髑髏天使
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第四十話 漆黒その十一
「ここでまた我が名を言っておこう」
「貴様の名をか」
「そうだ。ナイトゴーント」
この名をあえて言ってみせたのである。
「それを言っておこう」
「夜か」
「夜は闇」
彼は言った。
「その闇の中でこそ我はその力を見せるのだ」
「力もだというのだな」
「姿は消える」
まずはこれだった。
「そして何もかもがだ」
「貴様の全てがか」
「闇は全てを消してくれる」
妖魔の声だけが聞こえてくる。
「だからこそだ」
「ふむ。それではだ」
ここでだ。髑髏天使はその両手に持つ剣に何かを宿らせた。
雷であった。それは黄色く輝いている。
「雷か」
「そうだ、そして」
「光だな」
「闇には光だからな」
だからだともいうのだ。
「だからこそだ。こうしてだ」
「我を探し出すというのか」
「その通りだ。これにはどうする」
「只今まで生きていた訳ではないな」
それを見ての妖魔の言葉だった。
「どうやら」
「頭脳を見てか」
「そうだ、頭脳もあるか」
「少なくとも考えて闘わなければだ」
「生きてはいられないか」
「そうだ」
こう妖魔に対して答える。
「その通りだ」
「そうだな。ではその頭脳、見せてもらおう」
妖魔は闇の中から告げてきた。
「この闘いの中でな」
「行くぞ」
こうしてだった。髑髏天使はその雷を使った。そして。
死神はショゴズと闘っていた。その中でだった。
妖魔は地の底から出ては消え出ては消えだった。そうして死神と闘っていた。死神はそれに対して下からの攻撃をかわすので必死だった。
「くっ・・・・・・」
「どうだ、下からの攻撃は」
妖魔の勝ち誇る声がする。
「避け難いな」
「確かにな」
死神は下から襲い掛かる妖魔の身体をかわしながら述べた。
「これはかなり」
「しかし諦めてはいないな」
「私も変わったようだ」
一旦着地してからの言葉だった。
「以前はそうではなかったが」
「今は違うか」
「何故かわからないが諦めが悪くなったものだ」
そうだというのだった。
「随分とな」
「そうなのか」
「そうだ、それが今実際に出ている」
彼は言った。
「貴様を倒す」
「その諦めの悪さでか」
「そうだ、貴様を倒す」
両手にその大鎌を持っての言葉である。
「わかったな」
「面白い。ではどうする」
妖魔は死神の言葉を受けたうえで問い返してみせた。
「この俺を。どうして倒す」
「どうしてか、か」
「俺はここから出ることはない」
得意気に笑ってさえいた。
「地の中からだ。俺はここから出ることはない」
「だから倒せないというのか」
「如何にも」
まさにそうだというのだった。
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