八条学園怪異譚
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第二話 嫉妬その十二
「自分が何か劣等感とかストレスとか。そういうのがあってね」
「劣等感?」
「そう。そういうのがあってね」
それでだ。どうかというのだ。
「自分でそういった感情をコントロールできなくて。他人に当たることだからって」
「だから弱いの」
「そうなんだって」
こう言うのだった。
「私そうお母さんに言われたの」
「じゃあ強い人はどうするの?」
「そういった劣等感とかストレスを自分で何とかするって言われたわ」
「自分で?」
「そう。自分でね」
母に言われたことをだ。愛実にさらに話していく。
「努力して克服していくんだって」
「劣等感っていったら」
どうかとだ。愛実は聖花の話を聞きながら考えていく。
「お勉強ができないとかよね」
「具体的に言えばそうよね」
「そうよね。それよね」
「それで。他の人に劣ってるとかね」
聖花も言っていく。
「そう思うとやっぱり嫌な気持ちになるわよね」
「うん、それは」
このことは愛実は聖花以上によくわかった。何しろよく抱く感情だからだ。聖花はそのことに気づいてはいないが。
「わかるわ。私にもね」
「そうなの。私はちょっと」
「劣等感とか感じないの?」
「人は人。自分は自分じゃないの?」
聖花はそう考える人間だった。元々そうなのだ。
「そう思うけれど」
「そうなの。けれどね」
「劣等感ってあるのね」
「それで。それを自分ではどうにもできないことが」
「弱いっていうことなのね」
「お母さんはそう言ってたわ」
愛実のよく知っているだ。聖花の母がだというのだ。
「そうね。だからよくないって」
「そうなの」
「そう。それでいじめをする人は」
話が本題に戻った。今の話の。
「自分でそういった感情に負けている弱い人だから」
「それでなの」
「しっかりとしていれば追い返せるらしいわ」
「おばさんがそう言ってたのね」
「うん、そうね」
聖花は笑顔で愛実に話した。
「教えてもらったの」
「先生でもいじめをする様な人は」
「いるわよね。やっぱり」
「先生っていっても。何か」
愛実は巷のニュースを思い出しながら述べた。
「おかしな人多いからね」
「私達よりずっとおかしな人多い位よね」
「変な犯罪する人も多いし」
教師の人格障害者の割合は異常に高いのではないかという噂もある。ストレスの溜まる職業なのか日教組に問題があるのか。
そこからだ。聖花は言うのだった。
「けれどね」
「それでもなのね」
「そうした先生でもやり方あるから」
「具体的にはどうするの?」
「新聞への投書もあるし」
聖花はまず挙げたのはこのやり方だった。
「その他にもね」
「まだあるの?」
「インターネットで公にするとか」
「そういうやり方もあるの」
「そう。色々あるから」
こう話したのである。
「おかしな先生でもどうにかできるわよ」
「そうなの」
「そう。無敵の人なんていないし」
聖花はこのことを強く感じていた。そのうえでの言葉だった。
「絶対にやり方があるのよ」
「そうなの」
「そう。だから安心して」
聖花は微笑んで愛実に話した。
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