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髑髏天使

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第三十九話 妖魔その六


「覚えておいてくれ」
「わかった。それではな」
「大学ではじゃ。そこまではじゃ」
「教えることはないか」
「左様、まずない」
 また牧村に話す。
「知識人の世界だからじゃ」
「知識人だからか」
「誰でもそうじゃが身内にはどうしても甘くなる」
 博士の言葉は苦いものになった。
「特に教師もマスコミも知識人も」
「甘いか」
「異様にな」
 だからこそ腐敗するのであった。これも自明の理であった。
「そうなるのじゃよ」
「嫌な世界だね」
「だよね、全然駄目じゃないか」
「全く」
 妖怪達はここでも呆れていた。
「人間の世界も色々あるけれどさ」
「それでもそれはないでしょ」
「ねえ」
「そんな酷い世界があるんだ」
「戦前も問題はないわけでもなかった」
 戦前から生きている人間だからこその言葉だった。博士は戦前から学者なのだ。
「しかしじゃ。今は特にじゃ」
「酷くなったんだね」
「そういうことなんだ」
「左様、だからじゃ」
 また話す博士だった。
「最早あの世界はどうにもならん」
「そうした連中が世論をミスリードするか」
「連中がいいという奴は信用せんことじゃ」
 国家運営や選挙にも関わる話にもなっていた。
「絶対にじゃ」
「っていうか信用する方がおかしいんじゃ」
「あの馬鹿総理だってね」
「見ただけでおかしかったし」
「そうした連中があいつを支持していたんだよね」
 これも事実である。戦後の我が国では強姦魔の集団でも『平和勢力の軍隊』になったのである。幽霊が昼間に集団で行動するが如き異常現象が普通にまかり通っていたのが戦後の我が国なのだ。今こんなことを言えばネットで大騒ぎになっていることは間違いない。しかし長い間インターネットはなかった。だから普通にまかり通っていたのだ。
「ソ連だってね」
「あんなのとんでもない国じゃない」
「そういう国家を支持していたじゃない」
「それの責任は?」
「責任?」
 博士の今度の言葉は愚弄したものになっていた。
「そんなものないぞ」
「ああ、やっぱり」
「ないんだ」
「そうなんだ」
「うむ、連中は絶対に責任を取らん」
 これまた事実であった。
「他人に責任を言うが自分達は無責任じゃ」
「酷いにも程があるし」
「何それ無茶苦茶じゃない」
「どんだけ酷いんだよ」
「じゃから腐敗を極めるのじゃ」
 自浄能力もなく責任も取らないならばだ。そうなるのは自明の理である。
「そういうことじゃ」
「凄い社会だよね、学校の先生の社会って」
「それにテレビや新聞って」
「僕達の世界でもそんなのないよ」
「そういう世界も存在するか」
 牧村の口調も忌々しげである。
「あまりにも酷いな」
「連中は同じミスを何度もしでかす」
 博士はまた言った。 
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