| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

万華鏡

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五話 豚骨ラーメンその二


 その袋を見てだ。琴乃はこう言った。
「麺と後は」
「うん、豚肉ね」
「それも買ってきたわ」
 里香と彩夏が答える。
「後は美優ちゃんのお家に行って」
「お料理開始ね」
「そうね。それじゃあね」
 二人は笑顔で琴乃と景子に話す。食材は揃っていた。
 だが一つ重要な食材がまだだった。それは。
「あっ、豚骨はどうなったの?」
「それね」
 里香が琴乃に応える。
「それがどうなったか」
「そう。買ったの?」
「美優ちゃんから携帯で連絡があったけれど」 
 それでだ。どうなったかというのだ。
「豚骨はもう美優ちゃんが買ってね」
「それでなの」
「そう。もう鍋で茹でてるらしいの」
「じゃあそこにお野菜を入れて茹でたら」
「いいだけみたいよ」
「そうだったの」
「豚骨からダシをたっぷり取りたいからって」
 だからだとだ。里香は肝心の豚骨のことを琴乃に話す。
「もう昨日に買って今から茹でてるらしいのよ」
「豚骨のだしってそんなに時間がかかるのね」
「骨の髄からだしを取るから」
 これはトリガラも同じだ。骨は髄からだしを取るのだ。
「それでなのよ」
「ううん。私もだしを取るけれど」
「豚骨とかトリガラじゃなかったの?」
「お味噌汁とかだったから」
 それでだというのだ。
「煮干とか昆布とかだったからな」
「豚骨みたいに時間はかからないわよね」
「ええ、それでなの」
 琴乃はこう里香に話す。
「骨のだしのことは知らなかったわ」
「そうなの。けれど中華料理は骨からだから」
 若しくは肉、その両方からだ。
「覚えておくといいと思うわ」
「うん、わかったわ」
「じゃあ。行きましょう」
「うん。スープにお野菜も入れて」
 そのラーメンのスープのアク抜きと風味の為だ。
「薬味にも使ってね」
「紅生姜買った?」
 景子は三人に尋ねた。
「それは」
「それも美優ちゃんから連絡があったから」 
 だからだとだ。彩夏が景子のその問いに答える。
「紅生姜ももうね」
「美優ちゃんが買ってるの」
「そう。もうね」
「肝心なものは抑えてるのね」
「こういうところしっかりしてるわよね」
 彩夏は関心している口調でしみじみと話す。
「流石リーダーっていうか」
「そうね。そのことはね」
「美優ちゃんがリーダーでよかったわね」
 彩夏は今度はにこりとして言った。
「しっかりしてて頼りになるリーダーよね」
「確かにね。けれどね」
「けれど?」
「幾ら美優ちゃんがリーダーでも」
 それでもだとだ。景子は真面目に考えている顔でこうも言った。
「頼りきり、任せきりはね」
「よくないのね」
「五人いるんだから」
 だからだというのだ。
「私達もしっかりしないとね」
「お互いに助け合っていかないとね」
 琴乃が言う。
「そうしないといけないよね」
「そういうことよ。五人だから」
 それ故にだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧