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髑髏天使

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第三十九話 妖魔その十四


「何もしない」
「そうか」
「それだけか」
「そうだ、それだけだ」
 また言う邪神であった。
「それではだ。すぐに会おう」
「その時にはだ」
 牧村がここでまた話す。
「貴様は最期の時を迎える」
「私を倒すというのか」
「その通りだ。貴様を倒す」
 闘争心を見せる。全身にそれを漂わせてさえいる。
「それを言っておこう」
「私は今まで倒されたことはない」
「運がいいだけだな」
「そう思うか」
「貴様より強い相手に会ってこなかった」
 牧村の言葉だ。
「それは運がいいというのだ」
「その言葉は少し違う」
 だが邪神はその言葉を訂正してきた。そのうえで言うのだった。
「私より強い者はいない」
「そう言うのか」
「そうだ。だから私は今まで倒されたことがない」
 こう言ってみせるのである。
「そういうことだ」
「そう言うか」
「貴様は今智天使だな」
 次にはだ。牧村の天使としての階級を問うてみせた。
「そうだな」
「それがどうかしたのか」
「あと一つ」
 その階級の話である。
「そしてその上にもなるか」
「上だと」
「そうだ、天使の階級は九で終わりではない」
 こう話すのであった。
「もう一つあるのだ」
「もう一つか」
「それになった時には私の相手も可能だろう」
「その時にか」
「神を倒せるかどうか」
 楽しんでいた。それを言葉に見せている。
「それがわかる時が来れば面白い」
「邪神よ」
 今度は死神が彼に問うた。
「貴様は何を求めている」
「私がか」
「そうだ、何をだ」
「言った筈だが。混沌だ」
 不敵な笑みでそれだというのだ。
「究極の混沌だ」
「そしてその中心にいるのはか」
「わかっていたか」
「私もまた神だ」
 死神は己が神であることから話していたのだった。その目での言葉だった。
「知らないと思うか」
「そうだな。それでは話は早いな」
「それで何を求めている」
 また問うた。その目から。
「貴様は一体何を求めているのだ」
「あえて言おう。混沌の渦だ」
「そうか、渦か」
「これで全て語った」
 邪神は話を自分から切ってみせた。
「それではな」
「混沌の渦」
 だが牧村はそれで全てがわかったわけではなかった。思わず自分の口で言ってしまっていた。そうしてそのうえで邪心に対して問うのだった。
「何だそれは」
「調べればすぐにわかることだ」
 邪神は今は言おうとしなかった。
「それだけのことだ」
「すぐにだと」
「そうだ、それではな」
 姿を消してきた。足元からだ。 
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