戦国異伝
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第十五話 異装その六
「力でもありますから」
「それぞれのか」
「火や水のだな」
「そうだな」
「はい、西洋の伴天連の話では虹もまた光です」
今度は虹のことも話すのだった。
「光もまた力ですから」
「それぞれの色の家はか」
「力か」
「そう見ています」
竹中は述べたのだった。
「私はですが」
「御主が言うならだ」
「そうだな」
「そうであるのだろうな」
「やはりな」
三人衆だけでなく不破も述べたのだった。こうだ。
「しかし。どの家もそんなことは考えていないがな」
「それぞれ好きな色を選んでいるだけだが」
「それでもか」
「それが何かになるのか」
「そうではないかと」
竹中はその偶然の中にもだ。あるものを見ていたのだ。
そしてだ。また五行の話をした。
「青、赤、白、黒、そして木はです」
「この世のそれぞれの力だったな」
「それだったな」
「そのまま青が木、赤が火、白が金、黒が水になり」
こう話していく彼だった。
「黄色が土です」
「そうだったな」
「方角に季節も表わし」
「そうしてだったな」
「その通りです。次に虹ですが」
今度は虹の話をするのであった。
「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫です」
「むっ、それはだ」
氏家がここまで聞いて言った。
「全てあるな」
「そうですね。赤がその武田です」
まずはそこだった。
「橙が島津です」
「そうだな」
「そして黄は今は今川の下にありますが松平で」
「緑が毛利でな」
「青が織田だ」
この二つは既に述べられていてだ。わかっていることだった。
そしてだ。残る二つだった。
「藍は近江の浅井だな」
「そして紫はだ」
「長宗我部」
「四国のだったな」
「これで全て揃います」
竹中の言葉はまた強くなった。
「色がです」
「五行に虹がか」
「全てだな」
「これで」
「それが何を意味するのかはです」
だが、だった。竹中の言葉が曇った。
「私にはわかりません」
「そこまではか」
「わからないか」
「まだそこまではか」
「それぞれの色はやがては潰し合うだけですし」
竹中はこの現実も話した。天下を一つにする家は一つだ。それならば他の家はである。これは最早自明の理であるとも言えた。
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