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髑髏天使

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第四十九話 停戦その三


「猫はマンチカンでね」
「俺は犬はシェパードだな」
 青年がその子供に応えて話す。
「そして猫はな」
「やっぱりあれ?ペルシャ猫?」
「あの毛が長くふわふわしているのがいい」
 それが彼の好みだった。
「だからだ。それがいい」
「僕もシャパードもペルシャも好きだけれどね」
「そちらもか」
「うん、ただ一番はね」
 どうかというのだった。それは。
「やっぱり。秋田犬とマンチカンだね」
「俺は犬はブルドッグで猫はスコティッシュフォールドだな」
 今度はロッカーだった。
「特にスコティはな。垂れた耳がいいんだよ」
「耳が立ってるスコティは駄目?」
「それはそれでいいんだよ」
 それも認めるロッカーだった。
「まあとにかく今はな」
「はい、ハンバーガーを食べてから参りましょう」
 老人が彼等をまとめてそのうえで述べた。
「今から」
「そうだね。じゃあね」
 子供は笑顔で牧村と死神に別れの挨拶を告げてきた。
「また会おうね」
「そうだな。会うべき時にな」
「またな」
 二人もその別れの言葉に応えてだった。これで話は終わった。
 魔神達は何処かへと消えてそのうえで二人が残った。その二人は。
「これで妖魔に専念することができるようになったな」
「そうだな」
 まずは戦略からの話だった。
「それはいいがだ」
「ああ、しかしな」
「まだ信じられない」
 牧村は眉をしかめさせて述べた。
「どうもな」
「そうだな。魔物達の方から停戦を言うとはな」
「しかもだ。戦いの他に楽しみを見出したとはな」
 牧村が最も考えているのはこのことだった。
「あの魔物がか」
「それが信じられないな」
「それでは妖怪と同じだ」
 こう言うのだった。
「まさにな」
「そうだな。それは確かにそうだな」
「そう思うな」
「うむ」
 死神もここで頷いた。
「私もそう思う」
「魔物は元は妖怪だったが」
「その妖怪に戻ってきているということか」
「それはまだ言えない」
 牧村もだ。即答はできなかった。しかしなのだった。
「だが、だ」
「考えられるのだな」
「否定するしかできない状況と考えられる状況ではだ」
「全然違うな」
「そうだ、だからだ」
 牧村の言葉は続く。
「かなり違ってきているのは間違いない」
「妖怪は戦わない」
 死神もまた言った。
「それはしない」
「魔物は戦いだけを好む」
「その二つの違いがあるな」
「魔物は妖怪が戦いを知り」
 牧村がまた話していく。
「そしてその中に身を投じてなるのだったな」
「だが妖怪はこの世の遊びだけを楽しむ」
「魔物はその遊びから背を背けた」
 それこそが魔物だというのだった。
「そういうものだったがな」
「しかしまた遊ぶとなるとな」
「妖怪とどう違うのかだな」
「それだよね」
 ここでだった。目玉も出て来て話に加わってきた。 
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