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髑髏天使

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第四十一話 暗黒その十八


 今サイドカーは軌道に乗った。ここでだ。
「いいな」
「うむ」
 髑髏天使と死神はお互いに頷き合った。そうしてだ。
 跳んだ。それぞれ左右にだ。
 その瞬間にだ。サイドカーは止まった。妖魔のその糸の盾によって防がれたのだ。またしても鈍い金属音が響く。
 しかしだ。二人はそこにいなかった。それぞれ妖魔の斜め上にいた。そこからだった。
「よし、これならばだ」
「防げるか」
 言いながらそれぞれ剣に鎌を投げる。その二つが凄まじい唸り声をあげて妖魔を襲う。そしてそのうえでだった。 
 貫いた。一気にだ。妖魔はその攻撃を防ぐことはできなかった。
 盾を出すことはできなかった。間に合わなかったのだ。
 貫かれた妖魔はだ。動きを止めてしまった。そのうえで言うのであった。
「くっ、まさか」
「勝負あったな」
「確かだな」
 髑髏天使と死神は着地した。そのうえでおのれの前にいる妖魔を見ながら言った。
「盾は全てを防いでも貴様自身はだ」
「防げはしないな」
「ええ、そうよ」
 それを自分でも認める妖魔だった。
「その通りよ。見ての通りよ」
「だからだ。勝負ありだ」
「これでだ」
「まさか。私にわざと盾を出させて」
 ここでやっとだった。二人の今の攻撃の意味がわかったのである。
「それでそのうえでだったのね」
「そういうことだ」
「私も動きを合わせた」
 二人はまたそれぞれ言う。
「それでだ」
「そうだったのね。見事よ」
「見事か」
「私を倒したのだから。それでね」
「倒したからこそか」
「勝てると思っていたわ」 
 語るその身体からだった。青と赤の二つの炎を出していた。二人の攻撃により倒されたことの何よりの証であった。その二つの炎がだ。
「それでも。こうなってはね」
「認めるしかないか」
「そうよ。認めるわ」
 実際にそうだというのだった。
「それじゃあ」
「去るか」
「私はね。ただ」
 ただ、というのだった。
「私達はまだこれからよ」
「まだ戦うか」
「まだよ。あの方々もおられるわ」
 こんなことも口にするのだった。
「だからね。まだよ」
「それでか」
「そうよ。まだよ」
 妖魔はまた言ってみせた。
「私達はこれからなのよ」
「これからか」
「楽しみにしておいて」
「楽しみにか」
「ええ」
 こう二人に告げるのだった。
「これからのことをね」
「それではだ」
 死神が彼女の言葉に返した。
「そうさせてもらおう」
「それは何よりよ」
「ただ」
「ただ?」
「それは刈るという意味でだ」
「刈る?」
「そうだ、刈る」
 こう妖魔に告げる。
「その意味でだ」
「それは一体どういうことかしら」
「貴様等の魂を刈るということだ」
 死神が言うのはこのことだった。
「そういうことか」
「強気ね」
 妖魔は死神のその言葉を受けて述べた。既にその身体は二色の炎に包まれている。今まさにその中に消えようとしている。 
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