し、諦めろと口パクで答えた。
キリトは、「おいおい、嘘だろ・・・」みたいな顔をしてこの世の終わりのような感じでその場に崩れ落ちる。
そして無情にもアスナ《阿修羅》がきて、物凄いイイ笑顔をキリトに向け、首をつかまれ引きずられていく。
俺は遠い目でキリトをしばらく眺めていた。遠くから聞こえる「ちくしぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」という叫び声は、幻聴だと信じたい。
そしてふと思う。そう言えばあいつ今日ボス倒したし、今日のヒーローあいつじゃね?
そのヒーローが手荒い歓迎を今受けているであろうことに、今更ながら少し気の毒に思えた。
そう思いながらふと横を見ると、何故かサヤが顔を茹でだこのように真っ赤にさせながら涙目でこちらを見ていた。どうしたんだ一体?
不思議に思っていると、丁度隣にいたスキンヘッドの斧使いがこう口にした。
「お前さんさっきの台詞、心の声漏れてたぞ」
という。へっ?心の声?なんの事だ一体・・・!?
・・・!?っとふと一瞬嫌な予感が頭をよぎった。
出来れば当たって欲しくない予感だが、一応聞いてみる。
「ちなみに何て言ってた・・・・?」
最後の望みでそう言うと、その望みをあっさり断ち切るように言った。
「そこの嬢ちゃんの事ベタぼめしてたぞ」
「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!?」
思わず俺はそう叫んでいてしまった。
そしてふいにサヤと目が合う。
「・・・っ!?」「・・・ッ!?」
お互い同時に視線を逸らしてしまう。
数秒か数分、いやもしくは数時間。それぐらい時が経つのが遅く感じていた。
はっきり言って非常に気まずい。
ここは男として先に話し掛けようと思い、声を掛けた。
「あ、あの・・・・・・」
「は、ひゃい!」
・・・・噛んでる。めっちゃ噛んでるよサヤ・・・。
まぁでもそのおかげで、緊張していたのが多少ほぐれた。俺は何時もの如くサヤに話し掛ける。
「まぁ、そのえーと、・・・ごめんな?」
「ふ、ふぇっ・・!?」
・・・ヤバい。一瞬おたおたする小動物が背後で見えた気がしたが、気のせいだと信じたい。
気を取り直して続ける。
「何か気に触ったかと思ってね・・・」
「い、いや全然そんな事ないですよ!!それに・・・(嬉しかったですし)」
「それに?」
「い、いやなんでもないです!それにもう何も思ってないので大丈夫ですよ」
と言い、ニコッと微笑みかけてきた。
その瞬間、胸の鼓動がが高まり顔がほんのり赤くなったのは秘密だ。
とにかく一段落ついた俺達は、名残惜しくも離れて周りを見渡す。
皆ほとんどが胸を抱えて吐きそうになっている人が殆んどだ。心なしか殺気等とプレッシャーを感じさえする。
そうすると、話が終わるまで待ってくれたであろう人達がぞろぞろと集まってくる。
その中で一人のプレイヤーが話し掛けてきた。
「やあ、おつかれさん。夫婦の営みはもういいかい?」
「馬鹿野郎、夫婦じゃねぇよ。しかも営みって言い方がまぎらわしすぎるんだよあんたは」
とお互い軽く笑いながら軽口を叩き合う。隣でサヤが「夫婦・・・いい。」と言っているのは多分自分の幻聴だろう、そう信じたい。
周りもそれにつられて騒ぎ、俺らを茶化す。そしてしばらくするとその騒ぎを作った本人・・・ディアベルが俺に向けて話し掛ける。
「まあなんにしても、お前がその娘を救ったのは事実だ。今回のリーダーの立場から、改めて礼をいいたい。『ありがとう』」
ディアベルがお礼を述べた瞬間、拍手やら口笛やらが辺りを包んだ。
皆が口々に、「やるじゃん色男!」とか、「すっげえスピードだったよな!」と騒ぎだす。
俺は改めてディアベルのほうを向く。
ディアベルは、こちらを向いている。その表情は本当に嬉しそうにしていた。
その顔は憑き物がとれたようにさっぱりしている。
そしてディアベルは、再び皆の方向を向き、声を張り上げた。
「皆!!今回は死者もなく無事にこの第一層を攻略する事が出来た!これも皆が助け合ってお互いをカバーしていたからだと俺は思う!
そして、今回のボス戦は色々学べる物が多かったと思う。かくいう俺も、アイテム欲しさに集団を乱してしまった事は本当にすまなかった!
助けて貰えなければ今頃俺も死んでいたと思う!
まだまだこんなに頼りないリーダーだけど、それでももう同じ謝ちは二度と繰りかえさない!
だから許してくれ!本当にすまなかった!」
ディアベルが皆に向かってもう一度頭を下げると、周りのメンバーから激励の言葉が次々に投げ掛けられた。
「もう気にしてないぞー!」「くよくよすんなよリーダー!」
「皆・・・・」
ディアベルは、許してくれた事が嬉しいのか、肩を震わして大声で伝えた。
「ありがとう!俺は、お前らに会えて本当に良かった!!」
と言った。心なしか、笑っているが目が赤く泣いている事がわかる。
しかし、誰もツッコんだりと不粋な真似はしない。
そしてディアベルは最後にこう叫んだ。
「よし!じゃあ早速始まりの街の皆にこの事を伝えに行こう!!
またその後は、広場で今日の打ち上げをしようと思う!!金は勿論俺持ちだー!!!」
と言うと、全員の「「「「「「おうっ!!!!」」」」」」
と言う声がフロア全体に拡がった。
フロアを出る際に、俺はあるプレイヤーを探していた。
「おいっ!!」
「何だ?」
声を掛けたのは、あのスキンヘッドで斧使いの大男だ。
サヤを落ち着かせる際に、俺らの為にずっとボスのヘイトを受け続け、タゲを取りつづけていた壁で、この人がいたから俺はサヤを見ていられた。
「貴方方のおかげで助かりました!本当にありがとう!!」
そう言うと、その人はちょっと照れたように頭を掻きながら
「いいってことよ・・。それよりお前さん達名前は・・?」
と聞いてきた。別に隠す必要もないので正直に答える。
「ジンです。これから宜しくお願いします」
「サヤです。宜しくお願いします」
「エギルだ。まあ、宜しくな」
とまあ軽く握手を交わす。
とまあこんな事をしてると、どうやら皆は先に行ったっぽく残っているのが俺達だけになってしまった。
「じゃあ俺達も行くか!!」
「はいっ!!」「そうだな」
と準備しつつ、いまだ帰ってこないキリトにメッセージを入れる。
そして立ち上がって迷宮区から出ようとした際にプッと意識が途切れる。
ドサッ
やべぇ、今頃痛みがぁ・・・・!
あまりの激痛に、俺はそのままその場に崩れ落ちた。
「・・・・・!」「・・・・・・!」
何かを喋っているが、俺には全く聞こえない。
俺の意識は、深い闇の底に沈んでいった。
SIDE OUT
後書き
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