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髑髏天使

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第四十六話 形変その十六


 こう髑髏天使に言う。
「まただな」
「これで終わりか」
「この戦いはな。これで終わりだ」
「そうだな。それではだ」
 変身を解き牧村に戻った。そのうえでだ。
 彼もまた言ってきた。
「帰るとするか」
「戦う度にだ」
 ふとだ。死神はこうも言ってきたのだった。
「しかしだ」
「しかし、か」
「果たしてどうなるかだな」
 こう話す彼だった。
「これからは」
「戦う度にどうなるか、か」
「それがわからない」
 死神の言葉は今一つよくわからないものだった。牧村もそれを聞いてだ。そうしてそのうえでこんなことを言うのであった。
「私の力はここで終わりなのか」
「先程のあれか」
「貴様も同じだな」
「そうだな。あの虫だな」
「黄金の虫だ」
 牧村が髑髏天使として乗った。そのスカラベである。
 そのスカラベを使ってだ。彼は言うのであった。
「あの力があるのはわからなかった」
「お互いにな」
「力は自分ではわからない」
 また話す死神だった。
「何があるからな」
「力はその都度発揮されていく」
 牧村の言葉はこうしたものだった。
「そして勝つ」
「果たして何処までの力があるのは考えないか」
「特にな」
「そうか。貴様はか」
「俺はその中で戦い。そしてだ」
「妖魔達を倒すか」48
「そうしていくつもりだ」
「成程な」
 そこまで聞いて頷く死神だった。そうしてだった。
 彼の前にあのハーレーが来た。今は馬ではなかった。
 そのハーレーを前にしてだ。彼はまた話した。
「ものを変えられるようになった」
「馬にだな」
「これもまた力だ」
 そうだというのだった。
「それをだ。使う」
「そうするか」
「では、だ」
 死神はバイクに乗った。そのハーレーにだ。
 ハーレーに乗ってそのうえで去ろうとする。ここでだ。
 牧村の前にも来た。サイドカーがだ。彼もそれに乗った。
 そうして二人でだ。こう話すのであった。
「またな」
「次の戦いで会おう」
「多分だけれどね」
 目玉も話に入ってきた。それからだった。三人で話すのだった。
「物凄いことになるよ、次からね」
「次からか」
「戦う度に手強い妖魔が出ているし」
 こう二人に言うのだった。
「近いうちにね。出るよ」
「神がだな」
「そう、神がね」
 出て来るというのである。
「その時のことは考えているね」
「私もだな」
「俺もだな」
「そう、二人共ね」
 彼等双方に対しての言葉だった。それを言うのであった。
「考えてるよね、勿論」
「その神を倒す」
「同じだ」
 これがその彼等の返答だった。
「それだけだ」
「これで間違っているか」
「いや、いいよ」
 目玉の返答は満足したものだった。
「それでね。僕も同じだから」
「そういうことだな」
 死神が目玉のその言葉に頷いた。
「私達もな」
「何か楽しくなってきたよ」
 目玉の言葉がふとうきうきとしたものになった。
「急にね」
「戦いに参加できるからな」
「うん、だからね」
 まさにそれが理由だった。
「そうなってきたよ」
「なら共に楽しむか」
「うん、そうしよう」
「私達はこれから戦いの時も常に一緒だ」
「ずっとね。離れないよね」
 こんな話をしてだ。彼等は今は自分達のその世界に戻るのだった。
 そうしてだった。そのうえで、である。
 牧村も自分の居場所に戻った。そこはだ。
 屋敷である。そこに戻って休むのだった。それでその日は終わりであった。だが、である。彼等は戦いの中に生き続けるのだった。今は。


第四十六話   完


                 2010・10・21 
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