万華鏡
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第十二話 来てくれた人その十三
「そっちもよくて」
「乗馬もしていました」
また聡美自身がこう話す。
「それで試しにと思いまして」
「面接に来てくれたの」
景子も言う。
「いや、最初は私も驚いたけれど」
「やっぱりハーフの人だから?」
「だってね」
景子は聡美の緑の目を見ながら四人に言う。
「ギリシアの人だから」
「国籍ですが」
聡美も言ってくる。
「確かにそうです」
「ギリシア人ですか」
「そうです。ですが日本のことも」
「御存知なんですね」
「両親に教えてもらいまして」
それで知っているとというのだ。
「私の父が日本に留学しまして」
「あっ、そういえばギリシアって」
ここでふと琴乃がこんなことを言った。
「ゼウスって神様いましたね」
「父、いえ」
聡美は言いかけたところですぐに言葉を引っ込めた。
そのうえであらためてこう琴乃に尋ねた。
「あの方が何か」
「何か凄い女好きですよね」
「はい」
聡美は琴乃の楽しげな感じの言葉に真剣な顔で返す。
「実は困っています」
「困ってるんですか」
「私や兄さんだけではないですから」
「あっ、銀月さんってお兄さんいるんですか?」
「はい、います」
聡美は気付かないうちに琴乃達に自分のことを話していく。
「弓に琴が得意です」
「音楽家なんですか」
「今もギリシアで元気にしています」
「妹さんだったんですね、銀月さんって」
「そうですが」
「お姉さんって感じですけれど」
琴乃は聡美のその長身を見上げながら言った。見ればその背は美優よりも数センチ高い感じであった。
その聡美にこう言ったのである。
「妹さんなんですね」
「あたしだって妹だけれどな」
「あの、私も」
「私もよ」
「私もだけれど」
琴乃に美優だけでなく里香に景子、彩夏も言ってくる。
「あたし達の中でお姉ちゃんって琴乃ちゃんだけだろ」
「よく意外って言われるのよ」
「そうだよな。というか妹ってイメージじゃないからな」
「そうなの」
「そうだよ。妹って成り行きでなるからな」
自分より先に男の子が生まれていれば自動的にそうなるのだ。
「あたしだって好きで妹になったんじゃないよ」
「まあそうよね」
「私はお兄ちゃんが最初でね」
今度は里香が言う。
「お姉ちゃんが生まれて」
「最後に里香ちゃんなのね」
「そう。私実は末っ子なの」
自分でこのことを琴乃に話すのだった。
「私も意外って言われるわよ」
「うん、実際にそう思うわ」
「とにかくね」
あらためて言う里香だった。
「妹になるのは運だから」
「運なのね」
「そう、本当に成り行きだから」
里香は琴乃にそのことを話していく。さらにだった。
聡美に顔を向けてそれでこうも言ったのである。
「ギリシアにおられた頃にですか」
「いつも野原や山を駆けていまして」
「その時にですか」
「はい、弓をしていました」
まずは弓の話からだった。
「そして馬にも乗っていました」
「だから流鏑馬もできるんですね」
「お話もしましたし」
聡美はここでも迂闊にもこう言った。
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