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万華鏡

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第十六話 プールと海その八


「それでサウナに露天風呂に水風呂に」
「あと薬湯ね」
「いい感じね」
「これで三百五十円は安いわよね」
「確かにね」
 琴乃は里香の言葉に納得している顔で頷いた。
「それはね」
「そうでしょ」
「それじゃあね」
 琴乃はこれで決めた。そして彩夏も言う。
「サウナってダイエットにいいし」
「おい、そこかよ」 
 美優はその彩夏に顔を向けて少し苦笑いで言った。
「ダイエットかよ」
「うん、だからね」
「ダイエットなあ」
「私も最近ね」 
 彩夏はさらに言う。
「また気になってきたから」
「だから気にし過ぎだろ」
「そうかしら」
「彩夏ちゃん特にな」
「太ってない?」
「あたしはそう思うけれどな」
 美優はその彩夏を見ながら答える。
「全然な」
「だといいけれど」
「体重かよ。脂肪率かよ」
「どっちも」
 両方だというのだ。
「気になってきて」
「その体重どれ位なの?」
 景子が彩夏自身に問うた。
「それで」
「背は百六十でね」
 景子や琴乃、それに里香と同じ位だ。四人の背は大体同じであり美優だけが一六九あるのである。
「体重は五十なの」
「普通じゃない?」
「だよな」
 美優は景子のその言葉に頷いた。
「それ位だとね」
「何でもないんじゃないか?」
「そうかしら」
「うん、全然大丈夫よ」
「心配することないだろ」
 また二人で彩夏に言う。
「本当にね」
「心配することないんじゃないか?」
「それで脂肪率はどうなの?」
 琴乃はこのことを尋ねた。
「そっちは」
「二十三・四だったわ」
「?それって女の子だと」
「そういうものじゃないかしら」 
 琴乃だけでなく里香もこう言う。
「気にすることもないと思うけれど」
「それも全然」
「そうかしら」
「うん、男の子より女の子の方が脂肪率あるからね」
「それが普通だから」
 二人はこう彩夏に言うのだった。
「そんなに気にすることないと思うけれど」
「脂肪率もね」
「そうなの。いや、うちのお兄ちゃんがね」
 彩夏にも兄がいるのでそれで言うのだった。
「身長一八七で」
「大きい兄さんだな」
「そうね」
 美優も景子もその背にまず驚いた。
「特撮のヒーローになれるだろ」
「そこまであったら」
「うん、背が高いのよ」
 彩夏自身もそれを言う。 
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