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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第六十七話 ジャブロー攻防戦

                第六十七話 ジャブロー攻防戦
ロンド=ベルはダカールから大西洋を渡りジャブローに向かっていた。彼等は海の上を通っていた。
「何か海の上通るのも久し振りだよな」
甲児が言った。
「今まで砂漠とか高原での戦いが続いたからね」
マリアがそれに合わせる。
「海の上は。何か懐かしいね」
「そういえばそうだな」
鉄也もそれに頷く。
「もっともマジンガーは海での戦いはあまり得意じゃないけれどな」
「ブレストファイアーが使えねえからな」
「ロケットパンチだけか。あとスクランダーカッターと」
「おいおい、それだけ使えれば充分じゃないか」
「大介さん」
「それに君達の能力が大きく関係するのがマジンガーじゃないか。そんなことを言ってどうするんだ」
「けど大介さんのグレンダイザーなんかマリンスペイザーと合体できるし」
甲児は大介に対して言った。
「それを考えるとかなり違いますよ」
「そうかな」
「それにグレンダイザーもパイロットの能力が大きく関係しますしね。今回は若しかしたら大介さんが主役かも知れないですよ」
「僕がか」
「ジャブローはアマゾン川流域ですからね」
「そういえばそうだったな」
「大介さんにも見せ場がねえと。ベガ星連合軍との戦い以来でしたっけ」
「メインで戦ったのはね。ロンド=ベルに入ってまだ間もないし」
「それじゃあ頑張って下さいよ。期待していますよ」
「何か照れるな。ところで鉄也君」
「はい」
鉄也は大介の言葉に応えた。
「今度の敵はミケーネ帝国だが」
「暗黒大将軍が来ているんですね」
「そうだ。彼等のことは君が一番よく知っていると思うが」
「ええ」
彼はそれを認めた。
「俺にとっちゃあいつ等は宿敵そのものですから」
その声も強くなっていた。
「かなりのことを知っているつもりですよ」
「そうか。なら心強い」
「多分今度は怪鳥将軍と魔魚将軍、そして妖爬虫将軍が出ているでしょうね」
「その三人か」
「はい。そして総指揮を執るのが暗黒大将軍です」
「七大将軍のうち三人をか」
「おまけにあいつまで。こりゃ激しい戦いになるな」
「甲児君にとっちゃそっちの方がいいでしょ」
「何でいつもこんなに簡単にわかるかな」
「だって甲児君ってすぐ顔に出るから」
さやかは答える。
「考えが簡単にわかっちゃうのよね」
「テレパシーとかじゃなくてかよ」
「私にはそんな能力はないわよ」
「タケルみてえにはいかねえか」
「タケルさんだって何でもdきるわけじゃないわよ」
「何かよお、顔もよくて運動神経もいいからな、あいつは」
「だからって万能ってわけじゃないでしょ」
「ははは、確かに」
「まあ甲児君もかなり超能力者みたいなところはあるわね」
「ジュンさん」
「それだけの怪力とパイロットセンスはね。見事なものだわ」
「褒められっと照れるなあ、おい」
「別に褒めてるつもりはないけれど」
「いやいや、本当のことなら尚更」
「調子に乗ってると怪我するわよ」
「いや、甲児君は調子に乗ってくれた方がいい」
大介がそんな彼をフォローして言った。
「派手に暴れてくれた方が彼らしいしね」
「じゃあ今回も派手にやっか」
「兄さんって本当に甲児をその気にさせるの上手いわね」
「年上だからかしら」
マリアとさやかはそれを見てヒソヒソと話をはじめた。
「けどさやかも年上じゃないの?」
「けどねえ。大介さんみたいには中々」
「やっぱり王子様だったからかな。人の扱いが上手いとか」
「それを言うならマリアだってお姫様でしょ」
「あっ、そうだった」
「そうだったって」
これにはやはり呆れたようであった。
「何で忘れるのよ」
「御免御免」
「じゃあ大介さん、今回はマリンスペイザーで出撃するの?」
ひかるが尋ねてきた。
「そうだな、どうしようか」
「ジャブローは森林地帯だし陸からも厄介よ」
「ううむ」
ジュンの言葉を聞いてさらに考え込む。
「どうしようか」
「じゃあおいらがマリンスペイザーに乗るだわさ」
「えっ!?」
それを聞いてマジンガーチームの一同は思わず声をあげた。
「ボス、今何て」
「聞こえなかったのかよお、兜」
ボスは甲児に対して言った。
「おいらがマリンスペイザーに乗るだわさ。これでいいだろ」
「ヌケやムチャもか!?」
「勿論」
「おいら達は何時でも一緒だぜ」
ヌケとムチャもそれに応えた。
「いいんだな、本当に」
「鉄也、何か引っ掛かる言葉だわさ」
「いや、そんなつもりはないんだが」
だが普段は冷静な鉄也も態度が明らかに違っていた。
「その、つまり」
「おいらがボロットじゃないから心配だって言いたいんだろう」
「まあはっきり言えばそうなるわね」
マリアが答えた。
「あんたボスボロット以外操縦したことなかったんじゃなかったっけ」
「何回かマジンガーにも乗ったことはあっただわさ」
「本当、甲児」
「練習の時にな。けどやっぱり無理なんじゃねえのか?」
「兜、まだ言うのかよ」
「だってよお、あの時だって危なっかしかったしな」
「そうよね。やっぱり適性もあるし」
さやかも言った。
「やっぱりボスはボロットが一番じゃないかしら。私もさやかに賛成するわ」
「ジュンまで。何だよお、もう」
いい加減ボスも頭にきた。
「おいらが他のマシン操ったら駄目だっていうだわさ」
「だからそうじゃねえって」
甲児がまた言った。
「やっぱりボスにはボロットが一番合ってるよ」
「そうかも」
「何でえ何でえ皆しておいら達をオミソにしやがって」
「まあまあ」
そこで大介が間に入ってきた。
「ボスも一応マリンスペイザーは操縦できるんだね」
「勿論だわさ」
「じゃあそれでいい。是非乗ってくれ」
「えっ、いいのかよ大介さん」
「構わないさ」
彼は甲児に答えた。
「フォローはするからね。それにスペイザーになったら操縦するのは僕だし」
「そりゃそうだけれどよ」
「まあここは任せてくれ。いいね」
「大介さんがそう言うのなら」
「仕方ないわね」
こうして他のマジンガーの面々は納得した。ボスは今回マリンスペイザーに乗ることになったのである。
ジャブローに向かう者達の中には当然ザンボットチームもあった。彼等は今マクロスの中にいた。
「何かマクロスの中ってすげえなあ」
勝平達は今マクロスの中のハンバーガーショップにいた。
「船の中にこんなでっかい街があるなんてよ」
「エクセリオンはもっと凄いらしいわよ」
驚く彼に恵子がこう言った。
「そうなのか」
「ええ。何でも七キロもあるらしいから」
「うわ、そりゃすげえ」
「けど銀河の彼方に行っちゃってるからね。会えないと思うわ」
「そっか、残念だな」
「そのかわりここにいるだろ。それでいいじゃないか」
宇宙太がぼやく彼に対して述べた。
「それに俺達はまた戦場に向かわなくちゃいけないんだからな」
「今度はアマゾンかよ」
「ええ」
「何かヘビとか鳥とか訳わかんねえもんが一杯出て来そうだな」
「きそう、じゃなくて出るのよ」
恵子はまた言った。
「そうなのか」
「そうよ。だって今度の敵はミケーネ帝国よ」
「あの地下にいたって奴等だよな」
「ええ。何でも凄い数で来てるらしいわよ」
「敵っていつも数で来るな」
彼はそれを聞いてぼやいた。
「何とかなんねえのかよ、うざったくて仕方がねえ」
「贅沢言うな、贅沢を」
宇宙太はそんな彼を軽く叱った。
「それにその大勢の敵の為に爺様が俺達にあれを渡してくれたんだろうが」
「あれって!?」
「馬鹿、イオン砲だろ」
今度はきつい声になった。
「何で忘れるんだよ」
「悪い悪い、ちょっとな」
だがその謝る声にも重みはなかった。
「あのでっかいやつだよな」
「そうだ」
「全く。物覚えが悪いんだから」
「それであれってかなり威力があるんだよな」
「キングビアルの主砲にも使える程だからな」
宇宙太は述べた。
「かなりの威力を持っている。それは期待していい」
「わかった。じゃあ派手にやってやるぜ」
「けど無茶はしないでね」
「何だよ、無茶しねえで何が戦いなんだよ」
「冷静にやれってことだ。只でさえ御前は無鉄砲なんだからな」
「何か俺って信用ねえな」
「それじゃあ冷静にやりなさいよ。万丈さんの指示に従ってね」
「ちぇっ、その万丈さんから思いっきりやっていいって言われてるのによ」
「けどハメは外すなってことだ」
「この前だってムーンアタック乱射してたし。残りのエネルギーのことも考えてよ」
「へいへい」
「わかってるのかしら」
「また万丈さんのフォロー受けるのだけは止めてくれよ」
「わかってるって言ってるだろ」
彼等も新しい装備に気を向けていた。ロンド=ベルは多くの装備も換装し、その戦力を増していた。だがそれでも彼等は気を緩めてはいなかった。
「ジャブローか」
「あの場所とは本当に縁があるな」
「ああ」
アムロとブライトはラー=カイラムの艦橋で話をしていた」
「一年戦争の時ですね」
「その通りだ」
アムロはミサトの言葉に応えた。
「あの時はシャアが来た」
「また昔のことを出してくれるな」
クワトロはそれを聞いて苦笑いを浮かべた。
「あの時の御前は赤いズゴックに乗っていたな」
「懐かしいな、それも」
「その時から赤が好きだったんですか」
「葛城三佐と同じかな」
「私と!?」
「その赤い軍服のことだよ。それはネルフの制服なのかい?」
「はい、そうですけど」
彼女はアムロに応えた。
「何かおかしいでしょうか」
「いや、ちょっとな。軍服にしては派手だと思ったので」
「佐官の服は赤くなるんです」
「そうだったのか」
「尉官は連邦軍のものと似たような感じですけれど」
「だから女性もズボンなのか」
「はい。けれど最近連邦軍の軍服も多様化していますね」
「それは否定しないな」
ブライトはそれに頷いた。
「ナデシコのクルーも連邦軍所属だったな」
「形式的にはそうなります」
「当然マクロスもだ。それを考えるとかなり変わった」
「SRXチームもですが」
「そうだったな。まるで全然違う軍ですね」
「そもそも葛城三佐の場合階級の呼称まで違うな」
アムロが言った。
「ネルフはそうした呼び方になっているんだな」
「はい。かっての自衛隊に倣っています」
「それは聞いたことがあるが。最初聞いた時はかなり違和感があったよ」
「そうなんですか」
「軍じゃないんじゃないかってね」
「まあ普通はそうなりますね」
ミサトもそれに応えた。
「私も最初はわかりませんでしたし」
「案外私達の軍服は古いのかもな」
ブライトがここで言った。
「古いかな」
「ああ。少なくともかなり長い間着てはいる」
「確かにな」
「あの時は御前は志願兵で私は士官候補生だった。その時からだしな」
「おい、またその話か」
「ははは、一年戦争はもう遠い昔になったな」
「歳もとるわけだ、お互い」
「私はその時はまだ子供でしたよ」
「ミサト、嘘仰い」
「あ、わかった」
リツコの声に応える。
「二十九歳でしょ、貴女は」
「そういうリツコは三十よね」
「歳のことは止めよう。そもそも俺と葛城三佐も何故か俺の方が年上になっているみたいだしな」
「実際アムロ中佐って幾つなんでしょうね」
「まあもうそういうことは止めにしよう。どうも変な設定も入っているしな」
「そうですね。何かセーラー服やタキシードを着たりしそうで」
「今ミサトがセーラー服着たら完全にあっちの世界ね」
「こら、それはどういう意味よ」
「冗談よ。けど大人がセーラー服着たら本当にまずいわよ」
「確かに。けどアムロ中佐のタキシードは似合いそう」
「そうかな」
「アデューとか言ってね」
「そう言われると着てみたいな」
「タキシードは持っていないのか?」
「柄じゃなくてね。着る機会もないし」
「相変わらず軍服とパイロットスーツで通しているんだな」
「私服も持ってるさ、一応な」
「プロ野球チームのユニフォームだったら面白いですね」
「だからミサトはそこから離れなさいって」
ラー=カイラムの艦橋は比較的リラックスしていた。見れば皆彼等と同じ様に緊張は見られなかった。
「いい感じだね」
万丈がそれを見て言った。
「リラックスしていると。戦いもスムーズにいく」
「はい」
それにギャリソンが頷く。
「やはり固まっていては何にもなりませんからな」
「そういうこと。ダイターンの整備は終わったかい?」
「ワックスがけも済ましております」
「早いね。それじゃあジャブローでも派手に暴れるか」
「ジャブローか」
ゼンガーがそれを聞いて呟いた。
「何かあるのかい、少佐」
「いや、まさかこの戦いで来ることになるとは思っていなかったからな」
ゼンガーはそれに応えた。
「そのまま日本に行くと思っていたのだが」
「日本か」
万丈はそれを聞いてふと遠くを見た。
「そういえば離れてかなり経つな。大丈夫かな、あそこは」
「どうやら無事なようでございます」
ギャリソンがそれに答えた。
「最近はガイゾックもバーム星人達も大人しいようでして」
「それじゃあ心配事はあの長官だけか」
「はい。最近は仕事がなくてイライラしておられるようですが」
「軍人は暇なのが一番なんだけれどね」
「そうは考えておられないようで。また何かと周囲を困らせておられるようです」
「やれやれ、あの人は相変わらずだな」
「全くだ」
それにケンジが頷く。
「俺達はあんな人の下にいなくて本当によかったと思っている」
「大塚長官は話のわかる人だしね」
「ああ。あの人でなければタケルも今頃はどうなっていたかわからない。少なくとも三輪長官なら絶対に許しはしなかった。
「これはわかる」
「そうだね」
これは万丈も同じ意見だった。
「ダバ君達もね。果ては大介君達も」
「しかしあの男はどうしてあそこまで異星人達を憎むんでしょうね」
今度はアキラが言った。
「結局生物的にも遺伝子的にも全く変わらないのに」
「そういう問題じゃないのさ」
万丈はアキラにこう述べた。
「じゃあどういう問題なんですか?」
「これは感情の問題なんだよ」
「感情の」
「そうさ。人間というのは弱い生き物でね」
彼の話は続く。
「自分達と少し違うだけでそれを認められない場合もあるのさ」
「それがあの長官ですか」
「そう、そうした意味であの人は弱い人なんだよ」
「弱いんですか、あの人は」
「それは一理あるな」
ナオトがそれに頷く。
「弱い犬程よく吠えるっていうしな」
「犬って」
「ははは、シニカルだね。けれど僕もあの人はそんなに強くはないって思ってるよ」
万丈もそれには同意した。
「彼と比べたら一矢君の方がずっと強いよ。それだけは言える」
「そうなんですか」
「そしてタケル君もね。彼なら大丈夫だ」
「けどあいつには負けないぜ」
ナオトがまた言った。
「こっちだってコスモクラッシャー隊の意地があるからな」
「おいおい、御前がそんなにライバル意識燃やしてどうするんだ」
「リーダー」
「ちょっとは仲良くできないのか。同じ仲間だろう」
「それはそうですけど」
「ナオト兄ちゃんは結構へそ曲がりだしね」
「おいナミダ」
今度はナミダに顔を向けた。
「俺がへそ曲がりだって」
「うん」
「言わせておけば」
コスモクラッシャー隊もかなりリラックスしていた。そしてそれはタケルも同じであった。
彼はこの時リュウセイ達と話をしていた。話題はジャブロー、そしてアマゾンについてであった。
「とにかくすっげえのよ」
リュウセイは身振り手振りを踏まえてタケルに話をしていた。
「何十メートルもあるアナコンダがいてよ」
「そんなのがいるんだ」
タケルはそれを聞いてその目をリュウセイに向けていた。
「そうなんだよ。もう最初見た時はやけにでっかい丸太が浮かんでいるなって思ったんだけどよ」
「丸太が」
「おうよ。けどそれは違ってたんだ」
「それがアナコンダだったんだね」
「ああ。見たらR-1よりでけえんだよ。よくこんなのが生きているなってその時はマジで驚いたね」
「他にはどんなのがいるんだい?」
「化け物みてえな魚だよ」
今度は魚に話が移った。
「ピラルクっているだろ」
「うん」
「あの馬鹿でけえ魚。食うと美味いんだけどな」
「美味しいんだ」
「特に刺身にしたらな。一度食うと止められねえぜ」
「ちょっと待てリュウセイ」
レーツェルがそれを聞いて表情を強張らせる。
「!?」
「ピラルクを刺身で食べたのか」
「ああ、そうだけれど」
彼はそれに答えた。キョトンとした顔を作っていた。
「それはまずいぞ。あれは生では危険だ」
「危険って?」
「虫がいる。特にこのアマゾンの魚は性質の悪い虫が多いんだ」
「虫って何だよ」
「寄生虫だ。何ともなかったのか」
「ああ、大丈夫だったぜ」
彼は明るい顔で答えた。
「検査でも引っ掛からなかったしな。平気だぜ」
「そうか」
レーツェルはそれを聞いて少し安堵した様であった。
「運がよかったな」
「運かよ」
「そうだ。下手をすれば命に関わる」
「命っておい」
「寄生虫を甘く見ないことだ。生物には特に注意するんだ。いいな」
「ああ、まあ」
リュウセイはキョトンとした顔に戻って頷いた。
「レーツェルさんがそこまで言うんなら」
「実際に川魚は危ないんだ」
タケルも言った。
「そうなのかよ」
「鯉とか鮒でもね。生で食べるのは用心した方がいいよ」
「俺刺身好きなんだけどな」
「そういう問題じゃないから。若しものことがあったら満足に戦えないよ」
「ううむ」
「タケルの言う通りだ。リュウセイ、御前は無用心過ぎる」
「ライ」
今度はライが出て来た。
「食べ物ことは特にだ。当たったりしたらどうする」
「ライの言う通りよ」
今度はアヤが口を開いた。
「うちの部隊は貴方がメインなんだから。気をつけてよ」
「じゃあどうやって食えってんだよ」
「それは色々ある」
レーツェルが述べた。
「煮たり焼いたり。フライや天麩羅もいいな」
「おっ」
リュウセイはそれを聞いて身を乗り出してきた。
「美味そうじゃねえか」
「他には鍋か。確かアマゾンは鯰も多かったな」
「ピラルクばりにでけえ鯰が一杯いるぜ」
「そんなに大きいの」
タケルはそれを聞いて驚きの顔を作った。
「ああ。三メートルはあるな」
「三メートル」
「意外とこれが美味い」
レーツェルは驚くタケルに対して言った。
「白身でな。あっさりしている」
「そうなんですか」
「何なら私が料理しようか」
「鯰をですか」
「そうだ。流石に刺身にはしないがな」
「ちぇっ」
「そちらは養殖でもなければな。とてもできない」
虫を警戒しているのは言うまでもない。
「この戦いの後は鍋にしよう。美味いのができるぞ」
「それじゃあ」
「ジャブロー戦の後は鍋パーティーだぜ」
「本当に食べるのが好きなのね、リュウセイは」
アヤはそれを見て呆れた声を出した。
「若いからな」
「私もまだ若いけれど。何か最近リュウセイ達に負けてるわ」
「アヤで若いって言ったらアクア達はどうなるんだ」
レーツェルはそれを聞いて笑った。
「あまり歳のことは言わない方がいいぞ。後で揉める元だ」
「了解」
そして遂にジャブローが見えてきた。戦いは既にはじまっていた。
「進め!」
暗黒大将軍の叱咤が飛んでいた。
「ここを陥落させ我等が地上侵略の拠点とするのだ!」
「ハッ!」
戦闘獣達がそれに頷く。そして基地に向けて果敢に攻撃を繰り返していた。
「将軍達よ」
その中暗黒大将軍は指揮を執る将軍達に対して声をかけていた。
「ハッ」
それにドレイドウ、バータラー、アンゴラスの三人が応える。
「わかっておるな。ここは功を焦るな」
「わかっております」
彼等はその言葉に頷いた。
「ジャブローは地上人達の最大の基地だ。ここを我等がものとすれば」
「その覇権は確実なものとなる」
「だからこそだ。今他の将軍達も呼び寄せている」
「他の者も」
「そうだ。この戦いの意味がわかるな」
「はい」
七大将軍が全て揃うことなぞそうはないことである。彼等はそれを聞いてさらに気を引き締めさせた。
「そして今新しい情報が入ってきた」
「情報」
「ロンド=ベルがこちらに向かって来ている。マジンガーチームも一緒だ」
「ロンド=ベルが」
「しかもマジンガーチームまで」
「妖爬虫将軍はそのままジャブローへの攻撃を行え」
「はっ」
ドレイドウがそれに頷く。
「魔魚将軍と怪鳥将軍はロンド=ベルへの攻撃に向かえ。よいな」
「わかりました」
「それでは」
「わしはここで全軍の指揮を執る。だがマジンガーチームが来たならば」
「来たならば」
「斬る。よいな」
「わかりました。それでは」
こうして彼等は作戦を決定した。この間ジャブローの連邦軍は防戦一方であった。
「ここは耐えよ!」
岡長官が部下達に対して必死に声をかけていた。
「よいな、もうすぐロンド=ベルがここにやって来る。それまで持ち堪えるのだ!」
「ロンド=ベルが」
「そうだ。彼等が来る。それまでの辛抱だ、いいな」
「わかりました、それでは」
「もう少しですね」
ロンド=ベルが救援に向かっているという言葉に彼等は活気付いた。そしてまた立ち上がる。
迫り来るミケーネ軍を防ぎ続ける。そして司令部のレーダー員が叫んだ。
「来ました!」
「遂にか!」
岡もそれを聞いて叫んだ。
「はい、左に七隻の戦艦!」
「マシン達も次々に発進しています!彼等です!」
「よし、間に合ってくれたか!」
岡の顔に会心の笑みが浮かぶ。
「長官、御無事ですか」
「御父様」
司令部のモニターに大文字とめぐみが出て来た。
「博士、それにめぐみも」
「何とか間に合ったようですな」
「大丈夫、そっちは」
「ああ、心配はいらない」
彼は娘に優しい言葉をかけてそれに応えた。
「何とかな。そちらも何かと大変だろうが頼む」
「何、こちらも心配は無用です」
大文字は穏やかに笑ってこう応えた。
「修復に換装を受けましたから。ではすぐにそちらの救援に向かいます」
「頼みますぞ。ただ注意して下さい」
「ジャブローの地形ですな」
「はい。御承知の通りここは森と河ばかりです」
彼は言う。
「敵もまたそれを利用して攻めて来ます。御気をつけ下さい」
「わかっております。それでは」
大文字はパイロット達に対して言った。
「皆行くぞ。河には水中用のマシンを優先させて送り込む」
「よし」
弁慶がそれを聞いて頷く。
「俺の出番だな」
「おいらもいるぜ」
武蔵も名乗りをあげた。
「巴先輩」
「ブラックゲッターだって水中戦はできるんだ。今から水中戦の真髄ってやつを見せてやるぜ」
「ミーもいまーーーーーース!」
「兄さんって水中戦得意だったかしら」
「HAHAHA、愚問デスね、テキサスマックはこれまで水中でも負け知らずデーーーーーーーーーース!」
「おいおい、ジャックは今はブラックゲッターのサブパイロットだろ」
竜馬がそれを聞いて呆れたように言う。
「それともテキサスマックで出撃するのかい?」
「残念だが今整備中だぞ」
「シット!何てことデーーーーーーーーース!」
サコンの言葉に口惜しがってみせる。
「これではミーの見せ場がありまセーーーーーーーーン!」
「まあおいらのサポートを頼むぜ」
そんな彼に対して武蔵は言った。
「頼りにしてるからよ。メリーもそれでいいな」
「ええ、私はいいわ」
メリーはそれに応えた。
「兄さんは放っておいていいから。じゃあ行きましょう、武蔵さん」
「よし」
「そしてネッサーの出番ですね」
珍しくブンタがはりきっていた。
「皆さん、行きますよ」
「あとは水属性の魔装機か」
「私泳げないけれど」
テュッティがここで困ったように言う。
「いや、別にテュッティがそのまま水に入るわけじゃないよ」
シモーヌがそんな彼女に声をかける。
「だからさ。安心していいのよ」
「そうなの」
「はい。ですから安心して水に入りましょう」
デメクサも言った。
「ジノさんも」
「うむ、では行くか」
ジノの方は抵抗はなかった。
「久遠流の水練の妙技を見せよう」
「何かうちって結構水での戦いもできるんだね」
万丈がそれを見て言う。
「けれどここは慎重に行こう。まずは空を飛べるマシンでモビルスーツやヘビーメタル達の渡河を援護しよう」
「了解」
これにまずフォッカー達が頷いた。
「じゃあ俺達が中心になってやらせてもらうぜ」
「うん、頼むよ」
「じゃあモビルスーツはすぐに渡河にかかるぞ」
クワトロが言う。
「いいな。すぐに行かなければ」
「了解」
これにまずエマが頷く。
「ウッソ達は援護をお願いね」
「任せて下さい」
Ⅴガンダムは空を飛ぶことができる。だからこそエマはウッソ達に声をかけたのである。
「絶対に。やらせません」
「頼むわよ」
「待って下さいよ、エマさん」
だがそんな彼女にカツが声をかけてきた。
「カツ、どうしたの」
「僕達も空を飛べますよ」
「僕達?」
「はい、スーパーガンダムになりましょうよ。それなら」
「あっ」
そう言われてやっと気付いた。
「そうだったわね、それがあったわ」
「そうですよ。忘れてたんですか?」
「うっかりしてたわ、御免なさい」
「何かエマさんらしくねえな」
「弘法も筆の誤りってことかしら」
ジュドーとルーがそれを見て言う。二人は既にマシンを変形させて空に舞っていた。見れば変形できるマシンは全て変形していた。
そして渡河に取り掛かった。森と河に足をとられながらもそれでも先に進む。
「させん!」
アンゴラスがここで動いた。彼とその部隊が河の中からロンド=ベルに襲い掛かる。だがそれはマリンスペイザーによって
阻まれた。
「ヌウッ!」
「やはり来たかアンゴラス!」
大介が彼を見据えて言う。
「ここは通さん!僕達がいる限りな!」
「デュークフリード!」
「大介だけではないだわさ!」
ダイザーと合体しているマリンスペイザーから声がした。
「おいらもいるってことを忘れるなだわさ!」
「おいらもいるよ」
「おいらも」
ヌケとムチャもいた。三人は何とかマリンスペイザーのコクピットに乗り込んでいたのだ。
「三人共宜しく頼むよ」
「おう、任せとけだわさ」
ボスが大介に応える。
「大船に乗ったつもりでいるだわさ」
「ボス、マリンスペイザーはもう水の中にいるよ」
「だから言うなら潜水艦だよ」
「ええい、五月蝿いだわさ!」
横から突っ込みを入れてきた二人を一喝する。
「ここは黙って大介のサポートに回るだわさ。わかったわね」
「了解」
「そういうことだ。僕達が御前の相手をしてやる」
「おのれ」
「ここを通りたくばこのマリンスペイザーを倒してからにしろ!それまでは通ることは許さん!」
「ならば!」
アンゴラスの牙とダイザーのダブルハーケンがぶつかり合う。彼等は水中で激しい格闘戦に入った。
「おのれ、河からの攻撃は防がれておるか」
バータラーはそれを見下ろして歯噛みしていた。
「やってくれるな、流石に」
「おっと、河だけじゃねえぜ」
ここで甲児のマジンガーがやって来た。
「兜甲児!」
「おめえの相手はこの俺だ!覚悟しな!」
彼は叫びながらその紅の翼を前に出してきた。
「スクランダーカッターーーーーーーッ!」
そしてそれで切り刻もうとする。だがバータラーはそれは何とかかわした。
「チッ、やっぱり七大将軍だけはあるな」
「小癪な真似を」
攻撃をかわしたバータラーはこう言ってマジンガーと甲児を睨み付けた。
「このわしに空で戦いを挑むとは、身の程知らずが」
「一つ言っておくけどな、マジンガーは空でも無敵なんだぜ」
甲児もバータラーを見据えて言う。
「それは今までの戦いで散々教えてやってるんだけどな、また教えてもらいてえのか」
「ほざくな!」
バータラーは激昂した。
「今からその減らず口を潰してくれる。覚悟しろ!」
「ヘン、やれるもんならやってみな!」
彼等もまた一騎撃ちに入った。そして他の者達もそれぞれ戦いに入る。その中にはビルギットもいた。
「ヘッ、甘いぜ!」
彼は敵の戦闘獣の攻撃をかわして呟く。そしてヴェスパーを放った。
「これならどうだっ!」
それを受けた戦闘獣が一撃で吹き飛ぶ。だが戦闘獣は一体ではない。
そのすぐ後ろからもう一体やって来る。これにはアンナマリーが前に出た。
「これは私が!」
ビームで急所を撃ち抜く。それで敵を退けた。
「やるじゃねえか」
ビルギットはそんな彼女を見て声をかけてきた。
「宇宙戦ばかりでこうした密林での戦いは慣れてないと思ってたのによ」
「結局戦うのは何処でも変わらないから」
アンナマリーはそれに対して前を見据えたまま答える。
「地上でも何処でもね」
「そういうことか」
「そうよ。貴方だって宇宙の方が多い筈だけれどね」
「まあな」
ビルギットはそれを認めた。
「けど実はここは知ってるんだよ」
「そうなの」
「新入りの時にここで訓練を受けたんだ。だからそこそこやれるさ」
「じゃあ期待してるわね」
「こっちこそな。今日も宜しく頼むぜ」
「ええ、わかったわ」
二人も協同して敵にあたっていた。ロンド=ベルはその機動力と火力を生かしてミケーネの戦闘獣達にあたる戦術を採っていたのであった。
徐々にジャブローの基地に近付いていくロンド=ベルに対して暗黒大将軍は作戦の切り替えを決意した。
「ドレイドウ将軍」
「ハッ」
ドレイドウが彼の言葉に応える。
「一時基地への攻撃を中止せよ。そしてロンド=ベルに向かえ」
「了解しました」
「そしてわしも向かおう」
「暗黒大将軍もですか」
「そうだ。それにあちらにはわしと戦いたくて仕方のない者もいるしな」
「それは俺のことだな」
鉄也がそれに応える。
「そうだ。久しいな、剣鉄也よ」
「またこうして会えるとはな。嬉しくて仕方がないぜ」
「それはこちらもだ。今ここで貴様を倒せるのだからな」
「フン」
鉄也はそれに応える形で声をあげた。
「じゃあ来い、叩き潰してやる」
「言われずともな。行ってやろう」
両者は動いた。そしてジャブロー上空で対峙する。
「皆の者」
暗黒大将軍は周りの者に対して言った。
「手出しは無用ぞ。よいな」
「ハッ」
これにミケーネの者達が頷いた。
「皆」
鉄也も仲間達に対して言う。
「これは俺の戦いだ。手出しは無用だぜ」
「ああ、わかった」
「思う存分やりな」
ロンド=ベルの仲間達はそんな鉄也に対して言葉をかける。彼等とて戦士である。戦いの邪魔をするような無粋な真似をするつもりはなかった。
「行くぜ!」
「来い!」
両者はまず剣を取り出した。
「マジンガーブレード!」
「死ねい!」
そして互いに斬り掛かる。剣が撃ち合い空中で火花が散った。
そのまま鍔迫り合いに入る。そしてジリジリと睨み合う。
「また腕をあげたようだな」
「そっちこそな」
鉄也は暗黒大将軍の言葉に返す。
「どうやら今までの戦いは無駄に戦っていたのではないな」
「そちらこそ。修業を怠らなかったらしいな」
「フン、それは当然のことだ」
彼は言った。
「わしは誇り高きミケーネ帝国の総司令官だぞ!そのわしが戦への備えを怠ると思うか!」
「では俺と倒す為に腕を磨いていたということだな!」
「そうよ!」
彼は言い切った。
「だからこそ今ここにいる!剣鉄也、貴様という最大の敵を葬る為にな!」
「じゃあ俺も見せてやる!グレートマジンガーの、そして俺の戦いをな!」
「では見せてみるがいい!このわしに!」
「言われずとも!行くぞ!」
一度間合いを離した。そしてマジンガーブレードを収め拳を向ける。
「ドリルプレッシャーパンチ!」
「何の!」
だがそれもあえなくかわされてしまう。
「クッ!」
「並の相手ならいざ知らずそれでわしが倒せると思うか!」
「何だと!」
「来い!ブレストバーンだ!」
「ブレストバーン」
言わずと知れたグレートマジンガーの切り札の一つである。胸から溶岩を放ちそれで敵を焼き尽くす。甲児の乗るマジンガーの必殺技ブレストファイアーの強化兵器である。
「そうだ。それでなくてはわしは倒せぬぞ」
「フン、誰が挑発に乗るか」
だが鉄也はそれを仕掛けようとはしなかった。
「ホウ」
「攻撃を仕掛けるのは俺だ。それを指定してくるということは何か考えがあるのだろう」
「さてな」
「むざむざ敵の策に乗る俺じゃない。ここは控えさせてもらうぜ」
「へえ、ここは何もしねえのか」
甲児はバータラーと激しい死闘を展開しながらこう言った。
「俺だったら速攻でブレストファイアーなんだけどな」
「そんなことするのはあんただけよ」
そんな彼にアスカが突っ込みを入れた。
「何も考えずに戦ってるって証拠じゃない。そもそもあんた何で戦ってるのよ」
「何でって決まってるじゃねえか」
「何よ」
「それはな」
「うん」
アスカは彼の次の言葉を待った。思わず息を飲む。
「格好いいからだ!」
「ヘッ!?」
それを聞いてアスカの顔が一瞬凍りついた。
「マジンガーに乗って戦うってのが格好いいから戦ってるんだよ!それ以外に何の理由があるってんだよ!」
「ふざけるのは止めなさいよ!」
我に返ったアスカは激昂した言葉を出した。
「あんた馬鹿ァ!?そんな理由で今まで戦ってたの!」
「じゃあどういう理由で戦えばいいんだよ」
「止むに止まれない理由とか。そんなのあるでしょう」
「そんなのねえし。俺気がついたら爺ちゃんの開発したマジンガーに乗ってたんだよ。成り行きでな」
「お爺ちゃんって」
「アスカ、知らなかったの?甲児さんのお爺さんがマジンガーZを開発したんだよ」
シンジがここで言う。
「常識だと思ってたけどな」
「し、知ってるわよ勿論」
知らなかったことを必死で誤魔化す。
「あたしが知らない筈ないでしょ」
「そうかなあ」
「何か知らなかったみてえに聞こえるんだけどな」
「とにかくね」
話を必死に誤魔化す。
「あんたにも理由はあるじゃない。そのお爺さんの作ったマシンに乗って悪い奴等と戦うっていう」
「言われてみりゃそうだな」
「結局理由があるじゃない。格好いいからだっていう馬鹿な理由じゃなくて」
「ところでアスカよお」
「何よ」
「御前の方はどうなったんだ?基地に辿り着いたのか?」
「えっ!?」
そう言われてキョトンとした顔になった。
「えっ、じゃなくてよ。御前等って今回は基地に辿り着いて基地の部隊との合流が任務だったんじゃねえのか」
「そうだったっけ、シンジ」
「そうだったかじゃないよ」
シンジは声をかけられて呆れたように言った。
「だから今基地に向かってるんじゃないか」
「そうだったの」
「アスカ遅れてるから。早く行くよ」
「う、うん」
「エントリープラグに気をつけてね。それじゃ」
「エヴァってのはそれが不便なんだよな」
「まあね」
アスカは甲児の言葉に頷いた。
「それで行動が制限されちまうからな」
「けれどそれはそれで戦い方があるのよ」
「そうなのかよ」
「見てなさいって。あたしの戦いぶりをね」
「アスカさん」
「何?」
今度はルリが声をかけてきた。
「すぐに母艦に一時帰還して下さい」
「ちょっと、やろうとしてたところでいきなり何よ」
また激昂してルリに声をかける。
「もう弾薬がありませんけど」
「えっ」
「ポジトロンライフルの弾薬が。すぐに補給された方がいいです」
「大丈夫よ、そんなの」
「何故ですか」
「まあ見てなさいって。あたしの戦い方を」
だが弾薬がもうないのは事実であった。それでもアスカは戦場に残っていた。
「バカシンジもアホ甲児も見てなさい」
「馬鹿って」
「俺はアホかよ」
「ATフィールドってのはねえ」
迫り来る戦闘獣達を見据えながら言う。
「こうやって使うものなのよ!」
自身の前にあるATフィールドを掴んだ。そしてそれを投げ付ける。
何とATフィールドで敵を攻撃した。それの直撃を受けた戦闘獣達は両断され空中で四散した。
「どうかしら」
「うわ」
「またとんでもねえ攻撃仕掛けやがるな」
シンジと甲児は敵を倒して得意満面のアスカに対して言った。
「ATフィールドってのはねえ、ただ身を守るだけじゃないのよ」
アスカは得意なまま言う。
「こうした使い方ってのもあるのよ。覚えておきなさい」
「けれどもう弾薬はありませんよ」
「わかってるわよ」
それでも冷静なルリに辟易しながら言葉を返す。
「何かルリって綾波に似てて。苦手なのよね」
「そういえば似てるね」
シンジもそれに頷く。
「でしょ。甲児もそう思わない?」
「まあそういえばそうだな」
甲児もそれに頷いた。
「どういうわけかわかんねえけど」
「それでアスカ」
「何よ」
「基地には早く来てね」
「わかってるわよ」
「それじゃあ俺も真面目に戦いに戻るか」
「ってあんたは早くそっちの将軍倒しなさいよ」
「おいおい、おめえが話し掛けてきたんだろ」
「そんなことはどうでもいいのよ」
シュバルツのそれに似た台詞で話を誤魔化した。そしてシンジ達に遅れてジャブローの基地に入るのであった。
「ムウ」
暗黒大将軍は鉄也との一騎撃ちの中でも戦局を見据えていた。ロンド=ベルの面々がジャブローの基地に入っていくのを見て彼は戦局が変わったのを察していた。
「今はこれが潮時か」
そして呟く。それが判断に移ったのはすぐであった。
「全軍一時撤退だ」
彼は判断を下した。
「撤退ですか」
「そうだ。今こちらに向かっている他の七大将軍の部隊と合流して戦力を再編成する」
彼はアンゴラスの言葉に答えた。
「よいな。それからまたここに戻る」
「はい」
「今は退く。よいな」
「わかりました。それでは」
「全軍撤退!」
ドレイドウやバータラーもそれに頷いた。こうして彼等は潮が引くようにして戦場から身を引いたのであった。
「行ったみてえだな」
「ああ、だがすぐに来るな」
鉄也は甲児に対してこう言った。
「今度はさっきよりずっと強大な戦力でな」
「ずっとかよ」
「ああ。敵も必死だ」
そしてこう述べた。
「七大将軍が全員来るかも知れない。激しい戦いになるだろう」
「ヘッ、それならこっちも歓迎してやるぜ」
甲児の戦意は衰えてはいなかった。
「基地に入ることもできたしな。返り討ちにしてやるぜ」
「そうだ、その意気でいいんだ」
そこに大介がやって来た。既にマリンスペイザーと分離してグレンダイザーに戻っていた。
「大介さん」
「ここに僕達がいる限り彼等の好きにんさせるわけにはいかない」
「そうですね」
その言葉に鉄也が強い声で頷く。
「ここで彼等を退けるんだ。負けることは許されないぞ」
「はい」
三機のマジンガーは夕陽の中で並んで立っていた。そして次の戦いに思いを馳せるのであった。
戦いは終わりロンド=ベルは基地に集結した。そしてそこで守りを固めに入った。
そして主だった者達は基地の司令部に入った。そしてそこで基地の責任者である岡と会った。
「よく来られました」
「はい」
大文字が一同を代表して挨拶を返す。
「ロンド=ベルが来られるとは。まさかとは思いましたが」
「ダカールのミスマル司令からの要請でして」
「あの方から」
「はい、御父様は太平洋区に向かって欲しいと仰っていました」
ユリカがそれに答える。
「太平洋区」
「何でも敵の動きが活発化しているそうで」
「確かにそうですな」
これは岡も認めた。
「それで三輪長官もカリカリしております」
「あの御仁もですか」
「宇宙人もミケーネもまとめて始末しろと。日本の総司令部は大変なようです」
「だろうな」
京四郎はそれを聞いて頷いた。
「あのおっさんがまともなことをやる筈がないからな」
「京四郎君」
「これは失敬」
大文字に窘められてここは引いた。
「このジャブローにも今のようにミケーネが来ておる」
「はい」
一同はまた岡の言葉に頷いた。
「そしてバルマーやガイゾックも。黙ってはいないだろう」
「あとバームも動きはじめているそうですけれど」
ここで一矢が問うた。
「それは本当ですか?」
「それも本当のことだ」
「やはり」
「火星の小バームはまだ大人しいようだがな。地上ではそうはいかない」
「リヒテルが」
「彼は地球人に対して激しい憎悪を抱いている。そうおいそれとは倒すことはできないだろう」
「厄介なことですな」
「太平洋は今までにない危機を迎えております。これは隠しようのない事実です」
「はい」
皆またしても岡の言葉に頷くしかなかった。
「まずはこのジャブローでの攻防戦ですな」
「はい。どうやら七大将軍が全員来るそうです。激しい戦いになるでしょう」
「ヘン、七大将軍が何だっていうんだ」
甲児はそれに対して強気であった。
「何人いようがマジンガーの敵じゃねえぜ」
「いや、それはどうかな」
だがそんな彼に対して大介は言った。
「大介さん」
「甲児君、確かにマジンガーは素晴らしいマシンだ」
「ああ」
「そしてパイロットの能力が大きく影響する。今の甲児君なら確かにかなりのことができるだろう」
「それなら」
「それでも限界がある。もう今のマジンガーでは甲児君の能力を完全に生かしてはいないかも知れない」
「何だって」
「君はそれだけパイロットとして凄くなったということなんだが。だが器であるマジンガーはその能力を収めきれないようになってきたんだ」
「馬鹿な、そんなことは」
「いや、どうもそのようだな」
鉄也もそれに同意してきた。
「鉄也さんまで」
「甲児君、今の君は無理をしてはいけない。さもないと大変なことになりかねない」
「何だよ、マジンガーを疑うってのかよ」
「違うんだ。今の君を完全に生かすことができるマシンが必要なんだ」
「今の俺を」
「マジンカイザーがあったな」
「ああ」
甲児は鉄也の言葉に応えた。
「そろそろあれの封印を解かなければならないかも知れない」
「そうだな」
それに大介も頷いた。
「ミケーネとの戦いの為にはな。あれの力も必要なのかも知れない」
「けどいいのかよ」
そんな二人に対して甲児は言った。
「マジンカイザーは確かに凄えパワーを持っているけどよ」
「今の甲児君なら大丈夫だ」
「ああ」
だが二人はそれをよしとした。
「だから安心していい」
「鉄也さんと大介さんが言うんならいいけどよ」
「ミケーネを倒す為にはマジンカイザーの力が必要だ」
「頼むぞ、甲児君」
「ああ、わかった」
甲児は頷いた。何時になく真剣な顔であった。
「それで彼等は今何処に」
大文字はミケーネ軍の所在について大文字に尋ねた。
「今ジャブローの北、ギアナ高地近辺にいるらしい」
「ギアナ高地に」
「そしてそこで軍を集結させているらしい。そしてそれが済み次第」
「こちらに来るということですか」
「そうだ。それに備えて守りを固めておこう」
「わかりました」
「まずは防衛ラインを構築しよう」
「はい」
彼等は岡の言葉に頷く。
「そしてミケーネを迎撃しよう。その際は」
「アマゾン河が使えないのが痛いですな」
「うむ」
今度は岡が頷いた。グローバルの言葉であった。
「敵は強力な水中部隊まで持っている」
魔魚将軍アンゴラスの部隊であった。ミケーネ帝国は戦闘国家である。如何なる状況、如何なる相手に対しても戦うことができるのだ。
「それを考えるとな。川は使えない」
「やはり森を使うしかありませんな」
「そうだな。まずは基地を中心として布陣する」
「はい」
「モビルスーツやエヴァは森に入る」
「わかりました」
これにミサトが応える。
「そして空を他のマシンで固める。それで行こう」
「了解」
「消極的だがこれでいいな」
「宜しいと思いますが」
慎重派で知られるシナプスと大文字はそれに賛同した。
「ではそれでまずは敵を防ぎましょう」
「よし。それではすぐに布陣に取り掛かってくれ」
「了解」
「敵はすぐにでも来るかも知れない。急いでくれ」
「はっ」
彼等は次の敵の動きに対して備えはじめた。そして実際に敵の攻撃は間も無くはじまろうとしていた。ジャブローの攻防は新たな幕を開けようとしていた。

第六十七話完

2006・1・14  
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