万華鏡
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第一話 五人その二
二人で教室を出て軽音楽部の部室に向かおうとするとだ。その前にだった。
景子と美優が並んで立っていてだ。こう言ってきたのだった。
「じゃあ今からね」
「最初の部活に行こうな」
「あっ、待っていてくれたの」
「そうしてくれてたの」
「いや、今からそっちの教室に行こうって思ってたけれど」
「ここでばったり会ったんだよ」
そうだとだ。二人は微笑みと共に琴乃と里香に話したのだった。
「まあとにかくね。今からね」
「一緒に行こうか」
「うん、それじゃあね」
「四人でね」
二人は頷いて景子と美優の言葉に頷いた。そうしてだった。
四人になりそのうえでだ。軽音楽部の部室に向かう。するとその途中でだ。
背は琴乃や景子達と変わらない。カマボコ型の目にすっきりとした鼻立ちである。頬はややシャープで口元は何処か縁がある。黒い髪の毛を長く伸ばしている。全体的にスタイルがよく琴乃のそれに似ていて配色も同じだがデザインが微妙に違う制服を着ている。
その彼女を見てだ。琴乃が声をかけた。
「あの、ひょっとして」
「何?」
「新入生の娘よね」
「ええ、そうよ」
そのカマボコ型の目の少女は琴乃に顔を向けて答える。
「金村彩夏っていうの。宜しくね」
「金村さん?」
「彩夏でいいわ。それでだけれど」
今度はその少女彩夏から言うのだった。
「ひょっとして貴女達って」
「私達?」
「そう。軽音楽部かしら」
「そうなの。今から部室に行くつもりだけれど」
「じゃあ私と同じね。私もね」
「軽音楽部なの」
「ええ、そうなの」
彩夏は微笑んで琴乃に対して答えた。
「楽器はベースよ」
「えっ、ベース使えるの」
「ギターも好きだけれど」
それでもだとだ。彩夏は微笑みのまま琴乃に話したのである。
「それでもベースの方がね」
「そうなの。実はね」
「実はって?」
「私ギターやってね」
琴乃が言うとだった。里香に景子、それに美優もだ。
「私はキーボードなの」
「私もギターやるわよ」
「あたしはドラムやるよ」
三人もそれぞれ言った。彩夏はその話を聞いて言うのだった。
「じゃあ五人で楽器全部揃うわね」
「あっ、そうね」
言われてみてだ。琴乃もこのことに気付いた。
それでだ。表情をさらに明るくさせてだ。こう彩夏に言ったのである。
「じゃあ私達五人が一緒にバンド組んだら」
「面白いわよね」
「そうよね。まあとにかくね」
「部活に行ってからね」
「それで決める?うちの学校色々な部活があるけれど」
音楽関係も部活もだ。実に多い。
「軽音楽部もあって」
「どういった子がいるかわからないけれどね」
「それでも。揃ったら」
それでだとだ。琴乃は言うのだった。
「面白いわよね」
「そうね。本当にね」
「じゃあ彩夏ちゃん。まずは部活に行ってね」
何につけてもそれがはじまりだった。今は。
「それからね」
「色々とね」
「うん、お話しよう」
「さて。どうなるかしら」
彩夏は微笑みになった。その微笑みはというと。
琴乃、同性である彼女から見てもだ。こう言うものだった。
「何か彩夏ちゃんの笑顔って色っぽいよね」
「色っぽいって?」
「うん、そんな感じがするね」
そのだ。彩夏の笑顔を見ての言葉だった。
「凄くね。綺麗だけれど」
「色っぽいのね」
「同じ歳よね、私達って」
「ええ、そうよ」
その通りだとだ。彩夏もこのことはすぐに答える。
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