ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
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本編
第4話 領地経営と鍛錬だ!!妹観察日記はサボり気味
こんにちは。ギルバートです。最近になって、非常に頭に来る事がありました。残念ながら、お返しをするのはだいぶ先になりそうです。非常に不本意です。
まあ私より、母上のご機嫌の方が危険なのですが。
父上には、今後の危険性を十分に話し合い王都に行ってもらいました。ついでに、本を送ってもらうよう頼んでおきました。
これから、領地経営と自己のパワーアップに努めていきたいと思います。死にたくないですし。
領地経営は、主に母上に矢面に立って頂く事になりました。しかし、意外にやれることが少ないのです(主に、予算的な意味で)。やりたい事を、まとめてみましたが殆ど実行不可能だった時は頭を抱えました。あと心配なのは亜人の被害ですが、母上が領地守備隊を監督し始めたので問題無しです。守備隊からは訓練が厳しすぎて死ぬ、と苦情が入ったらしいですが聞かなかった事にしておきます。
(そう言えば守備隊の訓練日に、母上が「ストレス解消になったわ」と上機嫌でした)
……とりあえず、この事はスルーして実行するのは以下の三件です。
№1 領地内の、衛生管理と衛生法の導入。
内容は、清掃員雇用・公衆トイレ設置・違反者の罰則。
効果は、疫病対策と肥料確保。
詳細
町や村の、衛生環境を改善します。これにより疫病の発生を未然に防ぎます。また公衆トイレから、人糞を集め肥料にします。
№2商会の設立。(マギ商会)
内容は、そのまま自前の商会の設立。
効果は、出荷額の増加による増収。
詳細
商人の中には、魔の森が近い事を理由に、物品を不当に安く買いたたく者が居るようです。よって、正当な値段で物品を取引する商会を、立ち上げる事にしました。マギ商会は領内有志が、立ち上げた商会としておきます。
№3 寺子屋の設立。(学費無料)
内容は、平民用の簡易学校を創る事。
効果は、平民の学力とモラルの最低限確保と優秀な平民の確保。
詳細
平民達の学力を上げる事により、潰しが利く様になり失業者を減らします。また同時にモラルを高める事により、盗賊等に身を落とす平民を減らします。そして優秀な者達を発掘し、優先して雇い入れます。
以上です。初期の人材確保が難しいですが、それは母上に伝手が有るそうです。偉大な母上を持てて私は幸せです。
また、輪栽式農業を正式に導入したいのですが、現状ではこの農法には多大な問題点があります。更に今は効果の程が立証できないので、残念ながら今は正式採用には踏み切れません。やはり地主がバラバラだと、その分土地や取り分の問題が如何しても出て来てしまいます。大麦・ライ麦・豆 → 牧草・クローバー → 小麦 → カブ・テンサイと四つの畑で使いまわす事になるので、休耕地を作らなくて済むのはやはり魅力です。飼料も確保できるので、家畜を増やせるのも大きいです。如何にか対策を取り、正式採用したいです。
次に、自己のパワーアップについてです。体力面で今無理をすると正常な成長の妨げになるので、1時間~2時間の散歩程度に控えたいと思います。勉学面は初級魔法入門から、じっくりと身につけて行く心算です。それから良く眠る事。後は段階的に、メニューを修正していく事にしました。
それと領地の戦力アップとして、武器の開発を考えています。真っ先に思いついたのは、刀剣類の充実と銃火器の導入です。しかし刀剣類に関しては、準備が出来次第少しずつ取り組んで行く心算ですが、銃火器関係はあきらめる事にしました。その理由は、私にミリタリー関係の知識が乏しかった事が原因です。銃の内部構造等は全然分かりません。
それでも銃の製造自体は、絶対に不可能と言う訳ではありません。場違いの工芸品である銃を回収し、内部構造を解析してしまえば良いのです。しかし現代の銃を作るには、高い精度の加工が如何しても必要になってきます。そうなると“加工機を作り新しい加工機の部品を作る”と言う作業を繰り返し、少しずつ加工機の精度を上げて行かなければならなくなります。満足の行く精度の加工機を作るのに、何十……下手をすると何百もの加工機を作る羽目になります。完成するまでに、どれだけの予算が必要となるでしょうか? ……ドリュアス家では、逆立ちしても出せませんね。そして加工機の精度アップを怠ると、命中精度が低い上に弾詰まりが頻発する欠陥品しか出来ません。
予算だけじゃ無く、もし生産に成功しても旨みは無いと判断しました。魔の森周辺で使えば、大きな音が出て幻獣・魔獣や亜人を呼び寄せる事になるので、ハッキリ言って使えません。それ以外で使う事は可能ですが、現代の銃はハルケギニアにとってオーバーテクノロジーも良い所です。ロマリアに異端認定される理由を作るだけですし、されなかったとしても国に取り上げられるのがオチです。
かなり後ろ髪が引かれますが、銃に関してはキッパリと諦めました。大人しく刀剣類の充実に力を注ごうと思います。
こんなところでしょうか? この状態でしばらく動かし、問題があれば修正する事にします。
妹を観察してみました。うん、赤ん坊ですね。母乳を飲み、ウンチして寝るだけ。所詮1カ月です。今は観察してもしょうがないかな。と、言うわけで領地の事と、自分の事に集中します。
3カ月が経ちました。今月は、ケンの月(10月)です。私は2歳になります。妹はまだ4カ月です。
父上が帰ってきました。残念ながら、ペドロの件は進展がありませんでした。流石にあちらもバカではありません。こちらが警戒している事に気付き、暗殺等の直接的な行動には出ませんでした。仕方が無いので、秘薬の事は可能性有として、ヴァリエール公爵にのみ報告したそうです。
領地経営の報告書が母上の所に来ていたので、見せてもらいました。
№1 衛生管理と衛生法。
母上達の努力が実り、領民の理解を早い段階で得られました。そのおかげで、町や村は清潔になりました。肥料は発酵時間(約1年必要)が全く足りないので、結局土メイジに《錬金》してもらったそうです。肥料は無償で、農村に配られました。ただ《錬金》した肥料は質が低いので、今後は専用施設を郊外に設置し、自然発酵を行うようにするそうです。
№2 商会の設立。
まだ軌道には乗っていませんが、領民からは非常に評判が良いです。一部の領民の間では「悪い商人に、お金を取られなくなった」と、感謝されました。守備隊の中には、実家の事等で恩義を感じ進んで護衛をする者もいたそうです。
まだ黒字は出せませんが、この調子なら1年以内に黒字を出せそうです。
№3 寺子屋の設立。
通う者はそこそこの人数に達したようです。しかし、まだまだ理解を示さない者達も居ます。特に農村部では、そう言った傾向が強いです。子供も働き手であると、認識しているからでしょう。正直に言って、芳しくありません。
※要対策ですね
寺子屋以外は順調です。しかしこのままでは、平民間の格差が大きくなってしまいます。そうなれば、軋轢から抗争なんて事になりかねません。少し早いですが、屯田兵を設立した方が良いのでしょうか? しかし、予算がな……。赤字覚悟か? いや赤字は不味いです。仕方が無いので、ここはまだ保留するしか無いですね。
妹? 相変わらずです。まだ赤ちゃんですので。でも少し大きくなりましたね。
また3カ月が経ちました。今月はヤラの月(1月)で、始祖の降臨祭があります。みんな休みですが、守備隊の半分は居残りです。亜人からすれば、「始祖の降臨祭? そんなのかんけーねー!! そんなのかんけーねー!!」ですから。せっかくの始祖の降臨祭を、血の降臨祭にする訳には行きません。まあ、始祖なんか信じちゃいませんけど。
降臨祭ですので、父上も帰って来ました。相変わらず進展が無いそうです。相手には完全に警戒されてしまいましたね。しかも予想以上の大物貴族が、関わっているかもしれないとの事。無理はしないでほしいです。
続いて領地経営の経過です。
№1 衛生管理と衛生法。(最終報告)
この考えを領民に定着させる事に成功した様です。発酵施設も、郊外に設置できました。1年後には、質の良い肥料が出来始めるでしょう。今後の物流・管理は、マギ商会に委託します。
№2 商会の設立。
幸運な事に優良な取引先を、一件見つける事が出来ました。今後は黒字が見込めるでしょう。また、これを足掛かりに他の取引先を開拓して行くそうです。家(ドリュアス子爵家)の、後押しのおかげかな?
№3 寺子屋の設立。
町では予想より早く、理解者が増えています。ただ、農村部では相変わらずです。
※要対策です
マギ商会の方が、予想以上に上手く行っています。また、基本税収も上がって来たので、屯田兵の設立ももう直ぐ可能になるでしょう。設立準備をそろそろ始めたいと思います。
妹はまだ7か月で、相変わらずです。まだまだ、赤ん坊……赤ん坊……。
えっ? パワーアップは如何したかって? 勉学面は、現在ルーン文字の勉強に入っています。しかし、魔法関係は感覚的な物が多く、実際使えるようになるまで停止しています。体力面は、相変わらず歩いています。少しだけ、走るのも追加しました。
また、3カ月が経ちました。フェオの月(4月)です。魔法学院の入学の時期ですが、私にはまだ関係無いですね。
領地経営は新しい動きがありました。ドリュアス領に流民が入って来たのです。(人数は60人と少し)どうやら、南方の村が魔の森に呑まれた様です。原因はアホ貴族が、魔の森にファイヤーボールを打ち込んだ事だそうです。……早く如何にかしなければ。(怒)
№2 商会の設立。(最終報告)
順調に取引先を増やしています。もう軌道に乗ったと見て良いでしょう。今後はドリュアスの下部組織として、活躍してもらいましょう。
№3 寺子屋の設立。(最終報告)
屯田守備隊の設立。これを、公布しただけで子供達は、ほぼ例外なく寺子屋に来る様になりました。(現金な人達です)おかげ様で、もう何も問題無いです。
№4 屯田守備隊の設立。
内容は、農耕作業員兼警護部隊の新規設立。
効果は、農地拡大・寺子屋支援・有事の際の出兵要員。
詳細
兵員を農作業に従事させる事により、体を鍛えさせます。また農作業を手伝うのは、老人夫妻や寺子屋に行っている子供がいる家優先としました。これにより、親に子供は寺子屋に行かせた方が得と思わせる事に成功しました。また、現地自警団と合同訓練により、自警団の錬度も共に増強します。
№5 人材派遣。(流民の対処)
内容は、人材派遣。
効果は、人員不足解消・流民の効率的就業。
詳細
流民の生活を、一時的にドリュアス家で見ます。(待遇はギリギリ飢えない程度)また、その間厳しく教育(読み書き・計算等)を施します。条件に合致する人間を、人員不足で困っている場所へ派遣します。試用期間を経て、問題無いと判断された場合そのままそこに就職させます。逆に問題ありとされた場合は、戻して(地獄の)再教育を施します。また、派遣先が一時的な手伝いとして人員を欲していた場合は、再教育は無し(低いが給料有)としました。
こんな所でしょうか? まさか自分が派遣する側になろうとは、夢にも思いませんでした。実はマギは、派遣切りで失業してましたから。……複雑です。
母上は人材派遣の提案を、快く引き受けてくれました。ホッとしながら部屋を出ようとした所で、母上に捕まりました。
「当然ギルバートちゃんは、手伝ってくれるよね? 主に書類仕事とか……後は書類仕事とか……特に書類仕事とか……」
(母上。とっても怖いです。それから書類仕事は、そんなにお嫌いですか?)
私はこの時(そんなに辛いとは思えませんけど)等と、軽く考えていました。しかし甘かった。目疲れるし肩こるし、2歳児がやる仕事じゃありません!! 何より1枚にやたらと時間が、かかり過ぎです!! 見ると、母上も辛そうにしています。
「あーあ。偏在でも使えれば……」
「それよーーーーーー!!」
私の軽口に、母上は大声を上げ執務室から出て行きます。そして、しばらく経ってから6人の母上が入ってきました。(何気に怖い光景ですね)その後母上は、文字通り6倍の速さで書類を片づけました。
この後私は書類仕事を、必ず手伝わされるようになりました。
(私は悪くないと思うのですが?)
まあ、書類は1日で終わりのはずもなかったのです。
起床→トレーニング→勉強→書類仕事(手伝い)→就寝。
最近はこのサイクルが、毎日続くのです。正直、無茶苦茶キツイです。この毎日は、流民が全員就職できるまでの4ヶ月間続きました。
今目の前に妹が居ます。1歳と2カ月。そう、私が目覚めた時と同じ年齢なのです。
そして私は今、自己嫌悪で過去の自分を殴ってやりたい気分です。……いや、本当にやりませんよ。
皆様は「人の振り見て我が振り直せ」と言う言葉をご存知ですか?
他人のやっている動作や態度が良くないと感じたら、自分は他人に対して同じような事をしていないか、良く考え該当するものがあれは反省し直す。と言う意味の言葉です。
そう妹を観察していると、過去の私が如何に変な赤ん坊か実感させらてました。
赤ん坊は、嫌な感じになれば泣くのです。かつて私は母上と父上の愚痴を、大人しく黙って聞いていました。しかし、そこに絶対成功する回避方法があったのです。
ズバリ!!泣く!!……ズバリ!!そうでしょう!!
これだけで、あの長ったらしい愚痴が回避できたのです。双子ならマネできたのに。等と場違いに思ってしまいました。
領地の状態も上向き、このまま放っておけば税収は上がって行きます。
他にも出来る事はありますが、派手にやると異端審問が怖いので、領地経営はこの辺で自重しようと思います。
母上が何か言ってき時に、意見する位にしようと思います。
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