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髑髏天使

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第四十四話 妖虫その十五


「これからね」
「場所は」
「これから案内するよ」
 今は言わないのだった。
「それでいいかな」
「いい」
 返答は一言だった。
「それでは行くとしよう」
「話が早いね。っていうか話がわかるね」
「嫌だと言える話ではない筈だが」
「それはね」
「その通りだな」
「うん、その通りだよ」
 目玉もこのことは否定しなかった。
「それはね」
「それならだ。行くだけだ」
「そして勝つんだね」
「勝ってそれで生きる」
 言う言葉はこれだけだった。
「それではだ」
「よし、それじゃあね」
「行くぞ」
「いやいや、案内するから」
 出ようとする牧村に少し慌てた口調で話した。
「それはちゃんとね」
「そういえばそうだったな」
「そうだよ。死神ももうそこにいるよ」 
 いるというのである。
「だから安心してね」
「安心していいのか」
「そう、安心していいよ」
「あの男もそこに向かっているのか」
「もうね。死神も逃げられないから」
 彼もだというのだった。
「妖魔の命を刈ってね。それで冥界に送り届けないといけないから」
「魔物からそれに変わったか」
「正式に決まったんだ」
 目玉はここでこんなことを話した。
「こっちの神々の会議でね」
「神々か」
「そう、僕達神様なんだよ」
 言うのはこのことだった。
「僕が眠りの神で死神はわかるよね」
「ああ」
 このことは話すまでもなかった。すぐにわかることだった。
 そしてだ。あらためて話す牧村だった。
「名前がそのままだな」
「なってるよね。あと僕の名前はね」
「目玉ではないのか」
「違うよ。眠神なんだ」
 それが彼の名前だというのだ。
「死神とは同じ時に生まれてそれからずっと一緒なんだよ」
「一緒か」
「そう、一緒だよ」
 そうだというのである。
「死と眠りは近いからね」
「ギリシア神話と同じだな」
 牧村は目玉、即ち眠神の言葉からこう考えたのだった。
「そうだな」
「タナトスとヒュプノスだね」
「知っているのか」
「会ったことはないけれどね」
 それでもだという目玉だった。
「知っているよ」
「そうか、やはりな」
「うん、それでね」
 今度は目玉の方から話してきた。 
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