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万華鏡

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第八話 それぞれの家でその四


「美優ちゃん身体固くないのよ」
「そうか?」
「じゃあ他のストレッチしてみて」
「ああ、じゃあな」
 前屈以外のこともしてみる。脚を開いて股割りをしたり脚と脚を絡めることもする。脚を絡ませるのはストレッチではないが。
 背中も脚も曲げてみる。そのどれもがだった。
「柔らかいと思うわ」
「そうなんだ」
「ええ、柔らかいから」
 また言う里香あった。
「けれど前屈だけはよね」
「ああ、こんな感じなんだよ」
「つまり。美優ちゃんって身体は固くなくてね」
 では何が問題かというと。
「脚が長いから」
「それでこうなるんだな」
「そう。脚が長いとその分先に手がいかないじゃない」
 手と足の先がつかないというのだ。里香の様に。
「だからなのよ」
「それでか」
「そう。里香ちゃんは脚が長いからなのよ」
「そういうことなんだな」
 美優は前屈から腕を組み考える顔になった。 
 それでだ。こう言うのだった。
(あたし脚が長かったんだな」
「うん、そうだったのよ」
「成程なあ。今はじめてわかったよ」
「ああ、そろそろ休憩よ」
 ここで二年の先輩が一人来て五人に言ってきた。
「何かあんた達はその前から入ってたみたいだけれど」
「すいません、ちょっと」
「お喋りしてました」
「いつも言ってるけれど練習中は気を抜かないでね」
 やはりこの部活はそうしたことには厳しい。とにかく部活の間は部活のことに専念しろというのだ。このことには厳しいのだ。
「怪我するからね」
「ですよね、やっぱり」
「怪我してからじゃ遅いですから」
「ストレッチでもね」 
 例え準備体操のそれでもだというのだ。
「ちょっと油断するとね」
「怪我、ですか」
「怪我するんですね」
「本当に少しでもバランスを崩したらね」
 ストレッチ中にそうなればというのだ。
「ぐっきりいくこともあるから」
「だからですか」
「ストレッチも」
「ましてや五人共ね」
 五人全員だった。ここで言う相手は。
「脚長いし」
「脚、長いですか!?」
「そうですか?」
「ええ、長いから」
 それでだというのだ。
「五人共ね」
「美優ちゃんだけじゃなくて」
「私達もですか」
「脚ってのはわからないのよ」
 その長さはだというのだ。
「短いか長いかってのはね」
「そういえばそうですね」
 美優が先輩のその言葉に頷く。
「実はあたしも今皆に言われて」
「気付いたのね」
「ええ、そうしたこと言われたことないですし」
 短いと言われたことはないが長いというkともないというのだ。そうした経験はないというのだ。
 だがそれでもだとだ。美優は先輩に話していく。
「そうなんですか。脚は」
「脚だけじゃないけれどね」 
 話はここで大きくなる。 
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