その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)
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第13話 3つ目の世界、魔法世界からの来訪者
「じゃあ、次にそっちの、えっと…、イタチ? の事について聞きたいんだけど」
今、純吾の事にひと段落つき、もう一つ残っている大きな疑問——ユーノと、それに関わる諸々の事——について話そうと、なのはとすずかを呼んだ。
そうしてやってきた彼女たちへ、士郎は質問をする。
「む〜、お父さん、ユーノ君はフェレットなの! イタチじゃないの」
「へぇ、変わった名前のイタチだなぁ。じゃあ、ユーノ君の事について聞きたいんだけど……」
「お父さん、絶対わかってないの…」という愛娘からのため息に、何が間違っているんだ、と若干顔をしかめる士郎。それでも視線はユーノを注視するが
「あらあら。まだ、気がついてないみたいね……」
そう片手を頬に当てて桃子が言うとおり、ユーノはまだなのはの腕の中でぐったりとしていた。先程の純吾の説明の間、なのはたちがずっと様子を見ていたが、起きる気配はまったくない。
正直このままだといつ起きるかも分からないし、すずかに純吾はいずれ家に帰らねばならない。
そのため、とりあえずなのはから聞ける事だけでも聞こうとしたところ
「あの…、リリーさんなら治せるんじゃないですか?」
と、すずかがおずおずとリリーの方を向く。すずかは、リリーと出会った初日に純吾の重傷を治したのを見ている。怪我からくる気絶なら、それを使い起こせるのではと期待したのだ。
そのすずかの提案を受け、全員の視線がリリーの方へ向く。
「えぇ〜、【献身】を使えばまぁ確かにできるけど、あれ結構魔力使うのよ?
後そのフェレット、傷よりも体力とか魔力的なものが足りてないみたいだから、使っても効果は薄いわ。それに……」
顔をしかめ、リリーがめんどうくさそうに答える。「魔力」等彼女にしか理解できない部分はあるが、彼女の言い分はまぁ真っ当なものであり、一応は納得が出来る。そのため一同は「それに」に何と続くのだろう、とリリーの言葉を待つが
「ジュンゴ以外に献身的になるなんて、や!」
プイ、とそっぽを向きつつ言い放った言葉に、ガツン! と何名かが頭を机にぶつけてしまった。
「ったたぁ…。えぇと、リリーさん、ですっけ? 今そんな事気にしてる場合じゃないと思うんですけど」
机に眼鏡ごと頭をぶつけ、ちょっと涙目の美由希が至極真っ当な反論をする。赤くなった額に手を当て、痛みをごまかせるようにさすっている。
それにうんうん、と首を縦に振る周り。それに対して、フン、と自信ありげな顔をしてリリーは答える。
「あら、別に治療しなくてもいいとは言ってないわよ? 【献身】ができなければ、違う方法を使えばいいじゃない、ってね。他の仲魔を呼べばいいのよ」
「ん…。エンジェルなら、魔力回復してくれる」
打てば響くかのように、リリムの代案に純吾が答える。
それに対して、リリーは満面の笑みを浮かべて、純吾の頭を撫で始める。
「んもぅ、私の言いたい事全部分かってくれるんだから♪」
「……やっぱりはずかしいよ、リリー」
顔を少し朱に染めながらも、召喚の準備をする純吾。リリーが抱きついていたのを引っぺがして、携帯に手を伸ばしボタン操作。
そして「召喚」の声と共に、リリムとは違う茶色の鳥の翼を持つ、純白の貫頭衣を着た長髪の女性が、光の中から羽を広げ現れた。
女性は光に照らされ、その長く青い髪が海原のように煌く。
その下にある白磁の肌の顔には、切れ長な目を細め口元にも薄い微笑、古いギリシャの彫刻のようなアルカイックスマイルのような笑みを浮かべている。貫頭衣から覗くこれまた精巧な彫刻のような手足もあわせて、まさに神のみが創りだせる美しさだ。
「仰せにより天使エンジェル、只今まかり越しました。ご命令を、我が主よ」
ふぁさっ、とやわらかな音を立てて女性——―エンジェルが羽を折りたたみ、片膝を床につけひざまずく。
それに答える純吾は、今だリリムに抱かれている。美女に子供、そして天使という構図が出来上がったていた。
傍から見れば、それはまるで聖画の一場面のようである。神々しさすら感じさせるその様子に、はぁ…、と周りからため息が漏れた。
「ん…。このフェレット、治す事できない?」
ぽーっとエンジェルを見ていたなのはから、純吾がすっとユーノを受け取り、エンジェルに見せる。
「この者ですか。……なるほど、リリムの見立て通りです。これなら【天使の血杯】を用いれば充分癒す事が出来るでしょう」
「ん…。ごめんね、エンジェル。お願い」
「ふふっ。私なら大丈夫ですよ、我が主。…では、こちらへお貸しください」
心配そうに眉尻を下げ、頭も下げる純吾に対し、ふわっと慈愛に満ちた微笑みを顔に浮かべるエンジェル。
そして純吾の手からまるで壊れ物を扱うかのようにユーノを受け取って片手に抱く。もう一方の手は口に当てて、指を少し噛み切った。
つ…、とその指先から流れ出る赤い血をユーノの口元に持っていき飲ませると
「ん……。うぅん」
もぞもぞと、ユーノが腕の中で動き出した。それを確認し、純吾へユーノを差し出す。
「少しながら、魔力を分け与えました。全快、とはではいきませんが当面はこれでよろしいでしょう」
「ん…。ありがとう、エンジェル。」
純吾がペコリと頭を下げ、エンジェルから差し出されたユーノを受け取った。
「いえ、御下命とあれば。それでは、私はこれで。」
——―その優しき御心を持つ限り、私はあなたの味方です
そう言い残し、一瞬でエンジェルが光となって消えた。
後には、ユーノを抱いて立っている純吾と、満足そうな顔をして椅子に座るリリー。そしてエンジェルと純吾のやり取りを、呆然と見ていた高町一家とすずかだけだった。
「…本当に、天使っているんだなぁ」
士郎が彼女が消えた場所を見やりつつ、呆気にとられたかのように呟いた。
その後すぐ彼の言葉を違う意味に取った桃子にまたも抓られてしまったが、そこは御愛嬌というところだろう。
閑話休題
「それで、ユーノ君? もちゃんと回復した……って事でいいかな?」
なんとか桃子の嫉妬をなだめる事に成功した士郎は、机の上にちょこんと座るユーノを見て、気遣わしげに問う。
「はい。体の方はもう殆ど治っていますし、魔力の方も少しは。
その事で、皆さんをお待たせして、ご迷惑をおかけしたみたいで」
そう言ってユーノはぺこりと頭を下げる。
確かに、ここに至るまで結構な時間を食ってしまっていた。
ニヤニヤと衆人が見る中で桃子の笑顔の嫉妬をどうにか謝り倒してなだめすかしたり、更にユーノが起きる間際はっきりと言葉を喋ったため、それに慌てふためくなど、彼にあまり関係ない事が主な原因だが、途中まで気を失っていた彼には知りようもない。
だからもう一度、すみませんとユーノは頭を下げる。
「あぁ、いやいや。俺たちも取り乱してしまったんだし、君だけのせいじゃないよ。」
ひらひらと手を振り、少し苦笑しながら士郎は答える。
目の前の彼? の生来の性格なのか、自分たちが騒いでしまったせいで時間を喰ったのに、それまでも自分の責任だと考えてしまっていたユーノに苦笑を禁じ得ない。
「それじゃあ、体の方も大丈夫みたいだし、さっそく本題に入らせてもらうよ。
聞きたい事は2つだ。まず君は何なのか、そして、君が追われていた怪物についての2つなんだが、教えてくれないだろうか?」
その苦笑もすぐに収め、真面目な顔をして切り出す。それに答えるために、ユーノもうなだれていた頭をしゃんとあげ、周りを見回しながら言葉を発する。
「分かりました。まず、僕の事からお話しします。
あぁ、けどその前にまずはちゃんと自己紹介をさせてくだだい。僕はユーノ、ユーノ・スクライアと言います。ユーノが名前で、スクライアは部族の名前です。」
「部族って、フェレットに部族があるの?」
美由希が小首をかしげながら聞く。
「いいえ、この姿は魔力の消費を抑えるために、変身魔法で体を小さくしているからです。魔力消費だけじゃなくて食べる量も減ったりして、けっこう便利なんですよ」
「え? 変身魔法、って、魔法!?」と慌て始める美由希だが、ユーノはさらに続ける。
「それで僕が第97管理外世界に来た理由ですが、あの青い石のロストロギア—ジュエルシード—を探すためです。とある遺跡から発掘したものを次元航行船で運んでいたんですが、途中で事故が発生しまして……。
そして、この世界に散らばったジュエルシードの反応を追って、ここまで来たんです」
「ちょ、ちょっと待って! えっと、管理外世界? ロストロギア? それに、次元航行船って、何が何だか全然わからないの」
なのはが頭を抱えてユーノに待ったをかける。周りも聞きなれない言葉に戸惑っている様子で、頭に疑問符を浮かべている。
「……すみません、また僕の常識で喋ってしまったみたいですね。
管理外世界とは、この世界のように魔法技術が観測されていない世界の事を言います。それ以外の世界は管理世界ですね。」
「すごい大規模な話だな…。魔法を基準にしているみたいだけど、それは純吾君たちの使った物のようなものかい?」
「いいえ、僕たちの世界の魔法はいわば極限まで発達した科学です。
だから、そちらの方の知り合いに使っていただいたものはとても興味がありますが「あ、あの!」……あ、はい。なんでしょうか、えっと」
突然大きな声で話を遮られたユーノは、きょろきょろとあたりを見回し、やがて声の主を見つけたのか、そちらへ視線をやる。
「すずか、月村すずかです。その、本当に純吾君たちの使う魔法は、ユーノ君の知ってるものとは本当に違うの? どこか純吾君みたいな事ができる世界を知りませんか?」
すずかが必死になってユーノに質問をする。多少強引だったが、純吾、という名前がでた今が好機だと考えたのだろう。やっと掴んだ純吾の世界に関わるかもしれない情報源だ。なんとか有力な情報が無いか、彼がもといた世界に繋がるものはないか知りたい。
「あ、えぇとはい。僕もかなり遺跡の調査で世界を回っているのですが、あんな技術は始めてみました。」
「そんな…」
ユーノの言葉に、がっくりとうなだれる。
「け、けど! 僕が知らないだけで、次元世界全てを管理している時空管理局という所に聞ければ何か分かるかも知れません。事故の連絡はしましたし、いつかここに来て、話をする機会があると思います」
わたわたとユーノがすずかをフォローする。
「……すずか、ありがとう。けどジュンゴ大丈夫。まだ、時間はある」
純吾もがっくりとした様子のすずかにお礼を言う。
口下手な自分に代わって、自分も気になる事を彼女が質問をしてくれた事に気がついたのだ。
その事に気がついたのか、すずかは少し深呼吸をして「話の途中にすみませんでした」と全員に頭を下げた。
「そ、それでは話を戻しますね。
さっき言ったように僕たちの魔法は科学であり、技術の集大成です。ロストロギアは、超古代の遺跡から発掘された、現代の水準をはるかに超えた魔法技術によってつくられたものであり、その技術の解明によって、様々な恩恵を世界にもたらしてくれます。
世界と世界の間にある次元の壁を行き来する事が出来る船が時空航行船も、その恩恵の一つです」
そこまで一気に話し、あたりを見回す。全員、なんとか理解してくれたようだ。
「なるほど、概要は分かったよ。それで今回のジュエルシードというものは」
恭也がおもむろに口を開く。そちらの方へ首を向け、ユーノは説明を続ける。
「はい、とても大きな力を持ったロストロギアです。使えば願い事をかなえてくれるのですが、代償があったり、ゆがんだ形で願いがかなったりと危険な代物です
だから、安全な所に保管をお願いしに行く途中だったんですが、事故にあってしまい……」
「運んでいた時一緒にいた君も、この世界に来た、と」
「ええ。ジュエルシードは、僕が見つけたものです。だから、僕だけでも何とかしないと、って思ったんです。
それに、ロストロギアは、誰かの幸せのためにつかってほしいんです! そんなものが、誰かを危険にさらすなんて絶対に嫌だったんです!!
……いいえ、もうなのはさんを巻き込んでしまいました。
謝ってもどうにもならない事かも知れませんが、本当に、すみませんでした」
話の最後に自身の過ちを思い出してしまったか、その前までの力説が嘘だったかのようにに元気なく俯く。
その後は誰も話しださなかった。リビングには壁掛け時計から聞こえる、チクタクという音だけが辺りに響く。
士郎と恭也は若干苦い顔、桃子や美由紀はどう話を切り出したものかおろおろしている。
なのはは真剣な顔をしてユーノを見つめ、すずかもそれは同様だ。
純吾は何か良い事を思いついたかのような顔をして、ごそごそとポケットをまさぐる。
「あ、あの! 今回は、なのはさんを危険な事に巻き込んでしまって本当に済みませんでした!! それで、そんな事言いながらとてもおこがましいとは思うんですが、一週間、いえ、3日だけ僕をここにおいてください!
それだけあれば、魔力もちゃんと回復しますし、僕一人だけでも――」
空気に耐えかねたか、バッとユーノが頭を下げ、そう切り出すが
「…………」
ずいっ
「え、あ、あの。 これは?」
純吾がおもむろに茶碗蒸しを取り出し、ユーノの前に置いた事で中断された。何の脈絡もないその行為に、ユーノは眼をぱちぱちとさせる。
「茶碗蒸し、おいしいよ?」
「だ、だからどうして」
「ひとりぼっちは、お腹すく。ジュンゴよく知ってる。
一人だとご飯、自分で作って食べても、おいしくないし、寂しい」
“寂しい”。その言葉に電流が流れたかのようにユーノの体が震える。
事故があってから、今まで彼は一人でジュエルシードの回収を行っていた。
それは封印を行うための魔法を使えるのがこの管理外世界ではユーノだけと言う事もあるが、何より贖罪の気持ちが強かった。
——僕がこんなものを発掘してしまったから、事故が起きてしまった。
——僕のせいで、どこかの知らない誰かが傷つくんじゃないだろうか?
———いや、もう目の前にいる人たちを巻き込んでしまっている。
これ以上、周りに迷惑をかけるわけにはいかない。だったら、自分独りで解決をするべきではないのか? どうしても、そう考えてしまっていたのだ。
そしてそう思っていたから、今回も自分に差しのべられた手をはねよけようとしてしまっていた。
「……お気づかい、ありがとうございます。けど、こんな事を起こしてしまった僕にそれを受け取る資格なんて」
「はぁ。ちょっといいかな、ユーノ君」
見ていられない、とかぶりを振りながら恭也が言葉を遮る。
「君の言うとおり、今回なのはは何も知らないまま巻き込まれた。そして、死ぬかも知れない目に危険な目にあったよ」
「だ、だから! これ以上皆さんを危険にさらすわけには「だが!」」
ユーノの言葉を今度は強引に遮り、しっかりと彼と目線を合わせて、恭也は告げる。
「それは君も同じだろう? どうして君一人で解決しようとする」
「そんなの、決まってるじゃないですか! これは僕のせいだからです! 僕があんなものを見つけなければ、発掘さえしなければ事故も起きなかった!」
ユーノが激情を込めて感情を吐露する。そうしなければ、今まで独りで頑張ってこれたのが、もうできないような気がして。
「そこだ。君は独りで抱え込みすぎなんだよ。事故なんて起こるときには起こる。そんな偶然を君の意思でどうにかできるわけが無い」
「で、でも。あなたが言った通り、なのはさんを危険な目に」
「確かにそうだな。けど、それは君がなのはに危害を加える事を望んだからじゃないだろう? 君は言ったよな。ロストロギアは人に恩恵をもたらしてくれるものだって」
「…………」
「だから、これは君だけのせいじゃない。いや、誰のせいでもないんだよ。」
そしてユーノにちゃんと届くよう、確かな口調で恭也は断言する。
————だから、君独りで抱え込まなくていい
その言葉に、ユーノの中で今まで張りつめていたものが溶けたかのように、両の目からぽろぽろと涙があふれてくる。
なんて優しい人たちなんだろう、ユーノは思う。
今までずっと独りで寂しかった。責任の重さとそれを全うできるかの不安に押しつぶされそうになったことも一度や二度ではない。
そんな風に、潰れかけていた自分の心を、この人たちは救ってくれた。もう少しで大切な人に犠牲がでるかも知れなかったのに、自分の罪を許してくれた。
だから、これ以上巻き込むまいと最後の抵抗をする。
「ぐっ、ぐずっ。で、でも皆さんには関わりの無い事ですし」
「おいおい、ここをどこだと思ってるんだ? ここは海鳴市、俺たちが住んでるまちだ。俺たちの街を俺達が守るっていうのにどうして関わりが無いって言えるんだい? なぁ」
士郎が朗らかに笑って、「なぁ」とあたりを見回す。
ユーノがその言葉にぐるりとまわりを見ると、皆一様に大きくうなづいていた。
その中でも、自分が巻き込んでしまった少女——高町なのはが話しかけてくる。
「ユーノ君、ユーノ君がそんなすごい事に関わっていたなんて、今まで一人で頑張ってくれていたなんて、全然知らなかったの。
だから、ありがとう。私たちの街を守ってくれて。
それと、レイジングハートをもらったから、私にだって出来る事があると思うの。
だから、私にも手伝わせてほしいの! 私も、自分にできる事があるのに、ただ見てるだけなんて、絶対いやなの!」
強い意思の光を瞳に宿して、力強く言い切るなのは。それを見て、自分の中にあった蟠りが、完全に溶け去ったかのように涙があふれた。
「み、みなさん。ぐずっ、本当に、本当にありがとうごじあいまず」
ぽろぽろぽろぽろ、涙があふれる。言いたい事はたくさんあったけど、ちゃんとした言葉にならなかった。
「ユーノ、ジュンゴも手伝う。良いよね、リリー?」
「もっちろん! ジュンゴが言うなら、私も仲魔の皆も、全員協力するわよ!」
言葉短く告げる純吾と、胸を張って答えるリリー。その姿を見て、ユーノはまたも感極まって泣いてしまう。
「あぁ、ほらほら泣かないの。あっ、ほら、ジュンゴの作った茶わん蒸し! これ食べたら、泣きたい気分なんてふっとぶわよ」
「ん…。泣いたら、お腹すく。ユーノ、食べて」
さっきユーノに差し出してきた茶碗蒸しを、改めてユーノの前に持って来る。ユーノは「いだだきまず…」少し鼻声になりながらも、今度はしっかりと受け取り、小さな体を精一杯使って、食べる。
その茶碗蒸しはユーノにとって初めて食べるもので、自分の涙がしっかり入って少ししょっぱかったが、それでも暖かくて、少し優しい味の茶碗蒸しだった。
その日の深夜
『やほほ〜、ジュンゴちゃん起きてる〜?
………って、寝ちゃってるか。まぁ、寝る子は育つって言うしね☆
それじゃあ、勝手に今日のまとめた事を報告しちゃいましょ〜☆
今日は、朝はいつも通り学校にいって、夕方はモモコの所でバイトしたね。やっぱり学校って楽しいのかなぁ? いった事無いから、ティコりんすっごい興味あるな☆
次に、夜すずチ—が帰って来てから、変なフェレットの事聞いたよね。
そしたら、いきなりなのブーの死に顔動画が来たんだよね。
それでその場所に行ったら、変な奴、ユーノはジュエルシードモンスターって言ってたっけ? そんな気持ち悪い奴がいて〜。
で、ジュンゴちゃんそいつぶっ殺そうとしてたのに、おいしー所全部なのブーに持って行かれちゃったよね☆
ま、ジュンゴちゃんなのブー助けられたし、それでもいいかな〜って。
それでその後なのブーの家に言って、ユーノの事について話してもらって、手伝う事になったよね。
でもさ〜、ホントに良かったの? ジュンゴちゃん、自分からめんどくさいことに顔突っ込んじゃった、っていうこと分かってるのかな?
まっ! ティコりんはジュンゴちゃんが強くなってくれる事には全然オールオッケーなんだけどね☆
…え〜と、今日はこんなトコかな?
それでは! ハブ・ア・ナイスた〜☆』
後書き
〜仲魔・スキル紹介〜
◆仲魔紹介
【天使】エンジェル
神学に基づく天使のヒエラルキーにおいて、最下である第9位にある下級天使。最も下級な分、最も人間に近くにいて、人間個人の守護を担っている。
◆スキル紹介
【天使の血杯】
天使の種族特有スキル。HPを消費する代わりに、いくらかのMPを回復することができる。
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