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万華鏡

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第十三話 テストの結果その十一


「琴乃ちゃんは文系過ぎるのよ」
「そうよね。けれど今回は公式を覚えてから勉強してテストに挑んだから」
「一夜漬けを止めたのはよかったわね」
「それ皆から言われるけれど」
「一夜漬けはよくないの」
 今だからこそ言う言葉だった。
「身体にね」
「物凄く悪いのね」
「一睡もしないとそれだけで脳細胞がかなり死ぬし」
「それも聞いたけれど」
「そうよ。よく食べてよく寝る」
 こうした話にもなる。
「それが長生きする秘訣でもあるのよ」
「あまり寝ないと長生きできないの」
「そうよ。だから余計によくないのよ」
「そうだったのね」
「その通り、長生きしなさいよ」 
 母として我が子に対して当然願うことだ。
「いいわね」
「うん、じゃあこれからは」
「毎日こつこつとやって毎日よく寝る」
 食べることは今は置いておかれた。
「そうしなさいよ」
「わかったわ。それじゃあね」
「あと深酒も実はよくないから」
「えっ、それは」
「煙草は厳禁、お酒もあまり飲まないの」
「煙草はいいけれど」 
 琴乃は煙草には興味がない。吸いたいと思ったことも一度もない、学生だから当然であるがそれ以前にこうした考えなのだ。
「それでもお酒は」
「無理かしら」
「お酒は飲まないと駄目よ」
 今日も飲んできての言葉だ。
「だって人間の友達じゃない」
「味の友っていうのね」
「そうじゃないの?」
「それはかなりあれな言葉だと思うけれど」
「けれどお母さんだって飲むじゃない」
「そうだけれどね。ただ飲み方と飲む時よ」
 この二つが問題だというのだ。
「琴乃ちゃんは大酒飲みだから」
「ううん、美味しくてついついなのよ」
 こうおかずで御飯を食べながら母に言う。おかずはかなりの美味だ。
「それにね」
「それに?」
「飲んでると気持ちが楽しくなって」
「そういう気分で飲むのはいいけれど。飲む時はね」
 次はその話になった。
「いい?飲む時は楽しい時に飲むのよ」
「暗い時に飲んだら駄目なのね」
「絶対に駄目よ。そうした時に飲むお酒はそもそも美味しくないし」
 まずこのことがあった。
「それに自棄酒になってどんどん飲んで」
「量もなのね」
「楽しい時に飲むお酒はお薬よ」
 百薬の長という名前に相応しくそれになるというのだ。
「けれど暗い時に飲むとね」
「毒になるのね」
「まさに百毒の長になるのよ」
「そうなの」
「だから気をつけてね」
 母は食べている娘に真面目な顔で話す。
「そうしないと大変なことになるからね」
「うん、わかったわ」
「お酒は楽しく飲むものよ」
「それで一杯飲むのね」
「出来ればそこで適量にするのよ」 
 やはりこうしたことを言う母だった。
「琴乃ちゃんはこれでお酒を飲む量が少なかったらいいのに」
「ううん、努力したいけれど」
 今度はバツの悪い笑顔で言う琴乃だった。そうしながらだった。
 青菜に揚げも食べて言うのだった。
「揚げを食べてもね」
「お酒に合うっていうのね」
「うん、これお酒に合うじゃない」
「揚げは確かに合うわね」
「私元々お豆腐とか揚げとか好きだから」
 それで食べるというのだ。
 
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