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八条学園怪異譚

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第十五話 足元にはその二


「その中にヒョウアザラシっていうのがいてね」
「ヒョウアザラシ!?」
「豹!?」
「そう。何でも豹みたいに凶暴なアザラシらしいのよ」
 そうしたアザラシもいるというのだ。
「ペンギンとか他のアザラシを襲って食べる物凄く凶暴で怖いアザラシらしくて」
「ってそんなのいるの」
「アザラシの中には」
「南極じゃ一番の猛獣らしいわ」
 海にはシャチがいるが丘に上がれるものとしてはそれが一番怖いというのだ。
「で、それが犯人だったのよ」
「ううん、アザラシが犯人ねえ」
「凄いことね」
「それとかだったらまずいわよね」
 愛実は真剣な顔で言う。
「やっぱり」
「っていうかそんなの外に出てたらまずいでしょ」
「足元噛まれたらやばいわよ」
「そんな猛獣がいるって」
「うちの学園の動物園にもいるんじゃないの?」
「いたかしら」
 愛実もこの辺りはよく知らない。動物園に行ったことがあってもだ。
「そういうのも」
「アザラシも結構いるけれどね、あの動物園」
「シロクマもいるし」
 これは大抵の動物園にいる。熊の中でもとりわけ大柄で怪力を誇る。
「ライオンとか虎もいるけれどね」
「狼も」
「ゴリラもいるし」
「ゴリラは大人しいわよ」
 聖花はクラスメイトの今の言葉にはすぐに突っ込みを入れた。
「絶対に人を襲わないのよ」
「そうなの?」
「狼も基本はそうだけれど」
 だから犬にもなった。人になれる生き物だからだ。
 そしてゴリラはどうなのか、聖花はこのことを話す。
「ゴリラは完全なベジタリアンでね」
「お肉食べないの」
「ええ、そうなのよ」
「じゃあ人を襲ったりとかは」
「それどころか絶対に抵抗しないから」 
 ゴリラはそうだというのだ。
「何もしないわよ」
「そうなの」
「そうよ。本当に大人しい動物だから」
「ううん、顔は怖いのに」
「怖いのは外見だけよ」
 本当にそれだけだというのだ。
「捕まえるのは棒だけで充分だから」
「そうなのね」
「ゴリラって大人しいのね」
「怖いのはチンパンジーよ」
 ある映画ではゴリラが粗暴でチンパンジーが良識派とされていた。しかしそれはイメージでしかないというのだ。
「こっちは怖いのよ」
「えっ、チンパンジー怖いの?」
「そうなの?」
「雑食で掴む力も強いから」 
 だからだというのだ。
「人間の手とか簡単に握り潰すわよ」
「雑食って人間とか襲うの?」
「みたいよ、たまにだけれど」
 聖花はクラスメイトのこの問いにも答える。
「子供とかね」
「うわ、本当に怖いわね」
「じゃあ子供襲って食べるの」
「そんな生き物なの」
「そうみたいね。あとヒヒとかニホンザルも怖いから」
 日本人には馴染みの猿の名前も出た。
「凶暴でね。あまり近寄らない方がいいわよ」
「かえってゴリラの方が大人しい」
「そうなのね」
「そう。あとオランウータンも大人しいから」
 こちらもだというのだ。尚ゴリラにしてもオランウータンjにしても絶滅危惧種であり常に保護が叫ばれている。
「怖くないわよ」
「大きいお猿さんの方が」
「そうなのね」
「そう。まあ足元にまとわりつくのはね」
 話が戻った。それはどうかというのだ。 
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