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髑髏天使

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第四十六話 形変その八


「中にはな」
「何かよくわからないけれど」
「そうなのか」
「牧村君インド映画は苦手なのね」
「あまりな」
 実際にそうだというのだった。
「踊るマハラジャという映画があったが」
「あれは特に凄かったわね」
「最早何が何かわからなかった」
 そこまでだというのだった。
「覚えている限りではだ」
「ええ」
「悪役が主人公達を追い掛けていた」
「ええと、馬でのカーチェイスの場面だったわね」
「その時だったな」
「あれをね。逃げた主人公とヒロインに対して」
 若奈も思い出しながらだ。話すのだった。
「先回りしろって言って」
「実際にはそうしなかったな」
「というかそれから出て来なかったし」
 それが普通にあったのである。
「一体どうなったのかしら」
「そうした展開があるからだ。インド映画は」
「苦手なのね」
「ストーリーがわからない」
 わかりにくいどころではなかった。
「訳がわからない」
「絶対に入る踊りは?」
「あれもだ」
 それもであった。
「何処から出て来る大勢の一団と仲良く踊るが」
「あれ受け入れられないのね」
「理解できない」
「実は私もね」
 自分もだと言う若奈だった。
「あれはかなり」
「わからないか」
「これがインドなのねって思うけれど」
「それでも受け入れられるかどうかはか」
「別よね」
 こう言うのであった。
「やっぱり」
「そうだな。それにしても」
「ええ、それにしても」
「長い映画だった」
 またその映画の話になった。今まで観ていたそれにだ。
「本当にな」
「そうね。それが残念だったわ」
 こんな話をしてだ。帰りは二人でカレーを食べた。そうしてその日は過ごした。
 その夜だった。一日が終わろうというところでだ。部屋の窓が急に明るくなった。
 牧村はそれを見てだ。すぐに悟った。
「来たか」
 こう呟いて窓のところに行くとだった。やはりいた。
 目玉がいた。そうして彼に言うのだった。
「いいかな」
「戦いか」
「うん、そうだよ」
 そのものずばりであった。まさにだ。
「どうする?それで」
「行かない選択肢はない」
 牧村はこう目玉に答えた。
「俺にはだ」
「そう。いつも通りだね」
「いつも通りか」
「そうだよ、いつも通りじゃない」
 目玉の言葉は笑っていた。
「その返事がね」
「そうなのか」
「まあそういうことだから」
 目玉の言葉はここでは単刀直入だった。 
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